1日目 蔵王から肘掛温泉へ
2日目 田沢湖一周と極寒の玉川
3日目 尻屋崎と大間崎を回り下北一周
4日目 津軽半島を回って津軽岩木スカイライン
5日目 リアス式海岸と海鮮丼
GWの東北ツーリングも最終日となりました。
この日は宿のある大船渡を出発し、三陸沿岸をつたって下道を走り、石巻まで向かって帰路につきます。

朝は昼食の時間を見越した予定とし、春のツーリングとしては破格の遅さ、6:30の出発。
もう2時間くらいは早く起きれなくもないですが、2時間で回れるところは多くないですからねえ。

4泊中3泊でお世話になった大船渡の宿を後にします。
南に向かう前に盛川の沿岸を少し迂回し・・・

貨物駅を眺めます。
大船渡には岩手開発鉄道という貨物線用線が存在し、石灰石輸送を行なっています。
走っているところが見れたらよかったのですが、平日日中のみの運行とのこと。
GW飛び石の平日とはいえ動いているかわかりませんし、始発は7:30。
今日のところは設備を眺めるだけにしておきます。

結節点である盛駅には、岩手開発鉄道の他に三陸鉄道リアス線も乗り入れています。
どれも小規模ながら、川の左右で複雑に絡み合う鉄路は面白いですね。

さて、いよいよ三陸海岸の南下を開始、まずは碁石海岸。
この数日何度もお世話になった三陸沿岸道路の自専道でなく、下道を走ります。
国道45号は海岸沿いに広がる港町や明媚な海岸をいくつも経由して進んでいくルートで、青森から仙台までつながっています。

大船渡から陸前高田までは、海に張り出した広田崎をスキップするため山を登ります。
今は三陸道が一番スムーズなルートですが、この道自体も古くから改良が重ねられたバイパスルートで、大きく綺麗に回るカーブをいくつも越えて快調にすすみます。

陸前高田の中心部からは国道340と343がそれぞれ分岐。
大船渡もそうですが、三陸沿岸の都市は川に沿って内陸に向かう国道と、沿岸を走る国道45号との丁字路を中心に発展しているのがテンプレート。
リアス式海岸の地形のなせる類似性ですね。

陸前高田を通過すると宮城県に入り、御崎岬をスキップするべくまたバイパス。
唐桑トンネルは明るく、不思議な感じのモノトーンにリニューアルされていました。

陸前高田の次は気仙沼。
国道はここで市街地を大きく内陸に回り込んでバイパス、三陸道は河口近くを大きな橋でひとまたぎ、旧国道は市街地をぐねぐねと抜けます。
気仙沼は景色の良いところも多いので、ちょっと国道を離れて寄り道します。

南へ向かって県道218号。
このあたりの道は震災後に新設されたもので、高台を抜ける高規格な道です。

県道の頭上を通る三陸道は気仙沼湾をひとまたぎ。
かなえ大橋こと、気仙沼湾横断橋は2021年3月に開通したばかり。
2020年に気仙沼を訪れた際は、まだ三陸道がここで途切れたままでしたね。

その先にあるのが気仙沼大島に渡る大島大橋。
ここの展望台で小休止。

前回訪れた時と同じアングルで一枚。
時間は7:30、青空と暖かな日差しでアイスコーヒーがうまい。

大島大橋で折り返し、旧国道を使って気仙沼市街を抜けます。
漁港にならぶ大量の漁船が壮観。
気仙沼漁港は三陸海岸の主要港で、遠洋漁業船の基地でもあります。

市街地を抜けたら現道に再合流、階上から大谷海岸へ。
ここは遠浅の砂浜が有名な海水浴場でしたが、津波の影響でかなり被害を受けました。
防波堤の建設に伴って砂浜もなくなってしまう計画でしたが、盛り土の国道を防波堤として利用し、砂浜の維持に方針変更、去年からまた海水浴ができるようになったそう。

次の陸前小泉では、国道が防波堤もろとも津谷川を大きくまたぎます。
三陸海岸はほぼ全ての港に防波堤の建設が進んでいますが、陸前小泉の防波堤は県内最大の14.7m。
この海岸は21mを超える津波によって表土が流されたり地盤沈下して、海岸が200mも侵食された経緯があります。
新しい防波堤はコンクリートが白いので独特な雰囲気がありますが、やがて馴染んでいくでしょうね。

陸前小泉の南で気仙沼市から南三陸町に入ります。
歌津崎をパスする山側ルートです。

気仙沼からずっとほぼ並行していた鉄道路線・・・の跡に造られたBRTの道路が目立ちます。
北上川を渡った先、柳津駅から気仙沼までは気仙沼線が大きく被災、復興を断念し、鉄道敷地を使ったBRTが運行されています。
元々単線だった区間なのでBRTになっても道路1本分の幅しかなく、サイクリングロードのような道路が勾配・急曲線のない伸び方をし、橋や高架が驕られているというのは独特。

このあたりは橋も新設されていて、まるで高速道路のよう。
しかし上下とも1時間に1〜2本、バスが通るだけという大変勿体無い設備。
BRT復旧、コスパ的にどうなんでしょうねえ・・・

お次は南三陸町の中心部、志津川。
役場や警察、消防など行政機関が立ち並びます。

志津川一見平坦なままで、津波対策などしていないように見えますが、なんと町ごと主要な街区全てを盛り土の上に再構築し、嵩上げを行うという力技。
元の土地を全部土で覆うような真似ができるのは、何も残っていなかったからという皮肉でもあります。

嵩上げされていない地域との高低差はこのくらい。
2005年にかさ上げ前の道を通っていますが、その時の写真の背後に見えている盛り土が現在の国道の高さですね。
既視感を覚えないくらい、街の構造が変わっています。

国道はぐるっと回り込んで湾を進み、南側の折立。

こちらは先ほどと同様、2015年のほぼ同じアングルの写真。
防波堤が奥までながーく建設されていることがわかります。
さすがに7年あると変わりますね。

折立でBRTはぐぐっと西にカーブして内陸へ消えていきます。
国道もそれに追従して西を向きますが、これに抗って海岸沿いの道、国道398号を走ります。
国道45号は北上川にぶつかるまでまっすぐ西へ進み、川沿いに石巻で海岸に出ますが、沿岸に用寄り道したい用事があります。

沿岸といっても、ここから崖がちな地形になるため、一見山の上のような風景に様変わりします。
元々の街道である45号がここを避けて通るのも、古くは太い道を通せないくらい険しい地形だったからでしょう。
現代では、こうやって緑の壁のように切り立つ堀割を作ったり、土木パワーを駆使して道を作ることができます。

水戸辺漁港あたりで水戸辺川の作るゆるやかな地形になるので、海が見渡せます。
折立、水戸辺、波伝谷、戸倉、坂本、津の宮、滝浜、藤浜、長清水、寺浜・・・
「漁港」と名のつくスポットだけでこれだけ居並ぶ志津川湾の南面は、いかに漁業資源が豊富か、ということを表していますね。
穏やかな海にむかって漁船がこぞって漕ぎ出す折、時間は9:00を回ります。

ここでちょっと寄り道の寄り道、脇道にそれてみます。
神割崎へ向かう細い道にはたくさんの花が咲き、朝から昼に移り変わる太陽を一身に受けます。
岬にはキャンプ場もあり、名勝として案内されていたので立ち寄ってみました。

が、どうしてかここだけ霧がw
3分前に滝浜あたりを過ぎた時はそんなことなかったのに!

名勝は空振りでしたが、戻った道は最高の快走路。
ここからは石巻市に入りました。
土木パワーで改良がどんどん進んでいて、走りやすい道が続きます。

相川漁港のあたりは改良前の旧道が海沿いの道になっていて、ちょうど見下ろすことができます。
相川復興道路と名のついた改良道は去年の12月に開通したばかり。
ここは旧道もしっかり防波堤でかさ上げされていますね。

漁港から西に抜けるトンネルは小泊トンネル。
昨日の竜泊ラインの行き先、「青森県北津軽郡中泊町小泊」と同じ小泊ですが、これは「宮城県石巻市北上町十三浜小泊」というごくごく小さな範囲の地名。

国道は崖沿いの道をどんどん進みます。

湾だと思っていた地形がいつのまにか狭まり、川になります。
ここは北上川の河口。

河口から3〜4km入ったところに長いトラスの新北上大橋が架かります。

国道はここで左折、橋を渡って進みます。

田んぼには水が入っていて、綺麗な水鏡になっています。
時間は9:30、空には雲一つありません。

道は雄勝半島の根元をショートカットして、雄勝港へ出ます。
このあたりでも改良が進んでいて、雄勝復興道路と名前がついていて、今まさに巨大な築堤と橋梁が繋がっていました。
橋は雄勝一号橋という名前だそう。

改良工事は復興道路だけでなく、震災前から継続して行われています。
道路脇を注意してみていると、廃道となった旧道の破片があちこちに散らばります。
銀河鉄道よろしく路面が空に向かってぶったぎれている部分などもあり、みていて飽きません。

そうこうしているうちに、女川町。
国道45号を素直にたどらなかった理由は、女川に立ち寄るためでした。
女川町の区間はリアスブルーラインという愛称がついています。

指ケ浜、御前浜のあたりは築堤こそ再生されているものの、道が未改良で、海岸直近を走ります。
ここまで近寄ってよくわかる水の透明度。
漁船が出入りできる水深はある港内なのに、水底がくっきり。

内陸に入ったり崖をのぼったり、はたまたリッチな改良区間であったりすれ違い困難な未改良区間であったり、リアスブルーラインは起伏に富んだ表情です。
この崎山トンネルもまた、2021年の11月に開通したばかりで、トンネル脇に旧道があります。
まだGoogleマップは旧道を指したままですね。

そして女川の中心部に到達。
時計はここで9:50、女川に10時着となるよう走っていたので、ドンピシャです。

寄り道の目的は、道の駅女川、地元市場ハマテラスです。

10:00オープンのお魚いちば おかせいさんで・・・

海を見ながら海鮮!!!
今日の主目的はこれでしたw
今回のロングツーリング、連休で混雑しすぎ+1人で入りやすい店少なすぎであまりグルメ的な楽しみを入れ込めなかったので、最後くらいはと奮発して贅沢しました。
海鮮五宝、3,300円なり・・・

目的を達成したら、あとは帰るだけです。
ここからは三陸道をめざして、石巻へ走ります。

隣に見えるのは、女川を終点とし、石巻駅を経由して小牛田まで向かう女川線。
万石浦沿いはずっと隣にぴったり並走。

その先、国道は牧山を海沿いに南から迂回、鉄道はトンネルで北へ抜けます。
ルートはどちらにも向かわず、県道234号でショートカット。

無数の鉄塔がならぶ上品山と牧山に挟まれた田園を抜け、西北西へ。

やがて北上川の旧河道を超える手前で、唐突に国道398号に復帰。
ここから女川までは、石巻バイパスとしてトンネルで一直線につなぐことが計画されています。
そうなると、おそらく県道234号は廃止になるでしょうね・・・

国道バイパスは石巻女川ICにぶつかって、そこから三陸道に。
三陸道からシームレスに仙台東部道路〜常磐道とつなぎ、渋滞一切なしで余裕の帰宅です。
上りの渋滞ピークは5日、6日は本来平日ですからね。
この日の走行距離は547.7kmとなりました。

1日目が830.1km、2日目が528.0km、3日目が615.9km、4日目が594.8kmでしたので、合計して3116.5kmでした!

ODOは69619kmになりました。お疲れ様!!

コメント
コメント一覧 (2)
PC画面越しではありますが
まるでご一緒にツーリングしたかような疑似体験ができました。
今後も期待してます!
そう言っていただけると日々更新した努力が報われる気分です。
ありがとうございます!
今後も頑張って書いていきます。