1日目 蔵王から肘掛温泉へ
2日目 田沢湖一周と極寒の玉川
3日目 尻屋崎と大間崎を回り下北一周
4日目 津軽半島を回って津軽岩木スカイライン
5日目 リアス式海岸と海鮮丼
ツーリングも後半戦、4日目は八戸城下をスタートして津軽半島沿岸をぐるっと走り、岩木山を通って走ってきました。
2日目に回収し損ねた実績も無事にリベンジを果たしましたよ!

ルートはこんなイメージ
出発は少しだけ遅らせて4:30、日の出と共に行動開始です。
まずは八戸市街から国道45号を北西へ。
青森県の北部には、東西2つの半島が伸びており、陸奥湾を囲んでいます。
3日目に東側の下北半島を制覇したので、4日目は津軽半島へ向かいます。

まず上北自動車道で東北へ・・・と思ったら、下田百石から六戸までは第二みちのく有料道路でした。
痛恨の現金精算を経て進みます。
しかしずっと東北にいるので、あらためて東北という文字を見ると困惑してしまいますが、これは青森県上北郡の東北町から名前がついています。
東北町、あえて言うなら「青森県の中で半島を除いた部分だけ見たら東北に位置すると言えなくもない」程度の立地で、わかっていても釈然とはしませんw

東北からは県道121号で一度西南西へ。
国道394号を経由して、国道103号か県道40号で青森市街へいく算段で移動します。

・・・がしかし、クソ寒い。
この日の最低気温は9度程度、それも明け方前という予報でしたが、青森の内陸は予想以上に冷えて気温が5度。
このまま八甲田に近づくのは危険だと思い、ややジグザグルートになるのを承知で国道4号で野辺地へ抜けます。

野辺地から陸奥湾を舐めるように国道4号で西へ。

平内町の中心部経由で夏泊半島の付け根を突っ切り・・・

再び海沿いに。

夏泊半島の西側には有名な浅虫温泉が立地しており、底冷えする朝の体を温めたい誘惑に駆られます。
ここで温泉になんか入ったらそのまま行動不能です。

浅虫からは大規模なバイパス道路で少し内陸を抜けていきます。
北に向かっているはずなのに行き先が秋田や弘前。
国道4号表記ですが、青森から先は国道7号に入る前提の表記ですね。
4号は十和田から「)」のようにカーブ、7号は弘前から「(」のようにカーブし、それぞれ青森に着きます。

青森の中心部に入ると、道路は超高規格。
片側3車線のひろびろとした敷地で市内を東西に横断します。

堤川を渡って市役所前。
さすが県庁所在地、都会ですねえ。

青い森公園前で国道4号は国道7号とバトンタッチ。
いずれもここが終点です。
7号は奥羽本線からY字に分かれた津軽線だけをオーバーパスし、さらに東へ進んだらすぐに新幹線をアンダーパスします。
そこから国道280号のバイパスが分岐するので、これを右折します。

国道280号はここから津軽半島の先端近く、外ヶ浜まで伸びて終点・・・に見せかけ、海を渡ってから国道228号と重複して北海道は函館まで伸びる道です。
ここから津軽半島の前半戦は国道280号だけで進みます。

外ヶ浜町は、間の今別町を挟んで真っ二つに割れています。
飛び地というと「メインの敷地からちょっとだけ飛び出した場所」というイメージですが、外ヶ浜町は2005年に今別町を挟んだ村が合併し、元々三厩村(みんまやむら)だった部分がまるっと離れています。
まずは旧蟹田町(かにたまち)、平舘村(たいらだてむら)部分を走ります。
飛地を挟んでまで合併したのに市制を敷けず町のままというのがなんとも。
というか今別・・・仲良くしろよな・・・

7:30ごろ、陸奥湾の入り口近くにある蟹田の港町と通ります。
色とりどりのブイが海岸近くに並んでいてポップな雰囲気。

そのまま北上すると、平舘。
平成の大合併あるあるですが、いくら行政が合併しても結局地域の人は旧市区町村ベースで生活しているし、施設や名産も旧市区町村ベースなんですよね。

ここまでほぼ真北に北上してきた道が、やや西に曲がり始めます。
このあたりから半島先端に向けた地形ということで、小高い丘の上にはコンクリートの大きなタワーが。

これは「津軽の塔」だとか「津軽コンクリートタワー」とか呼ばれている、旧NTT石崎無線中継所。
北海道にある中継所に向けて電話回線のマイクロ波通信を行っていた時代の名残。
現在は光ファイバーが海底を通っており、タワーにあったアンテナも撤去されています。

小さな漁港が点々と続く国道沿いを引き続き進むと・・・

対岸に陸地が見えていることに気づきます。
あの対岸は昨日走った下北半島の西端。
ややガスっていて判然としませんが、ちょうど仏ヶ浦のあたりが見えているはず?

やがて飛地の間に囲まれてしまった今別町に入ります。

海岸沿いはガシガシと改良が進んでいて、岬が丸ごと切り取られて堀割になっていました。
旧道はもう段差を経て通行不能となっています。
ストリートビューはまだ旧道で、堀割を掘削中ですね。

もう少し進むと、海側に広い敷地と食事処が現れます。
ここが高野崎で、2股に分かれた津軽半島の東側の突端。
岬は無料のキャンプ場になっていて、数組のテントが張られていました。
サイトにはシャワー室や炊事場も完備、この眺望で無料というのはすごいですね。

先端には小さな灯台と、岩場へつづく遊歩道。
岩場の先には2つの太鼓橋が架かっています。

先端まで行ってみました。
水は綺麗に澄んだマリンブルーで、この日はとても穏やか。
岩に寄せるさざなみや揺れる海藻が綺麗。

橋のグレーチングはやや錆が回っていて、一瞬落ちないか心配になりましたw
錆びてるのは表面だけだと思いますが・・・

高野崎で少し時間をつぶしたあとは最突端である龍飛へ。
高野崎の隣には鋳釜崎もあり、ここも無料キャンプ場になっていて、賑わっていました。

坂を下って今別の中心部に降ります。
ぐるっと回り込んだ地形はアーチ状の美しい風景。

街の中心を抜ける海岸線の道は旧道で、国道指定を外されています。
現在の国道は牧場のある高台をつらぬくバイパス状の道。

今別から外ヶ浜町の旧三厩村地域に入ります。
風力発電のブレードで作られたウェルカムツリーが特徴的。
先述の通り、ここから国道は北海道に渡るため、339号に変わります。

そのまま国道339号を走っていき、途中で国道を外れて丘の上へ登って・・・

帯島を防波堤の一部として利用した竜飛漁港を望みます。
奥に見える陸地は北海道、松前半島!
この海の下を青函トンネルが通っているわけですね。

丘の上には誇らしげに青函トンネルの建設基地であるという看板。
しかし海底に向かってゆるやかに下っていくため、入り口は今別町内にあります。

国道を離れて崖上に来た理由はこれ。
崖上と崖下の国道339号は繋がっているのですが、車両は通行できない階段国道です。

階段歩きは2015年に半分だけやってるので今回は見送り。
竜飛のメインディッシュはこの先です。

まずは崖上の階段国道の先に続く道を降り、龍飛崎シーサイドパーク方面へ降ります。
バンガローの並ぶ場内へ向け、眺望の良い道を抜けて折り返し。

そこから国道のさらにもう一本上の道にあがり尾根沿いを少し走って国道に再合流します。
時間は9:00、気温もあがり風も弱い。最高のコンディションでメインディッシュをいただきましょう。

ここからは竜泊ラインと呼ばれる超快走ルート。
竜飛まで来た主目的はこの道路を走ること!!

竜泊ライン(たつどまりらいん)は竜飛崎から小泊(こどまり)までをつなぐ国道339号の別名。
津軽半島の東側の先端の崖にへばりつくように構成された道。
ご覧の通りツイスティで、全線に渡って眺望のよいルートです。

積雪地帯にもかかわらず舗装は比較的綺麗。
溶けたり凍ったりを繰り返す場所では舗装の割れ目に入った水が凍って膨張し、舗装を痛めますが、ここまで雪深い場所だと根雪になって再凍結しない・・・つまり凍りっぱなしになるのがいいのかもしれませんね。

右に左に車体を倒し、右に左に眺望を楽しみ、あっという間に標高を失います。
その間僅か15分ほど・・・この15分のために自宅から760km。
もちろんメインディッシュ以外も美味しくいただくわけですが。

海沿いに張り付いてからは、小泊までゆったりと流していきます。
晴れていて風も海も穏やかなので「ゆったりと」とか言えますが、寒かったり風の強い日・・・例えば2日目とか3日目みたいな日は地獄かもしれません。

青々とした海に面する砂浜は折腰内の海水浴場。
手前の岬と奥の岬の間に隠れているのが小泊の中心部です。

小泊へ入る最後の区間は内陸に高巻き。
頂上にダムに向かう県道286号との分岐があり、その先で一気に入江に下ります。

小泊の市街地に入りそうで入らない場所で国道は左折、また山に入り、小泊岬を内陸からパスしてまた海沿い。
画面中央にうっすら見える山がこれから向かう次の目的地です。

竜泊ラインを終えたので、国道とはここでお別れ。
国道は五所川原から弘前へ向かって進み、海岸沿いの道は県道12号の役目です。

下北半島の付け根と同様、津軽半島の付け根も湖沼地帯。
巨大な十三湖は水深僅か3mほどで、十三潟とも。
湖に浮かぶ中の島へは遊歩道がつながっていて、周辺は公園。

県道は河口を一跨ぎにし、さらに南へ続きます。

ここから先、海岸直近に道はなく、1〜2km離れてメロンロード、さらに1〜2km内側を県道が走ります。
半島付け根が広くなっていくに従ってその間隔も開いていき、間を田畑が埋めます。

小泊から見えていた山が少し近づいてきました。

そのまま県道をずいずい進んで山はさらに迫り・・・

国道101号につきあたったら、これを西に向かって進んで回り込みます・・・

ずいぶん山が近づいたところで、時間は10:30。
奴に立ち向かうべく、一旦水分補給です。
嬉しいことに気温は20度を越えており、防寒具も脱ぎ捨てます!

鯵ヶ沢からは、中村川に絡み合いつつ県道3号。
目的地であるあの山から溢れ出す雪解け水も、この中村側に注いでいます。

県道を入ってくると、山は近すぎて手前の小さな山に隠れます。

県道はぐるっと回り込み、山の南西側へ。

内陸に入るにつれ季節は巻き戻り、またもやちらほらと桜の花、そして残雪。

手前の山を視界から外し、もう挑む準備は万端。

タイトルにも本文冒頭にも書いたのでもったいぶる理由もないのですが、挑むのは岩木山。
道は津軽岩木スカイラインです。

ゲートの少し先に料金所があり、二輪は1050円。
10kmに満たない道路としてはやや割高ですが、それには理由があります。
地図を見れば一発でわかる理由、それはその線形です。
ミニ富士山ともいえそうな独立した山体を、九十九折りしながら一気に上り詰めます。
その執拗なまでのヘアピンカーブは60個以上に達し、八合目の標高は1250mです。

ほぼ全線に渡って「イエローの波線」という法律的にどうなっているかわからないセンターラインが描かれています。
直線とヘアピン、ひたすらそれを繰り返す無限地獄。

路面は砂利が多く浮いており、あふれた雪解け水もたくさん流れています。
側溝にもその外にもガードレールやガードロープといった類のものはなく、落ちたらいっかんの終わりでもあります。
楽しく走ろうなどとは考えず、ただグルグル回る方位磁石を笑いながら走るのが乙。

標高の高い部分は雪がしっかり残っていました。
しかしこの日は1000m越えしても10度くらい。
ガンガン溶けており、側溝はせせらぎで輝きます。

頂上に向かうにつれ、1段ごとの標高差が大きくなります。
どんどん眺望が開けてくるとご覧の通り。
後半、斜面はほぼ真西なので、見えているのは白神山地でしょうか。

15〜20分ほどの走行で、八合目に到着。

この眼下の眺望、もう笑いしかでない絶景っぷり。

引きで撮ってわかる通り、周囲には他に高い山がなく、奥の山脈を眺める展望は最高。

八合目にある休憩所、通称IWAKI1625の屋上は展望スペースとなっており、270度の眺望が楽しめます。
写真右端、小泊の南にある権現崎と、そこから鯵ヶ沢あたりまでの海岸線よく見えます。

残りの90度は、岩木山本体の山頂ですw
八合目より上はリフトで九合目まで行き、大人往復1000円。
最後の一合は登山道です。今日は八合目でおなかいっぱい。

下りもエンブレでゆったり走行。
ふわふわと走って下界に到達し、桜の季節に戻ります。

岩木山からはそのまま最短で宿のある三陸に戻ろうと思っていたのですが、ちょっと寄り道します。

県道3号で岩木山の南東まで移動し・・・

南へ下って岩木川まで降ります。
このあたりは八ヶ岳周辺のような快走路。

川沿いに東へ進み、弘前方面へ向かいます。
時間はこのあたりで12時を回り、気温も25度を越えます。
朝、5度だったのに・・・!!!!

弘前では国道7号に再会。
市街中心部を避けて南下し、大鰐弘前ICから高速へ。

道はおなじみ東北道。
お昼時の気持ちのいい高速を遅めの速度で巡航します。

花輪SAでセルフ給油し、すぐ南の鹿角八幡平で下道へ。
もうお分かりでしょう、寄り道は八幡平アスピーテライン。
2日目に積み残したこの道を回収してから宿に戻ります。

国道282号を南下し、国道341号との交点まで。
一昨日はここで282号を東へすごすごと撤退しましたが、今日はそうはいきません。
何せ気温25度ですからね!!!

341号に入ってからは見覚えのある道。
ただし逆方向です。

最初のヘアピンカーブを迎える手前のゲートで歓迎を受けます。
八幡平は秋田と岩手の県境に位置するので、こちらからは秋田八幡平。

修行感のあった国道は全くその色を伺わせず、路面は完全にドライ。
2ヶ月くらい経過したのかと思いますが、2日しか経過していません。

あえなく通行止め表示だった駐車場。
スペースに雪はありません。

北緯40度のモニュメントもすっかり雪から解き放たれていて、通行止めは夜間のみの告知。
いざ登ります!!

標高はすぐにぐんぐんと上がっていき、残雪こんにちは。
緑の木々も一切なくなります。

八幡平ビジターセンターで既に早くも標高1000m。
時間は13:30、駐車場からわずか10分。

1000mから先、まだまだ一気に標高を稼ぎ続け、雪の壁も分厚くなってきます。

やがて視界が開ける、尾根筋。
道路の頂となる見返峠で1590m、先日行った渋峠が2170mあるのでだいぶ低いはずですが、その分緯度が高く、日本海側なので雪も多いですね。

雪の壁最高峰。
今年は4/15に開通したので、再降雪があったとはいえ、通行可能になってから半月以上。
それでもこれだけ残っているんだからすごいです。

交通量はそれなりに多いものの、渋滞するほどではなし。
両側壁に囲まれた道をゆったり走行。
ここには2015年にも訪れていますが、壁の高さはちょっと高いくらいでしょうか。

南に見えるのは岩手山。
見る角度によっては単峰ですが、西側には尾根が連なっているのがよくわかります。

岩手川の下りは、岩手山をひたすら観ながら走ります。
岩手山の標高は2038mで、こちらより400m程度高いのですが、見下ろすような錯覚があります。

東側には八幡平市の市街地を見下ろします。

望遠で正面に入れて岩手山の勇姿を。
切り返すたびにずっと視界に入るので、岩手山眺望ラインといっても過言ではない。
岩木山と白神山地が対面で見据えられたのと同様に、岩手山と八幡平も綺麗に対となっています。

下ってきて時間は14:00。
そういえば防寒着を着直すことを忘れていましたが、問題ないくらいに暖かかった。

アスピーテラインを下り切り、本日の目的は終了。
八幡平を暖かい時間に通過することを重視して高速を使ったので、宿までの時間に猶予があります。

御在所まで下って一考。
ひとまず完全に忘れていた昼食をどこかで取るとして、三陸まではフル下道で戻ることに。

最後に南を向いてまたもや岩手山。
さすがにここまでくると見上げる姿が鮮明です。
アスピーテラインの南に並行する八幡平樹海ラインもいつか走りにきたいですね。

岩手山をぐるっと回り、北東へ。
連なる山脈は裏へ隠れて、単峰に見えます。

国道282号に出たら、すぐそこに道の駅にしね。
岩手に来たんだから冷麺か蕎麦が食いたい・・・!

ということで、大盛りざるそばいただきます。
信州のもちっとした香り高い白っぽい蕎麦・関西の味がしっかりした色の濃い蕎麦・東北のぷりっと食感の強いのどごし重視の蕎麦、どれも良い。
暑いので後半はわさび多めで冷涼感プラス。

そこからは国道行脚です。
東北道と並行して282号。

森岡市街からは4号経由で396号。

そのまま宮守まで走ったら、県道161号を経由して・・・

県道283号で釜石線と並行して走ります。

釜石線の特徴的なめがね橋をアンダーパスして・・・

東北横断道。
ここから先は2日目朝の逆走。

見覚えのあるコンビニには寄らず、ゆったり下ります。
氷点下の冷え込みに苦しみつつ走った道は、この時間でもまだ16度。

早い車に道をゆずったり、遅い車に追いついて路肩で時間をつぶしたり、退屈しないように調整しながら山間部をひた走り、宿に到着です。

この日の走行距離は594.8km、前半に津軽半島を回ったことが別の日の出来事に感じるくらい、密度の高いツーリングでした!

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