緊急事態宣言による外出自粛要請下ではありますが、
1都2県内で山に行かない峠を越えない、
かつ密集を避けて誰もいないところ、というしばりで
短距離の散歩を繰り返して、距離もそこそこ伸びてきたので
ここいらでインプレッションをまとめたいと思います。
スペック等、紙上でもわかる項目は納車後の記事もご覧ください
まずは全体の所感!
クイックシフターとDCソケットとヘルメットロックとETC2.0と
グリップヒーターとTFTメーターパネルと電スロ・クルコンと
LEDウインカーが標準装備になって、
長距離ツーリングも軽いスポーツライドも
過積載キャンプもできるすげえやつ、って感じです。
この値段で買えてしまっていいのか・・・!?
カウルデザインは2017年モデル以降からほとんど変わらず。
Ninja1000/Ninja1000SXのデザインの肝は、
もちろんリッターバイクとしての格好よさや重厚感もありますが、
なんといってもライダーに優しいライディングポジションと
優れたウインドプロテクションです。
ヘッドライトの中に「FULL LED」のロゴがあるという
わずかな変化には納車後しばらくしてから気づきましたw
ライトは明るく、光の広がりかたも申し分なし。
真夜中の田舎道でもくっきり明瞭に先を照らしてくれます。
ライトスイッチが改良されたので、パッシングスイッチを
前側(ライダーから見て奥)に引っ張ってハイビーム。
切替えやすくていいですね。
ただ、フルカウルバイクにありがちな
「光軸がハンドルと連動しないからカーブの先が見えない」
という問題に関してはどうしてもつきまといます。
左右下方向の配光にかなりの配慮を感じるものの、
コーナリングライトがないので
致し方なし、というところでしょうか。
調整幅が4段階になって形状が改良されたシールドの恩恵は大きく、
純正のハイスクリーンでは基本ポジションで跨ったときに
1段階目で胸まで、4段階目でヘルメットの下半分、
伏せれば体全体スポっとカバーしてくれます。
立てた状態では上下方向への風のシールドもありますが、
どちらかというと左右方向へ風をいなす設計になっているように感じます。
これに加えて左右ひざ周りのカウル形状、
ミラーを加えたハンドル周りの形状で、
高速巡航時の体の負担がかなり少なくなるように配慮されています。
改良点の大きな目玉の一つであるクイックシフターは、
シフトアップ・ダウン両方対応のすげえやつです。
ただし元々はレース向けの装備だけあって、
リッターツアラーのトルクに甘えて低回転で巡航している時は
あまり気持ちよく入ってくれない、という印象を持ちがち。
(他所のインプレでもそういう記載があったりしますね)
しかし、最低3000rpm、できれば4000rpmくらいまでは
回してから使ってみてください。
高回転で本領を発揮するのがこのクイックシフター。
加速しながら軽快にシフトアップしていく感覚と、
リズミカルに切れ目なく変化するエンジンサウンドは
「motoGPのあれだ・・・!」とワクワクしてくる装備です。
コーナリング中のシフトアップなんてもう最高。
シフトリンケージにセンサーとスプリングが入っている関係で
最初はややシフトフィールが甘いような感触でしたが、
初回点検の1000km走るころにはすっかり慣れてしまうでしょう。
最初のころシフトの入りが甘いなと感じたら、
たぶんクラッチを切り切れてないってことなので、
しっかり握り込むかレバーの調整で対応しましょう。
カワサキ車ではあたりまえになっているので忘れがちですが、
アシスト&スリッパークラッチも入っていて
クラッチレバー自体も相当操作しやすいので、
低回転はクラッチを使ったり、スロットル操作だけで
シフトチェンジしても楽しく乗れると思います。
パニアケースも変わらずオプションでラインナップ。
28L x 2の積載が可能でこのスリムなシルエットはさすが。
トップケースと併用したい場合は社外品を使えば可能。
やっぱりフルパニア・トリプルパニアの
スタイリングは捨てがたいですからね!
ただ、一般的な「細くて深い」パニアケースと違って
カワサキのコレはフルフェイスがインカムつきですっぽり入るので
積載力はパニアケース+シート上積載でも十分でしょう。
フルカラーLCDメーターも視認性抜群。
情報量も多く、基本の速度とタコメーターに加えて
Mode1でシフトポジション、燃料計、外気温、水温、
ODO・TripA/B、リーンアングル、最大リーンアングル、
現在燃費、平均燃費、残航続距離、バッテリー電圧、
平均車速、経過時間が表示可能。
さらにMode2ではスロットル開度、フロントブレーキ圧、
前後Gフォースの表示も可能です。
夜間走行でまぶしく感じることも、
日中晴天で見えづらいこともありませんでした。
燃料タンクは据置の19L。
燃料警告の時点で残り4.3Lとなっています。
平均燃費は下道を流していても20km/Lほど、
高速をゆったり巡航している時には23km/Lほどになったので、
350〜380kmは走れると計算していいのではないでしょうか。
エンジンフィーリングはリッターバイクの強大なトルクを
全域に持ちつつ、スタート時には気持ちのいい吸気音がひびき、
巡航時は振動のないシルキーなエンジン特性です。
スロットルをぐっと開けた時は低音の響きが強く鼓動して、
等間隔爆発ならではの規則正しくきめ細かい、
ザラつきのあるパワー感を感じますね。
もちろんバイクのエンジンですから
回せば回すほどパワーを感じるのですが、
「n回転すぎたら豹変」という感じではなく、
どこの回転数でもウェルカムな懐の深さを感じます。
クイックシフターによるギア選択の自由度アップとあわせて、
アップダウンの激しい山道は相当気持ち良く走れそうです。
この「ヒューン」とインバーターのように吹け上がる
吸気音が好きなんですよね。
コーナリングに関しては、IMUの制御なのか
キャスター角度調整の恩恵なのか、
バンクさせはじめから素直に内側に回り込んでいく印象です。
14年モデルのNinja1000の時は、
高速コーナーで倒し込んだら倒し込んだだけ気持ちよく曲がれる反面、
交差点のような小さくて速度の低い交差点では
やや大袈裟に倒し込む必要がありました。
しかしNinja1000SXはセルフステアの切れ込んでいく味付けが
格段にわかりやすく、よくなっており、
スラロームを片手で回っているような感じで
街乗りも楽しめる性格になっていると思います。
サスペンションとタイヤもかなりよくなっていて、
大きなロードインフォメーションはしっかり伝えつつ、
細かいギャップやアスファルトのざらつきが全く気にならない、
スケートリンクを滑っているようなライディングフィールを味わえます。
プリロード・伸縮減衰力(リアは伸側のみ)ともにアジャスタブルで
前後ともかなり自由度のある足回りなので、
好みのセッティングを探ってみるといいと思います。
自分はリアのプリロードを 20/40(標準8/40)くらいまで強くしたら
前後のバランスが気持ちよく調和しましたね!
クルーズコントロールに関しては、
低速から高速までの幅広い対応速度域、操作の簡単さともに優秀です。
スムースに扱うためにはややコツを覚えると更によし、です。
設定してからすぐにクルコンにお任せしてしまうと、
切り替え時に一度減速〜再加速の手間が生じて
ショックもあれば後続車に迷惑もかかるので、
「設定してから3秒かけてゆっくりスロットルを戻す」
ことを心がければ、うまくコントロールを預けることができます。
同じように解除時も急にオフにするとエンブレが一気にかかるので、
「先にスロットルを開けておいて、クラッチをふわっと握り込む」
ようにすればいい感じです。
ただ、1つだけ欠点があります。
加減速を急激にしない制御のためか、勾配の強い坂にさしかかると、
ゆるゆると4〜5km/hの速度差ができてしまいます。
高速道路の勾配や長い橋梁くらいのなら問題なく
1〜2km/hの誤差で済むので、陸橋とかアンダーパスを通る時は
自身で操作する癖をつけたほうが周りの交通を乱さないで済むでしょう。
整備性もよくなっていて、
サイドカウルまでの取り外しなら、
前半はほぼ六角レンチ1本で作業できます。
もちろんシートを外すのも工具不要。
最後にアンダーカウルまわりだけ大きいレンチと
クイックファスナー外すためのマイナスドライバーが要ります。
スタンドフックボルトの径は8mm(M8)
片出しマフラーになったおかげでチェーンへのアクセスがよいので、
是非フックボルトを買ってリフトアップして
しっかりチェーンメンテしましょう。
メインシートを外すためのタンデムシート下のロックプレートは
締め付けが強いのではなく、ゴムの摩擦のせいで動きがしぶいので、
シリコンスプレーなりグリスをちょっと塗ってやれば
スルッとはずれるようになります。
残念ながら、外したシートの中は既にいっぱいで
ほとんど何も積めないんですけど・・・w
書類とパンク修理キットくらい、ですかね。
あとそうそう、これもカワサキ車で当たり前になってるので
書くことを忘れるのですが、ミラーが正しい位置と
折りたたみ位置(上向き、下向き)に簡単に回せることは
結構便利なんじゃないでしょうか。
駐車時や保管時に邪魔にならないようにサクッとたたんで、
走るときに微調整しなくていいというのは
地味ながらも結構日々の使用時に恩恵を受けられる部分なんですよね。
副次的に、立ちゴケ時に折れちゃうなんてことも防止できます。
あと左右のレバーが調整可能だったり、
目立つ機能を価格据え置きで出しつつ、
こういう地味なところに手を抜かないのはすごくいいと思います。
いいところばっかり書いちゃうとフェアじゃないので、
気になった点を2つ。
1つは、やや右に斜行癖があることw
マフラーが片出しになった影響なのかもしれませんが、
ハンドルをニュートラルにするとやや右にすいーっと進んでいきます。
普通にハンドル握っているときはまったく気にならないものなので、
まぁそんなもんか、というくらいの度合いなんですけどね。
多分クルコンがなければ気付かなかったにちがいない。
(もしかしたら個体差かもw)
それから純正のヘルメットロック取り付け位置が、
車体の一番絞り込まれた位置にあるのでやや不便なのと、
ヘルメットをひっかける金具の部分が
開けたときにタンデムステップのホルダーに当たってしまうので
閉め忘れたまま走ると傷になっちゃう点でしょうか。
とりあえず金具部分にはテープ巻いて保護しておきましたw
車体とは直接関係ないんですが、Ninja1000SX
メンテナンス面で結構お得なのをみんな見落としがち。
Ninja1000SX(とZ H2)は「カワサキケアモデル」に指定されていて、
車体価格に定期整備費用が含まれてるんですよね。
車検の手前、2年半(18ヶ月)までの全部の定期点検と、
年に一回のオイル交換が車体価格に含まれていて実質無料、という。
(車体付随なので期間内なら中古でも受けられる)
ピンとこないので実例をあげると、以下のような感じ。
(工賃とか幅があるのでだいたいの金額)
・6・18・30ヶ月は半年点検になるので各8000円
・12ヶ月点検は10000円
・24ヶ月点検は20000円
・オイル交換(3.2L/3.8L)20000円(初回点検時含んで3回)
合計70000〜80000円くらいの計算になります。
結構維持費にインパクトのある数字ですよね。
オイルの交換周期は6000km(または1年)
オイルフィルターは18000kmに一回なので、
週末しか乗らない人は自費のオイル交換ゼロで車検まで行けそうw
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