国道全線制覇は高速移動がつらい秋季・冬季にやりがちなプランですが、先日のマスツーリングで高速移動した反動もあり、梅雨時の走りやすい気温のタイミングで決行。
日照時間が長い分、欲張りプランで日帰りで二本、しかもフル下道でやっつけることにしました。

ルートはだいたいこんな感じ
まず走るは国道254号。
東京都心の文京区、本郷3丁目交差点から始まる国道なので、都心の奥深くへ。
出発は日の出に合わせて4:30前後とします。

スタートの本郷3丁目交差点には5:00少し前に到着。
四隅にビルが立ち並び、地下には東京メトロ丸の内線と都営地下鉄大江戸線が走ります。

書類上の国道としてはここが起点ですが、実質は都道453号線とあわせて春日通りとして機能しています。

春日通りは丸の内線沿いに走り、やがて首都高池袋線と出会います。
高架上で高速の下層に入り込むという都心ならではのアクロバティックなルートどりで池袋駅の北側を抜け、北西へ。

板橋で環七通りとクロスすると、ここからは「都心」から「都内」へ移り変わるといったところでしょうか。

順調に走って10分ほどで埼玉県に入ります。
半地下構造の外環道を乗り越え、朝霞駐屯地の脇を抜けてさらに北西に進みます。
始点からここまで、多少のうねりはあるもののほぼ同じ方向を向いて進み続けています。

所沢・三芳・朝霞・新座・清瀬・志木・富士見・・・と市区町村の入り組むあたり、英(はなぶさ)インターチェンジが現れます。
旧道は直進して進みますが、くるっと回って右方向、国道463号に間借りする形でバイパスが走ります。
このあたりはとりとめのない郊外の道が続くので、バイパスでサクッと進みましょう。

一旦目的地から目を逸らし、北東方面へ。
時間は5:30、まだ北の空は朝焼けの色を残します。

浦和所沢バイパスとの重複区間は4.5kmほど、左折してあらためて目的地へ回頭。

ここからは国道254号単独の富士見川越バイパスです。
ひたすらに直線、たまに小さくまがり、また直線。

国道16号と並行してやってきた現道と合流し、川越城の脇を抜けてさらに進みます。
観光地の案内看板がてんこ盛りで、なんとか川越の中心部に呼び込もうという努力を感じます。

そんな川越をスルーし、川島町に入って圏央道をアンダーパス。
ここで時間は6:00を回りました。

つづいてずっと左手、南側を離れて並行していた関越道をアンダーパス。
ここまでほとんど平坦な地形だった沿道も、少し起伏が出始めます。

嵐山から先でも、国道は小川バイパスを使って市街地を迂回。
大規模な切り通しや造成地の間を抜けてバイパスを抜けます。

玉淀大橋で荒川を渡ったら、国道140号に突き当たって重複。
ここを右折し、すぐに左折して単独走行に戻ります。

ふたたび平坦な地形に戻り、淡々とした道をひた走ります。
神川町区間では綺麗な並木が目をひきます。

神流川を渡って埼玉県から群馬県へ。
橋の名前は藤武橋。
時間は7:30を回ろうかというところ、さすがに明るくなってきました。

藤岡市街の外れで、関越道から分岐した上信越道をアンダーパス。
ここからは関東平野の隅、細く伸びる鏑川流域を上信越道・上信電鉄と並行して進みます。

吉井からは、県道経由で富岡バイパスも並行しはじめます。
ここはバイパスの区間も短く、交通量も多くないため現道を引き続き進みます。
ここまで北東方面に一貫して進んできた国道は、ここから真西へ。

世界遺産に登録された富岡製糸場の脇を抜けます。
西富岡の駅から先で道が一気に狭まり、山も近くなります。
地形的には「関東平野はここまでだよ」といわんばかり。

横川方面から碓氷峠を目指す上信越道はここで北へ離脱。
国道254はそのまま愚直に西に進み、下仁田経由で内山峠を登ります。

と、峠へ入る前に寄り道。
以前から気になっていた、下仁田あじさい園が見ごろを迎えているので立ち寄ります。
開園が9:00とのことで、道の駅で少し時間をつぶしてからの来訪。

下仁田ICの脇にある小道を登り、山の裏手へ。

無料駐車場にバイクをとめて、しばしハイキング。
あじさい園は協力金300円で入場できます。

園内にはおおよそ2万株ものあじさいが斜面に沿って植えられており、これをジグザグに通る遊歩道で眺められるスポット。

順路に沿ってゆっくり回って30〜40分ほど。
休憩をはさみつつであれば1時間くらいで巡れます。

背の低いあじさいが並ぶ斜面は、その恩恵で眺望もよくなります。
南蛇井の集落を見下ろす気持ちのいい景色に色とりどりのあじさいが映えます。

花は青いものと白いものが多く、ピンクや紫がちらほら。
透き通った青い空に溶け込むような青いあじさいが綺麗です。

日当たりや株にもよりますが、この日は6〜7割の開花といったところで、来週までは見ごろが続きそうですね。
何色で咲こうか迷っているような色とりどりのツボミもかわいい。

時間も9:00を回り、太陽も高くなり始めました。
あじさい園は北西向きの斜面にあるので、日当たりは午後のほうがいいかもしれません。

遊歩道は小さな橋あり、ウッドチップの階段ありとバラエティ豊かに綺麗に整備されていて、散歩していて快適。
人出もおおすぎず、ゆったりと見て回ることができます。

水草に覆われている小さい池もありました。
ここは蓮も綺麗に咲きそうですね。

ぐるっと一周、ちょうど30分ほどたっぷり鑑賞して、国道制覇に戻りましょう。

下仁田からはこれまでの平野風景が一変。
一気に山に向けて川沿いの谷を進み始めます。

時間は10:00を回り、お世辞にも快走とは言えない速度で内山峠へ向かって登ります。

片側交互通行実施中の橋を越えてトンネルで峠を抜け、ここからは長野県。

ゆるやかに佐久盆地に降り立つと景色は一気に開け、高原風景。
やや汗ばむくらいに気温が上がり始めていた群馬川と比べ、スイッチを切り替えたかのごとく涼しい空気が流れます。

佐久の中心部を抜け、千曲川を渡って国道は右折。
ここで国道は142号と重複開始。
そのまま中部横断自動車道をアンダーパスして川沿いにさらに西へ。

まるで夏の始まりを告げるような、育ちはじめの積乱雲が浅間の山々にかかります。
田植えを終えたもののまだ背が低く、水面がよく見える田んぼの中を突っ切って走ります。

新望月トンネルを抜け、国道は重複したまま蓼科方面へ。

立科町の中心部を通り過ぎると、国道は分離。
142号は旧中山道、笠取峠を越えますが、我らが254号は一本北の宇山バイパスを抜けます。
旧道は宇山の市街地を抜けるルートです。

気持ちの良い切り返しを抜けて、丘を下ったら長和町方面へ。
時間はここで11:00を回り、影もほぼ真下に落ちます。

長和町で国道152号につきあたると、少しだけ重複区間。
ここを右折して北へ。

すぐに単独走行を取り戻し、254号は松本を目指します。

内村川沿いのゆったりとした快走路を山へ向かって走ります。
高原地域とはいえ、この日の気温は夏日。
エンジンの排熱と直射日光でふくらはぎが焼けそうw

登坂車線のある快適な道をすいすいっと登っていきます。

不自然に隠された看板の左折は永年通行止めの県道464号。
いつのまにやらGoogle MAPも通行不能の薄い色で描くようになっています。

その先には不自然な空き地。
三才山トンネル有料道路の料金所跡地。
2020年の9月に無料化され、料金所は撤去済みです。

ひんやりとしたトンネルで一気に体が冷やされ、また灼熱の地表へ。
引き続き高規格な道をスイスイ降ります。

松本へは最後の一息、市街地へは県道284号や国道143号が直結ですが、国道はもう少しだけ単独で走ります。

最後に小さい丘を松本トンネルでぶち抜き、犀川と梓川の合流地点へ向かいます。
ここも同じく2020年9月に無料化された道で、同じように料金所跡地が残ります。

平瀬橋の東詰、平瀬口の交差点で国道254号は終点を迎えます。
ここで時間は12:00前、国道254号はおおよそ7時間の走行で全線制覇でした。

さて、帰路は高速でまっすぐ帰ってもいいのですが、冒頭の通りこのままでは終わりません。
299号を走破するため、起点である茅野へ向かいます。
まず松本城や市役所の脇を通って南へ。

市街地を避け、山裾の県道63号をゆったり走行します。
田んぼから流れてくる空気が涼しく、盆地の灼熱を和らげます。

東の空、遠くにはやや怪しい雲。
梅雨の晴れ間の暑い日ですから、急な雨には用心せねばです。

濡れる前に土産でも調達・・・と思い、道の駅小坂田公園に寄りましたが、残念ながら再整備工事中でお土産屋はCLOSED。
道の駅としては異色で、園内はゴーカートがあります。
小走りくらいの速度でゆったり走る子供用の遊具ですね。
レーシングカートみたいなのだったら一人でも遊んでいたかもw

土産はまたどこかで買う事にして道の駅ではコーヒーブレイクだけにとどめ、国道20号で岡谷へ降ります。

諏訪湖を見下ろしながらエンブレで下る昼下がりの空気は最高。
やや雲が多くなってきた空模様が、雨の不安と同時に涼しさの恩恵ももたらします。

諏訪湖に降り立ったら、西岸からぐるっと回り込みます。
釜口橋で天竜川を渡り、釜口水門を横目に湖畔の道へ。

湖畔を走る間にもどんどん増える雲が不穏・・・。
来週、25日の土曜日はトライアスロン大会があり交通規制が敷かれる予報だそう。
訪れる人はご注意ください。

諏訪湖を抜けてそのまま進み、中央道をアンダーパス。
国道152号との交点で左折し、交差点1つ分すすみます。

中央道と国道20号を連続してくぐる新井交差点、ここが書類上の国道299号の視点です。
ここらで距離的にも折り返しになるので、ガソリンも満タンにして、満を辞して帰路の行程を進軍開始!
時計は13:15。

ルートのはじめは完全に国道152号のペース。
諏訪ICで降りてビーナスラインへの玄関口でもあり、299号は脇役。

やがてビーナスラインと別れますが、まだ国道は152号のまま。
目指す先の一部として299の表記が現れ、一歩前進。

ビーナスラインの次はメルヘン街道と、なんだかキラキラしたネーミングが続きます。
まだ看板は152号が主役級ですが、メルヘン街道は299ルートの通称です。

スタートから8kmあまり走って、やっと単独区間。
ここまで主役ヅラしていた152号はいきなり重量車通行不可となり、行き先も抹消。
湯川温泉の合間を抜けるので迂回してほしいんでしょうね。

南からやってきた八ヶ岳エコーラインの終端をクロスし、国道走行の本番開始です。
並み居る有名観光道路を切り捨て、一路麦草峠へ。

麦草峠へ入る前、蓼科高原の袂を通ります。
別荘やコテージ・カフェが居並ぶ観光地一帯を静かに抜けて進みます。

やがて背の高い白樺の林が目立ち始めると、本格的な上り坂。
うーん空が真っ白なのが惜しい風景!

時折覗く青空に期待を寄せつつ、ぐねぐねと切り返して登っていきます。

気温はぐんと下がっても15度。
メッシュジャケットの下は半袖ですが、風もないので着増しはせずとも余裕の走行。
標高2127mの麦草峠で本日の最高標高を獲得し、下りに入ります。

峠の周辺、登山口の駐車場は満車状態。
コロナ禍で許された数少ないレジャー、アウトドアに目覚めて訪れた人は多そうですね。

幸い雨に打たれないまま、ドライの路面を楽しんで峠を滑るように降りていきます。
麦草峠の佐久穂側は近年再舗装されていて、足元が吸い付くようなワインディングロード。

国道は眼下に小海を見下ろしつつ、八千穂高原を迂回して進みます。

どんどん晴れ間の面積が狭まっていき、雨は南からやってきました。
ギリギリ雨雲との境界線を縫うように東へ東へ。

往路に佐久でクロスした中部横断自動車道の暫定終点である八千穂高原ICをくぐり抜け、道は一瞬国道141号と重複。
ここで時間は14:30を回りました。

そのまますぐに単独区間に戻って、今度は十石峠を登り始めます。

峠を見上げる視界は・・・こりゃ大雨だな。
路面も今さっきまで降っていたであろう雨の影響でぐっしょり。
雨量は雨雲レーダー画像が真っ赤な表示になるほどの大雨なので、時間に余裕もあることですし30分ほど時間をつぶしてやり過ごします。
南からやってきた雨雲は、掠めるように北西に流れていく予報。

木陰に入り、雨雲の移動をタイムラプスで撮影して遊んでいるうちに30分。
短い雨だったので数滴の雨粒を受けただけで、ちょうどシールドを綺麗にするのにおあつらえむきw
雨上がり間もない、湯気の立つ道を進軍再開です。

雨雲が流れ去ったあと、晴れ間と雲の影が目まぐるしく変わる道を、折り返しを重ねて進んでいきます。

峠は東に下る片峠といってもよく、西側の斜面はすぐに終わって長い下りが始まり、ここから先は群馬県に戻ります。
2019年の台風以来通行止めが続いていた十石峠は久々の全通で、通行止め中に何度か麓までは訪れていますが、今日は上からアプローチ。
ここで時計は15:30。

ウエットパッチというにはいささか大きく深すぎる水溜りを避け、時には泡だてながら下っていきます。
これだけ路面が濡れているのに空からは日光が降り注いでいるのがものすごい違和感。

幾度となく現れる警告の看板。
十石峠は道が狭く勾配も急ですが、地図上で見てそれほど折り返しが多くないので、迷い込む車が多いのかも。

視界の開けた場所で、すっかり雲の抜けきった青空に安堵しながら下り走行を続けます。
先の山ではまだ雨が降っているようですが、予報ではあれもすぐに消えていきそう。
リアルタイムで雨雲レーダーを追いかけながら行動できるツーリング、テクノロジーの恩恵ですねえ。

上野村まで降ったら峠道はひと段落。
川の駅上野に寄って長野で買い損ねた土産調達を済ませ、次の峠を目指します。

神流川沿いに上野村の中を抜ける区間は改良著しく、川の蛇行を無視して長大橋とトンネルでほぼ直線に貫きます。

そのまま上野村中心部を抜けたら、神流町へ。
神流町で国道は右折して分かれ、志賀坂峠へ挑みます。
直進する道は国道462号で、神流川沿いに伊勢崎へ。

さすがに16:00を回り、太陽光が黄色を帯びてきました。
しかし日没まではまだ3時間近くもあります。夏ですねえ。

木漏れ日の中、半分乾き始めた路面状況を読みつつ峠道を登ります。

峠の頂で志賀坂トンネルを抜けたら、その先は埼玉県。

急峻な峠はここが最後、あとは山間部をつなぎながらも概ねおだやかな道。
飯能までは70km少しなので、順調に走れば2時間くらいで辿り着けそうです。

小鹿野の中心部をド直線で抜けて、東へ下っていきます。
いつから更新していないのか、えらく古めかしい書体の看板を見上げつつ進みます。
看板は古いですが支柱は比較的最近の鉄柱なのでギャップがすごい。

ダラダラと走って赤平川を抜け、国道は一度北東方面へ大きく迂回。
秩父の山をぐるっと取り囲んで、また南東へと折り返します。

秩父橋で荒川をパスしたら、秩父の中心街。

久々に見た街らしい街。
商業施設の居並ぶ駅前の道をゆっくり車列に埋まりながら抜け、その先で東へ左折。

秩父神社の脇を通り抜け、秩父鉄道の踏切を渡って市街地を突破。
ここで時間は17:00。

夕焼けに染まり始めた武甲山を横目に、横瀬川に沿って芦ヶ久保へ。

著名で手軽な観光地である秩父の夕方、東へ向かう道は帰路のラッシュ。
ここは半ば諦めの境地で、ひたすらに隊列の一部と化して進んでいきます。
たまに堪え性のないヤンチャなバイクがイエローカットや路肩走行で抜けていきます。

インカムのプレイリストを変更して眠くならないようにコントロールしつつ、お行儀のいい隊列走行。
なまじ変にクネクネした道なのが脳によくない。
国道走破が目的でなければ名栗から迂回するのが正解ですねこの道は。

そうこうしている間に飯能の中心部へ突入。
街の北を抜けるバイパスと南側を抜ける道ですが、時計も18:00を回って小腹も減ったのであえて中心部へ。
もうこの先は市街地を抜けるだけなので、日が暮れても構わないですしね。

飯能から少しだけ狭山に入り、バイパスと交差して入間へ。
バイパスに対して直角に交差しますが合流はせず、それぞれ別の終点を迎えます。
そのためこの笹井交差点では、登場する道路が4方向とも299号ということに。

おもしろ交差点で右左折せず、現道の終点へ。
根岸交差点で右折したあとは、豊水橋で入間川を渡って・・・

国道16号との交点へ。

最後は河原町交差点で、国道299号のゴールです。
おおよそ5.5時間の走行でした。

目的は達し、あとは帰るだけ。
入間からは日没後の夕焼けを背にして都心を抜けて走り、最短距離で帰宅です。

この日の走行距離は539.3kmでした。
いつものツーリングからすれば長距離とは言えないものの、フル下道で市街地も抜けてということで、休憩諸々込みで16.5時間ほどの走行となりました。
帰りはさすがにどっぷり暮れ、ツーレポもこうして翌日(翌々日に食い込みましたが・・・)の執筆となりました。

ODOは73682mになりました。

コメント