前回に引き続き、関西遠征のツーリングレポートです。
彦根に宿をとって一泊したあとの2日目は、関西のライダーの定番、琵琶湖一周にチャレンジします。

出発は5:00、十分な睡眠時間を確保。
まずは彦根城の脇を通り抜け、湖岸道路へ出ます。

琵琶湖を時計に例えると、ちょうど3時の方向が彦根。
今日のルートは、繁華街のある湖南を早めの時間に抜けてしまうつもりで反時計回りをチョイス。
まずは南に進路を向けます。

琵琶湖の周辺は盆地が広がりますが、いくつかこんもりと山もあります。
正面に見えるのは近江八幡の奥津山。
琵琶湖東岸を抜ける道はさざなみ街道と名付けられていて、走りやすい道が続きます。

この日の彦根の日の出は5:30ちょうどで、東の山の向こうがじわじわと明るくなってきました。
自宅のある千葉県北西部よりは15分ほど遅い時間なのが、経度の差を感じさせますね。

さざなみ街道をはずれ、先ほど遠目に見た奥津山を回り込む形で湖岸近くを走ります。
このルートはメインの通行路から外れているので、離合に気をつかう狭さ。
林の中を抜けつつ走ると、時折木立の隙間から湖面が覗きます。

開けたところには満開の桜がちらほらと。
この時間は交通量が少なく、気持ちのいいペースで走っていきます。

回り込みがおわったらさざなみ街道に復帰。
走り始めて気づきましたが、反時計回り・・・つまり左側通行の日本だと外回りになりますが、湖岸の道に逸れたり、メインの道に復帰しようとすると、交差点が全部右折になるので不利ですね。
湖面を対向車線越しに見ることにもなりますし、渋滞を考慮しないなら時計回り(内回り)がおすすめかもしれません。

時間は6:00、太陽はずいぶん登ってきましたが湖面には霧が立ち込めているのか、空が燃えているよう。
出発時に6度しかなかった気温も徐々に上がってきたので、ここでカロリー補給するとともに上着を一枚捨てます。
コーヒーはまだホットかな・・・

守山に入るあたりで湖面の東西幅はいっきに狭まり、岬越しに対岸も見え始めます。
突端にある大きな建物はマリオットとアーバンリゾートですね。
6:00を回ると西の空はずいぶんと青くなってきました。

そのまま野洲川の河口をすぎ、ぐるっと回り込んでさきほど見えていた岬。
縦に長い琵琶湖で、このあたりが一番東西幅が狭く、ここより北を北湖、南を南湖と区別します。
対岸にある堅田の街並みが間近に見えますが、1.5kmに満たない距離です。

ボトルネック部分には琵琶湖大橋が架かっています。
普通車150円、軽自動車等100円ですが、ETCで20%引きなので実質80円。
今回はきっちり一周したいので、渡らないことにします。

南湖に入り、津田江内湖を仕切る水門を渡ってさらに南へ。
内湖というのは、琵琶湖の本体の周囲にあって、本体とつながった湖のこと。
ここ以外にも大小様々数多くありましたが、今や多くが干拓されて農地や宅地になっているようです。
なるほど。

うんちくはさておき、橋を2つ使って矢橋帰帆島を渡るところで近江大橋が見えてきました。
琵琶湖大橋と同じく1.5kmほど、ここがほぼ琵琶湖の南端ですが、もう少し南に降って国道1号線の瀬田川大橋で西岸に渡りましょう。

流れ出る瀬田川は県境付近で宇治川と名前を変え、木津川・桂川とともに淀川となって大阪湾へ注ぎます。
実は、琵琶湖は無数にある流入河川と対照に、流出河川はこの瀬田川のみ。
これは諏訪湖における天竜川と同じですね。

渡った先の大津は滋賀の県庁所在地。
ここで少し寄り道し、こちら上栄町駅の浜大津方面ホーム。
京都三条から山科を経由して、逢坂峠を上がってきた京阪京津線の駅です。

かつて路面電車だった京津線は現在地下鉄東西線と合流し、一部を除いて専用軌道、つまり普通の電車と同じく線路専用の敷地を走ります。
踏切から反対方向を向いて山科方面行きのホームを見ると、その先に道路が見えます。

ここは一部残った併用軌道、つまり路面電車区間の出口です。
それまで両編成でしたが、地下鉄と合体した際に増強。
4両編成の車両が住宅の隙間から現れ、道路上を堂々と走るというなかなか珍しいスポットです。
動画で見ると威圧感がすごい・・・!

レールはしばし道路を走ったあと、湖岸にある浜大津駅に吸い込まれます。
ここで寄り道終了、湖岸の道へ戻ります。

大津市は滋賀最大の都市ですが、非常に縦に長い地形。
その中で三井寺のあたりは湖面眼前まで山が迫り、地形が狭くなっています。
動脈をなんとか確保すべく車線切り替えが実施されていました。
この時間は南行きが3車線、北行きが1車線。

ボトルネックを抜けると、湖岸には大津駐屯地。
旧軍時代から続く由緒ある基地の脇を、しばらく湖畔から離れて走ります。

坂本・雄琴・堅田と抜けていきます。
このあたりは大津市内ですが、戦後の合併で市になった経緯があり、市域としては別物という印象。
とはいえ、ツーリング的にはどこも「よくある国道沿い」といった感じで、大変退屈w
地元の生活があるので致し方ないですが、16号の埼玉区間を思い出しますね・・・

退屈しながら走っていると、時間は早くも7:30。
ここいらで一発休憩しますか、ということで、道の駅 びわ湖大橋 米プラザへ。
よくよく見ると道の駅の名前が五・七・五ですねw

その名前の通り、道の駅からは琵琶湖大橋が望めます。
湖なのでそれほどの大型船はいませんが、そこは国内最大の湖。
そこそこのサイズの遊覧船が通るので、橋は一部を高くして船舶の通行に配慮しています。

琵琶湖大橋を眺めつつコーヒーを空けたら、引き続き北へ。
このあたりからJR湖西線が併走しはじめます。

正面には蓬莱山。
1200m近いその頂ですが、このあたりは日本海側から丹後・丹波を抜けてきた乾いた風がおおいのもあり、もう積雪はほとんどありません。

せっかく琵琶湖一周ですから、極力湖面に近い道をたどりたい。
蓬莱駅の下をくぐって湖岸に近い道路へ入っていきます。
時間は8:00になろうかというところ、空の青はしっかり東の空まで染まりはじめました。

このあたりはマリンスポーツを楽しむ人の家や別荘が並んでいます。
湖水直結の家や、ボートのある家ばかりで、一風変わった雰囲気。

少し内陸の道に入ると、規則正しく並ぶ湖西線の架線柱越しに霞んだ対岸が見えます。
整然と並んだ田畑と水路に植えられた桜並木も美しいですね。

北小松のあたりで山が一気に湖畔に迫りそれに押し出されて内陸を走っていた高規格な国道161号線が湖岸に姿を表します。
この国道は大津の追分からはじまり、終点は敦賀までと、実質湖西線と双子ですね。

湖水の上に鳥居が立っていて不思議だなーと思っていたら

国道沿いにある白鬚神社のものでした。
この鳥居は「近江の厳島」との別名をとり、宮島のそれと並ぶスポットなんだそうで。

国道は崖道を過ぎたらさらに高規格。
片側2車線の準備工事をした高架道路をすいすいと走って高島へ。

高島では岬を回らず、根元を突っ切る形で安曇川を渡ります。

堀割で一山越えたら近江今津の市街地を見下ろしつつ下り坂。

百瀬川、知内川と連続して渡河し、マキノへ。
このマキノ、何かの愛称かと思って調べたら、カタカナ表記が正式な地名。
現在は合併したので自治体ではありませんが、かつてはマキノ町という自治体も存在しました。
とはいえ、元々は「牧野」をカタカナにしたリゾートに端を発するので、実質相性ではあるんですけどね。

マキノで国道とお別れし、湖畔の県道へ。
全然調べてきていなかったのですが、梅津大崎の湖岸の道は桜並木がすごいようで、ものすごい人出。
時間は9:00前ですが、すでに渋滞となっていました。

湖畔の道はごらんの通り狭くて離合が困難なのに、琵琶湖はサイクリングロードとしても有名なので自転車交通も多い。
自転車をうまく抜けない車のペースにつきあわされ、実質自転車の速度で進みます。
とはいえとぎれなく続く桜並木を見ながら走ればペースの遅さは気になりません。

岬の先端西側には土産屋もあり、小さな岬が1年で最も輝く瞬間を迎えていました。

先端付近は急峻で、トンネルを抜けて崖をへつり進んでいきます。
上手く寄せられないくせに大きい車で狭い道に入ってくる人が多いのでペースは徒歩といい勝負w
ここは一通にした方がいい気がするなあ。

やっとのことで岬を抜けたころには、はや30分経過。
北がこんなに混雑してるなら、時計回りでもよかった気がするぞ!

大崎を回り込んだら大浦漁港を抜け、東側にあるもう一本の岬へ。

湾をぐるっと回り込むので、先にある湖岸の道の桜並木がよく見えます。

奥出浜もぐるーっと回り込み。
時間は9:30に近づき、青い空と南からの太陽のおかげで桜はさらに映えます。

大崎にくらべてこちらの道は幅も広く、混雑はなし。
気持ちいいペースで桜の回廊を抜けて先端へ向かって湖畔を進みます。

湖岸には複数の種類の桜が植えられていて、キラキラと不規則な木漏れ日が様々な色を拡散させます。
頃合いとしてはちょうど満開。
ここも全く下調べせずに来たのですが、満足度がぐんぐん上がっていきます。

岬の先端に近づくにつれ、道はやや標高を上げていきます。
空気が濁っているおかげで空の色と遠くの湖面の色が完全に一体化し、空を飛んでいるような景色。

菅浦漁港を回り込んでつづら尾崎を望む道、尾根の中央あたりを横切る白っぽいラインは・・・
そう、これから登っていく、奥琵琶湖パークウェイの沿道を埋め尽くす桜並木。
3000本余りの桜が沿道にみっちりと植えられており、まさに桜の回廊。

最高の景色の中、あっという間に頂上に到着。
駐車場も大勢の人で賑わっています。
気づけば気温も20度を越え、バイクを降りたら暑いくらい。

頂上付近の桜並木も手抜かりなく、しっかり植えられていて満開。
駐車場から少し歩くと岬の先端です。

西北西の方向を向いて、さきほど走ってきた梅津大崎と、今登ってきた奥琵琶湖パークウェイを望みます。
桜並木がはっきりくっきりと道の形を照らし出していますね。

道を走る車が見えないくらいの見事な密度の桜!
いやはや、すごい場所です。

頂上付近をぶらぶらと散策してお花見。
時間帯なのか都市部から遠いからなのか、規模の割には人の数が多くはないので歩きやすくていいですね。

ここでも湖水と空がなじむように一体化。
狙ってもなかなか出会えないような景色を堪能したら、東側に降ります。

東側の道は下への一方通行規制。
これは桜の季節だけでなく、恒久的な対応。
エンブレだけで気持ちよく桜並木を抜けていきます。

こちら側の道は崖が急峻なようで、法面保護が多くて桜の密度はそれほどでもありません。
とはいえ、大崎やパークウェイ西側の道があまりにパワフルなだけで、ここも景勝としては十分です。

東側は日当たりがいいのか、葉桜になりはじめているところも少々ありました。
桜の開花時期はシビアなので、本当に今日たまたま満開だったのは運がいいとしかいいようがありませんね。

いくつか休憩所や展望台がありましたが、どこもなかなかの廃墟感を醸し出しています。
この辺は伊豆最南端あたりの雰囲気に近いですね。

山を降りたら、そこは近江塩津。
大川沿いに広がる田園地帯を抜けて進みます。
正面に見えるのはお久しぶりの湖西線の高架で、この先で湖東を走ってきた北陸本線(米原までは琵琶湖線)と合流します。
つまりここが琵琶湖北端!

山裾の迫る北端の道を国道303号で回り込みます。
多雪地帯ならではの広い路肩がゆったりとS字を描いて伸びる快走路。

賤ヶ岳トンネルをそのまま走ってもつまらないので、あえて旧道に入って賤ヶ嶽隧道をくぐってすすみ・・・。

現道に合流しますが、国道に折れずにそのまま直進して湖畔の県道44号へ。

時間は10:30、やや県道のペースが遅かったので、余呉川沿いに走る農道の桜並木で小休止。
誰も入ってこない脇道で県道を遠くに眺めつつ、フォトセッションと水分補給。
この状況を言い表す語彙力が足りない。

県道に戻って湖水に向けて進みます。
田植えにはまだ早いはずですが、地面を埋め尽くす深い緑色の作物。
一体何を植えているのかわからないまま、癒し成分を受け取ります。

湖岸にたどり着いたら、またものすごい桜並木。
左に桜、右に琵琶湖と、目が泳ぎます。

このあたりは川や水路や公共施設、ことあるごとに桜で埋め尽くされており、見回しても桜が目に入らないことなどないほど。

右手の桜並木が途切れたとおもったら左手にあらわれ、カーブで車体を返すたびに視界を埋め、幸せな走行が続きます。
時間が時間ということもあり、大阪京都圏のライダーも到着しはじめたのか、ますツーリングやタンデムツーリングなど様々なバイクとすれ違います。
コロナ禍では文字通り「大手を振って」走るのはやや憚られた側面もあり、久々に手を振りながら走った気がしますね。

そうこうしているうちに特徴的な大仏が目に入りました。
長浜びわこ大仏ということで、長浜です。

ちょうど時計も11:00を回ったころ。
道の駅 近江母の郷でお昼にします。

昼食はそばセットこと天そば。
気温は23度を指しており、当然ざるそばです。
一気にかきこんでわずか10分で退席。美味しかったんだから仕方ない!

長浜からはもう少し走れば一周の彦根。
このあたりは昨日も走った道なのでサクサクっと進み・・・

彦根城に到着して琵琶湖一周完遂!!!
時間は正午を迎え、寄り道が多かったとはいえ、7時間の道のりでした。
結構時間かかるなー。

駐輪場にバイクを停めたら、早速彦根城に向かいます。

お城は外濠の内側にも駐車場があるのですが、残念ながら今日は満車で城外。
だって桜がこんなに咲いているんだから仕方ない。

南側の京橋から外濠を渡り、中濠沿いに歩きます。

駐車場が満車になるくらい結構な人出ですが、そこは彦根。
皇居だと足の踏み場もないくらいですが、ほとんど人が映らない写真だって撮れます。

屋台のならぶ通りを抜け、表門橋から場内へ。

バイクで7時間走ったあとに城を登るのは疲れますが、昨日の根尾よりは勾配がゆるくて幾分かマシw

城山本体のふもとにたどりつくと、ひときわ高い石垣。

これが1つ目の櫓、天秤櫓。

天秤櫓からはややきつくなった階段を登って2つ目の太鼓門櫓をくぐります。
双方とも重要文化財に指定されている、安土時代から江戸時代当時に作られた本物の建造物です。

太鼓門櫓を抜けて石段を登り、ぐるっと振り向いたら天守。
こちらは国宝となっており、むろん当時もの。

天守の入場は30分待ち・・・とのことで、今日は見送り。
天守を見学するのに桜の季節は関係ないですからね!

代わりに外観を舐め回すように見学します。
満開の桜に彩られた国宝の天守は、こじんまりと実用的ながら象徴性抜群。

夜間はライトアップもされているようで、あちこちに照明器具が設置されていました。
安土時代の城が最新の高輝度LEDで照らされるの、いいですねw

場内の立木は桜に松に楓に・・・と色とりどりで目に嬉しい。
お昼を過ぎても空は青く、景観は100点満点です。

天守からの眺めはご覧の通り最高で、琵琶湖がよく見えます。
対岸の山々も程よく霞んで稜線だけが折り重なるように見えます。

ふりかえって城下を眺めます。
彦根城は当時の史跡の多く残る貴重な施設ながら、濠の中に中学校や高校があったり裁判所があったり、なかなか面白いですね。

さて、お城見物はこの辺りで終了。
馬屋や玄宮園も見たいですが、このまま歩くと足がもたないし時間もないw

帰りは大手門がわから回って、同じように京橋で駐輪場へ。

本日の予定は全て完了!
時間は13:00、ここからは450km、ひたすら高速の旅です。

帰りは名神から新東名と東名、首都高渋谷線の渋滞を迂回して横浜青葉から横浜北線・羽田線経由で帰宅。
琵琶湖一周は200kmほど、それに450kmの高速道路を足して651.9kmでした。

2日間合計の走行距離は1213.8kmになりました。

ODOは64908kmになりました。

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