ツーリングしないまま7月が、8月までもが終わってしまった・・・!
何度かツーリングを企画したりしたんですが、
台風が来たり雨が降ったりでお流れになり、結局走れずじまい。
バイクに乗るのは話題の佐野サービスエリアを冷やかしにいったり、
近所の湾岸をバッテリーの充電がてら、お散歩する程度でした。
ということで、さすがに夏のうちに走らなきゃ・・・!と、
ちょっとした危機感をもちつつツーリングを企画。
日帰りで走りたい道は概ね走ってしまったのと、
山道目当てに再訪するのは、250じゃちょっとパワー不足かなーということで、
今回は天龍川沿いに点在する気になるスポットを訪問することにしました。
ちょっと長い記事になりますが、お付き合いください!!
ルートはこんな感じ
さて、今回は、ルートだけでなく出発時間にも趣向をこらしてみました。
いくら川沿いの山の中とはいえ、日中は30度を超えますから、
ゆったり散策するには現地に早朝着が望ましい・・・
ということで出発は0:30。日が変わった頃に身支度をして出発することに。
まずは東名を鮎沢PA・浜松SAと乗り継いで西へ。
この時間は道路がガラガラで、新東名の120km/h区間もてつだって
あっというまの浜松着。よくいえばスムーズ、悪くいえば退屈w
260kmほどの距離を3時間と少しで走りきり、4時には浜松SAで給油します。
そこからは東名を降りて、三遠南信自動車道こと国道474号線を走ります。
まだ日も登っていない山中のバイパスは、閑散としています。
鳳来峡で一旦下道に降りるまで、ただの一台の車も見かけませんでした。
鳳来峡で三遠南信道の完成部分がいったんの終点を迎え、
国道151号線に乗り移ってそのまま北へ進みます。
このあたりの道は鹿やタヌキが出てくるわ、マトモに街灯もないわで
走るのに神経を使いますね。明るければ気持ちいい道なんだけどなー。
整備された国道とはいえ、東栄から北は峠越えの道も出てきます。
フルカウルだとライトが固定されていて、カーブの先を照らしてくれないので
本当に視界が狭い!コーナリングライトほしい!!
前日ちょっと降った雨で道も濡れていてよろしくない感じで、
気温も22度くらいしかなく、やや肌寒い。
メッシュジャケットの下をシャツだけにしたのは失敗だった・・・
予想以上に神経がすり減るので、猫を道路のシミにしてしまう前に休憩。
ソロツーリングだとついつい休憩を怠りがちです。
道の駅豊根グリーンポート宮嶋でコーヒーのんで一息しますが、
もちろんお店は開いてないので自販機コーヒーです。
そうこうしているうちに時計の針は5時を指そうかというところまで回りました。
やっと空が白んできて、路面状況もわかりやすくなってきました。
普通の計画ならこの時間に家を出ることになりますね。
東京湾岸に住んでいると太陽は海から登ることが多いので、
こうやって山の向こうから白んでくる空っていうのは
非日常感があっていいですね。ちょっと路肩に止めて空を眺めます。
朝焼けが落ち着く頃、新野で国道151号から国道418号に乗り換えて、
天龍村へ入ります。「湯めぐり街道」と相性がつくくらい温泉が多いらしい。
ここから先のルート、というか静岡県の山間部はどこもそうなんですが、
中でも天龍川沿いは特に崩れやすい地層なんですよね。
通行止め情報をきっちりチェックしておかないと、
「迂回路はありません」なんてことになりかねない!要注意です。
峠を越えて川につきあたったところで時間は5:30になりました。
日の出の刻を過ぎたので、空はもうしっかり明るくなりました。
流れの速い天龍川を眼下に東へ進みます。
道は鶯巣(うぐす)駅の手前で天竜川橋をわたります。
ここは離合もギリギリの狭く古い橋ですが、新橋の計画があるようです。
数年もすれば見られなくなっちゃうんだろうなあ。
さて、もうすでに自宅を発ってから5時間は走ったわけですが、
ここでやっと第一の目的地となる十方峡トンネルです。
西側の坑口脇にある旧道にちょっと入っていくと・・・
同じ十方峡トンネルでも、お目当てはこちら。旧トンネルです。
もう閉鎖されてしまっていますが、画面左側がかつての道路トンネルであり、
さらにそのルーツは鉄道トンネルです。
右側はそれを受け継いだ現在の鉄道トンネルです。
道路トンネルは鉄道のお下がりなんです。
さきほどの画像にあった新しい道路トンネルは画面外大きく離れて左手に。
かなり苔むしていますが、雰囲気がすごいですね。
振り返るとすぐそこに反対側の鉄道トンネル。明かり区間が短い!
こちら側は昔からの鉄道トンネル一本です。
ここでカーブさせてトンネルを切り替えたんですね。
古いトンネル、しかも新旧・鉄道・道路用がここまで密集して
さらに袂まで入ってこれるのもなかなかないです。
十方峡を堪能したら、そこからさらに東に走ったところにもう一つ、
気になる廃トンネルがあります。
こちらは清水トンネル、まずは同様に新トンネルから。
旧道は新道からゆるやかに分岐して、こんな感じで続きます。
誤進入防止の車止めはありますが、通行止ではなく徒歩で入っていけます。
ここは封鎖地点から結構長さがあるので、てくてくと。
入り口付近は綺麗ですね。
が、100mもいかないうちに一気に薮になります。
廃止になったのが2013年なので、まだ6年しか経ってないのにもうコレ。
崩れた落石がベースになって草を育ててる感じです。
そのまま進んでいくと、奥のほうにちらっと見えるのが旧トンネル。
3年くらい前まではトンネルまで余裕で歩けたみたいなんですけど、
斜面が新たに大幅に崩れててたのと、蜂の巣があるみたいで
ブンブン言ってたので、残念ながらここであきらめです。
ぐるっと回り込んで新トンネルの西側に移動します。
川にむけてぽっかりと、坑口だけ現存しているのがわかるでしょうか。
廃止後すぐは旧橋もセットで存在してたのですが、
川床が堆積で上がって橋の高さが足りなくなり、
そのままでは増水時に危険があったので撤去されてしまったようです。
うーん歩いてみたかった。
清水トンネル回りには、もう一つ目星をつけたスポットが。
清水トンネルの脇にあるこちらの吊り橋です。
航空写真からもくっきりみえますが、道路脇目線で見るとひっそりとした佇まい。
結構長くてしっかりした橋がかかっているんですが、
この向こうにはちょっとした登山道しかないんですよね、
それも渡った先で崩れちゃってるので、
せっかく作ったのに実質誰も使ってないんじゃないかな・・・と。
これも数年したらメンテされないまま落橋して消滅しそうだなあ。
とりあえず渡ってはみましたが・・・何もない・・・!
ほとんど揺れませんが、最後が曲がってる関係で橋がゆがんでるのと、
結構高さもあるので心理的には怖いですねー。
行った先で途方に暮れるのが、いい感じに退廃的ですね。
吊り橋を体感したあとは、廃つながりで廃線跡も眺めましょう。
平岡〜鴻巣間の旧線跡に注目しながら国道418号を少し戻っていくと、
沿道に点々とその痕跡が確認できます。
こちら道路から直接見える重厚なプレートガーター。
82年には少し山側にある新線に切り替え終わってたそうなので、
もう使用されなくなって30〜40年経ってるわけですが
撤去されずに残ってるんですねえ。
こんな人の生活圏の近くに残ってて、
サビて落ちたりしたら危ないんじゃなかろうかといらぬ心配をしてしまいますw
こちら別の鉄橋。この季節は緑が濃いので、自然に飲まれてる感がすごいですね。
冬場とか、春の早いうちに来ればもっとよく見えるかな?と思います。
どうやらこのあたりの旧線、トンネル内にはレールも枕木も
しっかり残ってるようなのですが、
さすがに荒廃した線路に立ち入る装備も度胸もないので
今回は眺めるだけにしておきます。
さて、この地域の廃道廃線を見たあとは、
次の目的地に向けて、今きた国道を逆走して再び天竜川橋へ。
時間はここで6:30といったところ。
普通のツーリングなら集合時間にすらなってないなw
さっきは気づきませんでしたが、現橋の脇に新橋の橋台ができてました。
まだ接続部の盛り土も対岸の施工も終わってないですが、
本腰いれれば2年くらいでパパッと開通しちゃうんじゃないだろうか。
最近、全国的に水害が多くて国や自治体も力を入れてるでしょうしね。
2回目の渡河をしたあとは、さっき来た道の側道に逸れて県道1号線へ入ります。
ここは以前走りに来たことがあるんですが、通行止だった区間なんですよね。
今回は通行止が解除されてたので、リベンジにもなるわけです。
走り始め、道は落石や砂が多いけど舗装は割と綺麗だなー。
・・・なんて思ったのもつかの間。不穏な案内コンニチワ。
数km行っただけでコレです。
やっぱこの辺の地質は人が住むのに向いていないw
とはいえ、ここの崩落は法面固めてしまえばなんとかなりそうな規模。
道路そのものは損壊していないので、以前の通行止はここではなさそう。
さらに行って静岡・愛知・長野の県境が交わるあたりで、
それっぽい大きな崩落に遭遇しました。
前の道は完全に押し流されて、土砂の下です。
多分、前回通れなかったのはここだな・・・。
崩れ落ちた先の谷は、深すぎて覗き込んでも底が見えない・・・!
これは再建をあきらめて橋梁構造にするのも納得です。
人が住むのに向いていないにもほどがある。
(帰ってから調べたらやっぱりここでした)
当該の崩落区間を超えて、県道を引き続き走ると、
ひたすら急峻なワインディングロードが続きます。
こういう道は小さいバイクの本領発揮ですね。
対向車がいても難なくすれ違えますし、切り返しも軽いです。
谷が深くて日当たりが悪いので、視界が延々、緑と茶色ばかりな道。
コンクリートには例外なく苔が生し、道路には照明もなし。
しかもトンネルの中は湧き水でぐっしょりです。
昼間走るにはやりごたえがあっていいですけど、夜は走りたくないなーw
そのまま13〜14kmほど走ったら、鷹巣橋で左岸の大嵐へ渡ります。
なにを隠そう、これまでの探検は前菜。本日のメインディッシュへ!
まずこの鷹巣橋は、狭いものの綺麗でしっかしりた吊り橋。
天竜川は谷が深いのもそうですが、流れが激しく、
かつ土砂災害も多いので道路橋でも吊り橋が多いですよね。
普通の川なら鋼桁で川床に橋脚を立てて渡るところを、
高い場所から両岸ひとまたぎにできるのは大きな利点です。
渡りきったら、そこは大嵐駅です。
東京駅モチーフのモダンなデザインの待合室付き。
時間はここで7:00になりました。
秘境駅の宝庫飯田線、列車の本数はごらんの通りです。
商業的価値ではなく、生活のためなんとか維持している路線という感じですね。
駅は構内踏切を渡って島式ホームが一面で、上下二線+側線一線。
規模としては江ノ電とか嵐電みたいなイメージですね。
ホームに立って飯田方面を見ます。複線トンネルのようですが、
トンネル内に分岐があって、すぐそこで単線になっています。
転轍機が動く音がトンネルに反響して聞こえる・・・シブい。
同じく豊橋方面。こちらも同じく入り口だけ複線。
ホームにさしかかる直前、飯田方面行きの線路からさらに分岐して側線。
むちゃな配線してるけど、これだけ山が迫っているから
こうでもしないと場所を確保できません。
ちょうど列車が到着したので、せっかくですからバイクと絡めて一枚。
貴重な2扉車。今度乗りに来るのもいいですねえ。
さて、もちろん、現用線は廃でも旧でもないのです。
ここに来た目的の「廃・旧モノ」は、この奥にあります。
ちょうど上の動画に見えている右側の道を南に入ると、こんんあ構造物が。
旧線切り替え前の貨物ホーム跡だと言われてるものです。
なかなかホーム跡に合法的にバイクを乗り付けられる場所ってないので、
面白い構図になりますね。
さらにその奥には、トンネルが口を開けています。
そしてトンネルの奥にももう一本トンネルが。
それぞれ栃ヶ岳隧道と夏焼第二隧道で、これらも旧線跡なんです。
この旧線はダム建設に伴って湖水の下に沈んでしまうため放棄されましたが、
一部かさ上げの上、道路トンネルとして再利用されています。
元鉄道トンネルを抜けて走るの、ある意味最強の「でんしゃごっこ」ですね。
短い栃ヶ岳隧道と長い夏焼第二隧道を南に抜けると、
眼前に開けるのはこんな景色。いやー絶景ですね。
向かって左手は、本来県道288号線でしたが、
20mもいかないうちにこんな感じ。とりつくしまもないです。
道というより、トラックの荷台を利用した物置が
たくさん放置してあるので、もはやヤードという感じ。
落石注意。・・・うん。そう、だね・・・。
こんな感じで、佐久間湖近辺の天竜川左岸にはほぼ使える道がなく、
現在は大嵐駅から北も、トンネルを抜けた先の南も一切の道が通じていません。
じゃあ何のために沈みゆくトンネルを再利用したかって?
それは、この先に人の住む集落があるからです。
その「夏焼集落」にたどり着くためには、
大嵐駅近くの鷹巣橋とこれらの隧道が唯一無二、必須というわけです。
通行止の反対側、方角でいうと西側はそのまま夏焼集落につながっています。
ただ、ここ10年くらいで住民がみんな移住してしまい、
元住民によって手入れはされているものの、
すでに実質廃集落となっている・・・とのこと。
せっかくなので、廃集落へむけて山歩きです。
車の通れる道は50mくらいで終わってしまい、あとは徒歩道となります。
そこまでの間に目に付くのはこの廃車体。有名ですよね。
集落が現役の頃のもので間違いないんでしょうけど、
この崩れやすいけれど足場のない立地ですから、
崖近くに置いてたものはちょっと大雨が降れば
崩れておっこちたり、陥没して使えなくなったんだろうなあと。
車道が尽きてからはゆるやかな上り坂を沢にそってぐるっと回り込みます。
沢を過ぎてしばらく行くと、石段登場。
ここから本格的に、集落行きの道登り道です。
左手が絶景なのはいいけど、手すりがないのは怖いなあ・・・w
命が惜しければ、雨の日には行かないほうがいいですよね。
足滑らせたらと思うと背筋が凍ります。
石段の途中には、これまた落っことしてしまったであろう廃物。
バイクが頭から斜面に突っ込んでいます。
人間ごとおっこちてなきゃいいんですけども・・・
唯一のアクセス路であるこの石段も、踏む頻度は少ないようで、
吹き溜まりになっているところはどんどん草の侵食を許しています。
手入れしてる方がいなくなったら2年くらいで呑まれそう。
息を弾ませながら石段を3〜4分登ったら集落に到着。
壁に張り付くように家が立ち並ぶ夏焼集落にお邪魔します。
玄関先から見える水面がすごい距離感。
ここでボール遊びはできそうにない・・・
ここまですごい土地に、これだけ手をかけて定住したんですから、
最初にここを開拓しようと思った人たちが何に惹かれたのか、気になります。
石段の開始地点と集落の中腹あたりを結ぶラックレールも
ありますが、多分もう動いていないんでしょうね。
これが動いているならば、荷物の搬入や家の修繕も楽になるでしょう。
手入れに定期的に立ち入るにしても、こうやってハイキングに来るにしても、
メンテしておいて損はなさそうなんですけど。
集落には石段が網目のように張り巡らされ、家々はところ狭しと並んでいます。
これだけの石やコンクリートを持ち込むのも相当な労力がかかっていそうです。
まして、ダムができる前は水面はもっと低かったわけですから。
上の方にもどんどん続いていますが、全部回る体力はないかなあ。
中段の畑のあたりから上を見て一枚。
空の見え方で斜面の急峻さがわかっていただけるだろうか。
あらためて、すごいところに居を構えたもんだと感心しつつ、ひといき。
集落からのダム湖の眺め。
景観は間違いなく一等地ではありますね。
メインディッシュである夏焼集落を後にしたら
また石段を下ってトンネルへ戻り、再びバイクに跨ります。
デザートを食べるべく、そのまま県道1号をさらに南へ発進。
汗が気持ちよく飛んでいくくらいの距離を走ったら、
県道426と分岐して熊打橋を渡ります。
橋より先はダンプがよく走るので、路面が幾分かまともになります。
砂利採取場の砂は転々とありますが、気持ちよく流して南へ進みます。
デザートメニュー第一弾は、佐久間ダム。
これまでも何度か通過はしているんですが、
通過点としてだけで、しっかり訪れたことはなかったんですよね。
今日はせっかくですから、佐久間電力館と展望台でダムをじっくり楽しむことに。
何度かツーリングを企画したりしたんですが、
台風が来たり雨が降ったりでお流れになり、結局走れずじまい。
バイクに乗るのは話題の佐野サービスエリアを冷やかしにいったり、
近所の湾岸をバッテリーの充電がてら、お散歩する程度でした。
ということで、さすがに夏のうちに走らなきゃ・・・!と、
ちょっとした危機感をもちつつツーリングを企画。
日帰りで走りたい道は概ね走ってしまったのと、
山道目当てに再訪するのは、250じゃちょっとパワー不足かなーということで、
今回は天龍川沿いに点在する気になるスポットを訪問することにしました。
ちょっと長い記事になりますが、お付き合いください!!
ルートはこんな感じ
さて、今回は、ルートだけでなく出発時間にも趣向をこらしてみました。
いくら川沿いの山の中とはいえ、日中は30度を超えますから、
ゆったり散策するには現地に早朝着が望ましい・・・
ということで出発は0:30。日が変わった頃に身支度をして出発することに。
まずは東名を鮎沢PA・浜松SAと乗り継いで西へ。
この時間は道路がガラガラで、新東名の120km/h区間もてつだって
あっというまの浜松着。よくいえばスムーズ、悪くいえば退屈w
260kmほどの距離を3時間と少しで走りきり、4時には浜松SAで給油します。
そこからは東名を降りて、三遠南信自動車道こと国道474号線を走ります。
まだ日も登っていない山中のバイパスは、閑散としています。
鳳来峡で一旦下道に降りるまで、ただの一台の車も見かけませんでした。
鳳来峡で三遠南信道の完成部分がいったんの終点を迎え、
国道151号線に乗り移ってそのまま北へ進みます。
このあたりの道は鹿やタヌキが出てくるわ、マトモに街灯もないわで
走るのに神経を使いますね。明るければ気持ちいい道なんだけどなー。
整備された国道とはいえ、東栄から北は峠越えの道も出てきます。
フルカウルだとライトが固定されていて、カーブの先を照らしてくれないので
本当に視界が狭い!コーナリングライトほしい!!
前日ちょっと降った雨で道も濡れていてよろしくない感じで、
気温も22度くらいしかなく、やや肌寒い。
メッシュジャケットの下をシャツだけにしたのは失敗だった・・・
予想以上に神経がすり減るので、猫を道路のシミにしてしまう前に休憩。
ソロツーリングだとついつい休憩を怠りがちです。
道の駅豊根グリーンポート宮嶋でコーヒーのんで一息しますが、
もちろんお店は開いてないので自販機コーヒーです。
そうこうしているうちに時計の針は5時を指そうかというところまで回りました。
やっと空が白んできて、路面状況もわかりやすくなってきました。
普通の計画ならこの時間に家を出ることになりますね。
東京湾岸に住んでいると太陽は海から登ることが多いので、
こうやって山の向こうから白んでくる空っていうのは
非日常感があっていいですね。ちょっと路肩に止めて空を眺めます。
朝焼けが落ち着く頃、新野で国道151号から国道418号に乗り換えて、
天龍村へ入ります。「湯めぐり街道」と相性がつくくらい温泉が多いらしい。
ここから先のルート、というか静岡県の山間部はどこもそうなんですが、
中でも天龍川沿いは特に崩れやすい地層なんですよね。
通行止め情報をきっちりチェックしておかないと、
「迂回路はありません」なんてことになりかねない!要注意です。
峠を越えて川につきあたったところで時間は5:30になりました。
日の出の刻を過ぎたので、空はもうしっかり明るくなりました。
流れの速い天龍川を眼下に東へ進みます。
道は鶯巣(うぐす)駅の手前で天竜川橋をわたります。
ここは離合もギリギリの狭く古い橋ですが、新橋の計画があるようです。
数年もすれば見られなくなっちゃうんだろうなあ。
さて、もうすでに自宅を発ってから5時間は走ったわけですが、
ここでやっと第一の目的地となる十方峡トンネルです。
西側の坑口脇にある旧道にちょっと入っていくと・・・
同じ十方峡トンネルでも、お目当てはこちら。旧トンネルです。
もう閉鎖されてしまっていますが、画面左側がかつての道路トンネルであり、
さらにそのルーツは鉄道トンネルです。
右側はそれを受け継いだ現在の鉄道トンネルです。
道路トンネルは鉄道のお下がりなんです。
さきほどの画像にあった新しい道路トンネルは画面外大きく離れて左手に。
かなり苔むしていますが、雰囲気がすごいですね。
振り返るとすぐそこに反対側の鉄道トンネル。明かり区間が短い!
こちら側は昔からの鉄道トンネル一本です。
ここでカーブさせてトンネルを切り替えたんですね。
古いトンネル、しかも新旧・鉄道・道路用がここまで密集して
さらに袂まで入ってこれるのもなかなかないです。
十方峡を堪能したら、そこからさらに東に走ったところにもう一つ、
気になる廃トンネルがあります。
こちらは清水トンネル、まずは同様に新トンネルから。
旧道は新道からゆるやかに分岐して、こんな感じで続きます。
誤進入防止の車止めはありますが、通行止ではなく徒歩で入っていけます。
ここは封鎖地点から結構長さがあるので、てくてくと。
入り口付近は綺麗ですね。
が、100mもいかないうちに一気に薮になります。
廃止になったのが2013年なので、まだ6年しか経ってないのにもうコレ。
崩れた落石がベースになって草を育ててる感じです。
そのまま進んでいくと、奥のほうにちらっと見えるのが旧トンネル。
3年くらい前まではトンネルまで余裕で歩けたみたいなんですけど、
斜面が新たに大幅に崩れててたのと、蜂の巣があるみたいで
ブンブン言ってたので、残念ながらここであきらめです。
ぐるっと回り込んで新トンネルの西側に移動します。
川にむけてぽっかりと、坑口だけ現存しているのがわかるでしょうか。
廃止後すぐは旧橋もセットで存在してたのですが、
川床が堆積で上がって橋の高さが足りなくなり、
そのままでは増水時に危険があったので撤去されてしまったようです。
うーん歩いてみたかった。
清水トンネル回りには、もう一つ目星をつけたスポットが。
清水トンネルの脇にあるこちらの吊り橋です。
航空写真からもくっきりみえますが、道路脇目線で見るとひっそりとした佇まい。
結構長くてしっかりした橋がかかっているんですが、
この向こうにはちょっとした登山道しかないんですよね、
それも渡った先で崩れちゃってるので、
せっかく作ったのに実質誰も使ってないんじゃないかな・・・と。
これも数年したらメンテされないまま落橋して消滅しそうだなあ。
とりあえず渡ってはみましたが・・・何もない・・・!
ほとんど揺れませんが、最後が曲がってる関係で橋がゆがんでるのと、
結構高さもあるので心理的には怖いですねー。
行った先で途方に暮れるのが、いい感じに退廃的ですね。
吊り橋を体感したあとは、廃つながりで廃線跡も眺めましょう。
平岡〜鴻巣間の旧線跡に注目しながら国道418号を少し戻っていくと、
沿道に点々とその痕跡が確認できます。
こちら道路から直接見える重厚なプレートガーター。
82年には少し山側にある新線に切り替え終わってたそうなので、
もう使用されなくなって30〜40年経ってるわけですが
撤去されずに残ってるんですねえ。
こんな人の生活圏の近くに残ってて、
サビて落ちたりしたら危ないんじゃなかろうかといらぬ心配をしてしまいますw
こちら別の鉄橋。この季節は緑が濃いので、自然に飲まれてる感がすごいですね。
冬場とか、春の早いうちに来ればもっとよく見えるかな?と思います。
どうやらこのあたりの旧線、トンネル内にはレールも枕木も
しっかり残ってるようなのですが、
さすがに荒廃した線路に立ち入る装備も度胸もないので
今回は眺めるだけにしておきます。
さて、この地域の廃道廃線を見たあとは、
次の目的地に向けて、今きた国道を逆走して再び天竜川橋へ。
時間はここで6:30といったところ。
普通のツーリングなら集合時間にすらなってないなw
さっきは気づきませんでしたが、現橋の脇に新橋の橋台ができてました。
まだ接続部の盛り土も対岸の施工も終わってないですが、
本腰いれれば2年くらいでパパッと開通しちゃうんじゃないだろうか。
最近、全国的に水害が多くて国や自治体も力を入れてるでしょうしね。
2回目の渡河をしたあとは、さっき来た道の側道に逸れて県道1号線へ入ります。
ここは以前走りに来たことがあるんですが、通行止だった区間なんですよね。
今回は通行止が解除されてたので、リベンジにもなるわけです。
走り始め、道は落石や砂が多いけど舗装は割と綺麗だなー。
・・・なんて思ったのもつかの間。不穏な案内コンニチワ。
数km行っただけでコレです。
やっぱこの辺の地質は人が住むのに向いていないw
とはいえ、ここの崩落は法面固めてしまえばなんとかなりそうな規模。
道路そのものは損壊していないので、以前の通行止はここではなさそう。
さらに行って静岡・愛知・長野の県境が交わるあたりで、
それっぽい大きな崩落に遭遇しました。
前の道は完全に押し流されて、土砂の下です。
多分、前回通れなかったのはここだな・・・。
崩れ落ちた先の谷は、深すぎて覗き込んでも底が見えない・・・!
これは再建をあきらめて橋梁構造にするのも納得です。
人が住むのに向いていないにもほどがある。
(帰ってから調べたらやっぱりここでした)
当該の崩落区間を超えて、県道を引き続き走ると、
ひたすら急峻なワインディングロードが続きます。
こういう道は小さいバイクの本領発揮ですね。
対向車がいても難なくすれ違えますし、切り返しも軽いです。
谷が深くて日当たりが悪いので、視界が延々、緑と茶色ばかりな道。
コンクリートには例外なく苔が生し、道路には照明もなし。
しかもトンネルの中は湧き水でぐっしょりです。
昼間走るにはやりごたえがあっていいですけど、夜は走りたくないなーw
そのまま13〜14kmほど走ったら、鷹巣橋で左岸の大嵐へ渡ります。
なにを隠そう、これまでの探検は前菜。本日のメインディッシュへ!
まずこの鷹巣橋は、狭いものの綺麗でしっかしりた吊り橋。
天竜川は谷が深いのもそうですが、流れが激しく、
かつ土砂災害も多いので道路橋でも吊り橋が多いですよね。
普通の川なら鋼桁で川床に橋脚を立てて渡るところを、
高い場所から両岸ひとまたぎにできるのは大きな利点です。
渡りきったら、そこは大嵐駅です。
東京駅モチーフのモダンなデザインの待合室付き。
時間はここで7:00になりました。
秘境駅の宝庫飯田線、列車の本数はごらんの通りです。
商業的価値ではなく、生活のためなんとか維持している路線という感じですね。
駅は構内踏切を渡って島式ホームが一面で、上下二線+側線一線。
規模としては江ノ電とか嵐電みたいなイメージですね。
ホームに立って飯田方面を見ます。複線トンネルのようですが、
トンネル内に分岐があって、すぐそこで単線になっています。
転轍機が動く音がトンネルに反響して聞こえる・・・シブい。
同じく豊橋方面。こちらも同じく入り口だけ複線。
ホームにさしかかる直前、飯田方面行きの線路からさらに分岐して側線。
むちゃな配線してるけど、これだけ山が迫っているから
こうでもしないと場所を確保できません。
ちょうど列車が到着したので、せっかくですからバイクと絡めて一枚。
貴重な2扉車。今度乗りに来るのもいいですねえ。
さて、もちろん、現用線は廃でも旧でもないのです。
ここに来た目的の「廃・旧モノ」は、この奥にあります。
ちょうど上の動画に見えている右側の道を南に入ると、こんんあ構造物が。
旧線切り替え前の貨物ホーム跡だと言われてるものです。
なかなかホーム跡に合法的にバイクを乗り付けられる場所ってないので、
面白い構図になりますね。
さらにその奥には、トンネルが口を開けています。
そしてトンネルの奥にももう一本トンネルが。
それぞれ栃ヶ岳隧道と夏焼第二隧道で、これらも旧線跡なんです。
この旧線はダム建設に伴って湖水の下に沈んでしまうため放棄されましたが、
一部かさ上げの上、道路トンネルとして再利用されています。
元鉄道トンネルを抜けて走るの、ある意味最強の「でんしゃごっこ」ですね。
短い栃ヶ岳隧道と長い夏焼第二隧道を南に抜けると、
眼前に開けるのはこんな景色。いやー絶景ですね。
向かって左手は、本来県道288号線でしたが、
20mもいかないうちにこんな感じ。とりつくしまもないです。
道というより、トラックの荷台を利用した物置が
たくさん放置してあるので、もはやヤードという感じ。
落石注意。・・・うん。そう、だね・・・。
こんな感じで、佐久間湖近辺の天竜川左岸にはほぼ使える道がなく、
現在は大嵐駅から北も、トンネルを抜けた先の南も一切の道が通じていません。
じゃあ何のために沈みゆくトンネルを再利用したかって?
それは、この先に人の住む集落があるからです。
その「夏焼集落」にたどり着くためには、
大嵐駅近くの鷹巣橋とこれらの隧道が唯一無二、必須というわけです。
通行止の反対側、方角でいうと西側はそのまま夏焼集落につながっています。
ただ、ここ10年くらいで住民がみんな移住してしまい、
元住民によって手入れはされているものの、
すでに実質廃集落となっている・・・とのこと。
せっかくなので、廃集落へむけて山歩きです。
車の通れる道は50mくらいで終わってしまい、あとは徒歩道となります。
そこまでの間に目に付くのはこの廃車体。有名ですよね。
集落が現役の頃のもので間違いないんでしょうけど、
この崩れやすいけれど足場のない立地ですから、
崖近くに置いてたものはちょっと大雨が降れば
崩れておっこちたり、陥没して使えなくなったんだろうなあと。
車道が尽きてからはゆるやかな上り坂を沢にそってぐるっと回り込みます。
沢を過ぎてしばらく行くと、石段登場。
ここから本格的に、集落行きの道登り道です。
左手が絶景なのはいいけど、手すりがないのは怖いなあ・・・w
命が惜しければ、雨の日には行かないほうがいいですよね。
足滑らせたらと思うと背筋が凍ります。
石段の途中には、これまた落っことしてしまったであろう廃物。
バイクが頭から斜面に突っ込んでいます。
人間ごとおっこちてなきゃいいんですけども・・・
唯一のアクセス路であるこの石段も、踏む頻度は少ないようで、
吹き溜まりになっているところはどんどん草の侵食を許しています。
手入れしてる方がいなくなったら2年くらいで呑まれそう。
息を弾ませながら石段を3〜4分登ったら集落に到着。
壁に張り付くように家が立ち並ぶ夏焼集落にお邪魔します。
玄関先から見える水面がすごい距離感。
ここでボール遊びはできそうにない・・・
ここまですごい土地に、これだけ手をかけて定住したんですから、
最初にここを開拓しようと思った人たちが何に惹かれたのか、気になります。
石段の開始地点と集落の中腹あたりを結ぶラックレールも
ありますが、多分もう動いていないんでしょうね。
これが動いているならば、荷物の搬入や家の修繕も楽になるでしょう。
手入れに定期的に立ち入るにしても、こうやってハイキングに来るにしても、
メンテしておいて損はなさそうなんですけど。
集落には石段が網目のように張り巡らされ、家々はところ狭しと並んでいます。
これだけの石やコンクリートを持ち込むのも相当な労力がかかっていそうです。
まして、ダムができる前は水面はもっと低かったわけですから。
上の方にもどんどん続いていますが、全部回る体力はないかなあ。
中段の畑のあたりから上を見て一枚。
空の見え方で斜面の急峻さがわかっていただけるだろうか。
あらためて、すごいところに居を構えたもんだと感心しつつ、ひといき。
集落からのダム湖の眺め。
景観は間違いなく一等地ではありますね。
メインディッシュである夏焼集落を後にしたら
また石段を下ってトンネルへ戻り、再びバイクに跨ります。
デザートを食べるべく、そのまま県道1号をさらに南へ発進。
汗が気持ちよく飛んでいくくらいの距離を走ったら、
県道426と分岐して熊打橋を渡ります。
橋より先はダンプがよく走るので、路面が幾分かまともになります。
砂利採取場の砂は転々とありますが、気持ちよく流して南へ進みます。
デザートメニュー第一弾は、佐久間ダム。
これまでも何度か通過はしているんですが、
通過点としてだけで、しっかり訪れたことはなかったんですよね。
今日はせっかくですから、佐久間電力館と展望台でダムをじっくり楽しむことに。
まずはこちら。電力館前に無造作においてある
発電所で使用していたランナ(水車の羽根車)の実物。
ベンチとの対比でサイズがおわかりでしょうか。でかい!
電力館の展示は模型が多くて、実際に周囲を走り回ったあとで観覧すると
「あそこ元々こういう施設だったのか!」みたいな驚きがあって面白いです。
ちなみに観覧は無料でございます。広報施設ですからね。
展望台を奥まで行くと、吐水口側も見ることができます。
これだけ高いところから見下ろしても、谷底は角度が急すぎて全く見えないですね。
そして展望台は予想外に眺めがよく、ゆったりコーヒーが楽しめるスポット。
自販機と飲食スペースもあります。
地形が急すぎて道路からは全体像を見れない佐久間ダムですが、
ここからならきっちり一望できます。
デザート第二弾は、過去も幾度か訪れている原田橋へ寄って帰路につきます。
建設中にへし折られてしまった新原田橋を代替すべく
下流の幅の広いところにどどーんと架橋中の
「新々原田橋」もずいぶん姿が見えてきました。あともう少し!
現在橋の代わりに供用されている河川内仮設道路から見る新々原田橋。
頼もしい立派なシルエットですね。
発電所で使用していたランナ(水車の羽根車)の実物。
ベンチとの対比でサイズがおわかりでしょうか。でかい!
電力館の展示は模型が多くて、実際に周囲を走り回ったあとで観覧すると
「あそこ元々こういう施設だったのか!」みたいな驚きがあって面白いです。
ちなみに観覧は無料でございます。広報施設ですからね。
展望台を奥まで行くと、吐水口側も見ることができます。
これだけ高いところから見下ろしても、谷底は角度が急すぎて全く見えないですね。
そして展望台は予想外に眺めがよく、ゆったりコーヒーが楽しめるスポット。
自販機と飲食スペースもあります。
地形が急すぎて道路からは全体像を見れない佐久間ダムですが、
ここからならきっちり一望できます。
デザート第二弾は、過去も幾度か訪れている原田橋へ寄って帰路につきます。
建設中にへし折られてしまった新原田橋を代替すべく
下流の幅の広いところにどどーんと架橋中の
「新々原田橋」もずいぶん姿が見えてきました。あともう少し!
現在橋の代わりに供用されている河川内仮設道路から見る新々原田橋。
頼もしい立派なシルエットですね。
ちなみに、「新々」原田橋はオフィシャルネームです。
俺の屍を越えていけ的なネーミング。
俺の屍を越えていけ的なネーミング。
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