関東は、先週から暑さが尾をひきつづけ、都心で8日連続の猛暑日を記録する気象。
暦が7月に変わって一発目のツーリングは暑さを避けて早朝から高原へ登ってきました。
猛暑の中、帰りの高速の渋滞に遭わないようにするには夜明け前行動が最適。
2:00起床の3:00発で、首都高を経て中央道へ。
背中側から明るくなってくる空の中を走って甲府盆地を抜け、標高が上がり始めるころに4:30、夜明けを迎えます。
山梨から県境を越えて長野に入るあたりでは、路面はしっとり乾き始めの様子。
霧なのか、はたまた雨なのか。
諏訪ICで中央道を降り、先々週走った国道299号の起点に立ちます。
あの時名残惜しく見送ったビーナスラインが、今日の前菜です。
時計は5:00をまわり、まずはコンビニで水分補給とルート確認。
まだ余裕はありますが、早朝の山間部で開いているスタンドを探し回りたくないので給油もしておきます。
山の稜線から顔を出したばかりの太陽にむかって、まずは国道152号と国道299号の重複区間を走っていきます。
やがて国道から分岐、ビーナスラインは県道192号として蓼科山へ向かって走ります。
暁のオレンジに浮かぶ姿は、諏訪富士の異名に違わぬシルエット。
一度別れた152号とクロスしたあたりから、道の雰囲気は「諏訪湖畔」から「蓼科高原」へと様子を変えます。
整備された木立の中を、早朝の涼しい風を受けながら気持ちよく抜けていきます。
本当に心地よく、この風がツーリングの醍醐味の一つであることは言うまでもありません。
まだ交通量の少ない高原のレジャー地帯に目もくれず、道はひたすらゆるやかに標高を上げていきます。
諏訪市から立科町に入り、尾根筋にたどりつくと眺望がひらけます。
まだ赤みの残った低い空と、抜けるような青に染まった高い空。
奥には北アルプスの稜線も望め、絶景。
道はまもなくして、白樺湖の湖畔を通過。
快走of快走なので、ノンストップで進みましょう。
東から登った太陽に照らされ、順光になった西向きの風景はブルーとグリーンのツートン。
7月に入っただけあって草原の緑も発色が良くなってきましたね。
フェルトを敷いたかのように生え揃った、美しい山肌は車山高原。
右に左にと抜け、さらに西へ向かって進みます。
一方で東空はまだ彩度が低め。
山間にちらっと見える白樺湖と、その奥に見える蓼科山には一旦背を向ける形です。
木立に囲まれた高原風景もいいですが、背の低い草ばかりで見通しのいい高原風景もまた良し。
ビーナスラインといえばこちらの風景のほうが馴染みがあるかもしれません。
大回りで気持ちのいいヘアピン2本で標高を下げると・・・。
ほどなくして霧ヶ峰です。
ちょうど時計は6:00を回ったところ。
諏訪からまっすぐ登ってきたであろう車が続々と駐車場へ吸い込まれていきます。
まだ施設も開いていないですし、ここはスルーして先へ進みましょう。
ビーナスラインの案内通り、右折して北へ進路を変えます。
北側の斜面はまだまだ日陰で、その標高もあいまって、気温は20度に達しません。
やや肌寒いくらいで、この後の猛暑が想像できないですね。
人気のドライブ・ツーリングルートであるビーナスラインも、早朝がゆえに閑散としています。
追いつくこともなく、追いつかれることもなく、道路を独り占め。
見下ろす諏訪湖はやや霞んでいて、まだまだ朝靄の中という雰囲気です。
そのまま走っていくと、和田峠。
今日のルートはそのまま直進。
曲がると国道142号です。
和田峠で、この先のルートが全面通行止めとの告知を発見。
予定変更か?と危惧しましたが、番所ケ原スキー場から武石峠ということはビーナスラインの「向こう側」ですね。
幸い支障にならないので、このまま続行。
空を見上げるたびにどんどん青色が濃くなっていく朝の山頂、ヘアピンカーブを楽しみつつまだまだ北へ。
時計が6:30を回ろうかというところで、扉峠へ差し掛かります。
峠の分岐を曲がらず直進すると、すぐ先に小さな交差点。
ここでビーナスラインに別れを告げ、右折。
曲がった先は県道67号線。
主要観光ルートから外れたので、一気に道路脇の木々が鬱蒼とし、路面状況も悪化。
とはいえ、一般的な山間部の県道としては悪くない程度の道です。
いい感じにバンクが深くなるヘアピンを連続して越え、高度を失っていきます。
道は南東方面を向いており、木々の隙間から太陽がチラチラと覗きます。
太陽の位置が高くなるのが早いですねえ。
依田川沿いに一気に山を下って谷底へ。
国道147号にぶつかって県道は終わりを迎えます。
ルートはここで左折し、北東へ。
142だったら和田峠で曲がったらよかったのでは?と思った人はご明察。
降りてきた県道をまだ走ったことがなかったので、あえて寄り道しただけなのでした。
国道はおだやかな谷間をスイスイと抜けていきます。
規則的な稜線が両側から落ち込む地形はなかなか美しい。
ここは旧中山道の和田宿、ということは、昔からたくさんの人がこの風景を眺めたはず。
スタートの茅野、白樺湖で2回遭遇した国道152号がまたもや南からやってきて合流し、すぐに分離。
ルートは乱されることなく、そのまま国道142号を進み、笠取峠を越えます。
笠取峠の区間は改良され、大きなヘアピンを連続してスムーズに越えていきます。
脇道には改良前の旧道も一部通行可能なまま残されているので、あえて狭い道を走って楽しみます。
交通量が少なく、路駐して居眠りしている車もいる穴場。
峠の向こうは立科町の中心部。
ここで役場の脇を通って抜け、県道40号に入ります。
40号は南を向いて、山を登っていきます。
時間は7:00を回りました。
行く先の案内は、とっくに通り過ぎた白樺湖。
ぐるっと回って戻るようなルートを進みますが、白樺湖までは行きません。
芦田川沿いにおだやかな道を登っていきます。
元気よく飛び跳ねる鹿のマーク、バイク的には遭遇・衝突するとただじゃすまないのでとてもおっかないですね。
南進する道の途中に小綺麗な展望台があったので寄り道してみます。
展望台の名前は「三望台」。
浅間山・荒船山・蓼科山が望めるので「三望」だそう。
残念ながら空気の透明度が足りず、山はあんまり見えませんでした・・・。
しかしながら、小高い丘の綺麗な空気を吸ってバイクを眺めながら一息つくにはまぁよし。
そうこうしているうちに標高はどんどん上がり、高地の積雪量を物語るような頑強なスノーシェッドをくぐります。
そのまま尾根に近づくと、道は広大な牧草地の広がる長門牧場の脇を抜けます。
深い山の緑と明るい牧草のツートンが青い空に映えますね。
ソフトクリームを食べるには時間がまだ早すぎます。
長門牧場を抜けると、女神湖の湖畔。
水面にはこれからシーズンを迎えるであろうスワンボートが綺麗に並んで浮かびます。
時計は7:30を回りましたが、まだ影は長く、地面は日陰。
まだ誰も観光客のいない土曜の朝は不思議な雰囲気。
女神湖の湖畔で、白樺湖へは向かわずに左折。
東へ向かう道は、蓼科スカイラインです。
太いセンターラインが特徴的なスカイラインをスイスイ登っていきます。
林道なので、やや路面のうねりやひび割れがあるものの、落石や落ち葉などはない走りやすい道です。
御泉水自然園を突っ切り、スタートで西から見た蓼科山へ、今度は北からアプローチ。
そのまま進み、蓼科山の登山口を過ぎるあたりで、道は東へ。
登山口はたくさんの登山客で賑わいを見せていました。
駐車場に入りきらない車が延々と路駐してて危ないなあ。
その先は大河原峠にさしかかります。
峠の近くから見下ろす佐久方面は、綺麗に透明度の高い雲海がかかっていて、まるでヴェールのかかった食卓のよう。
景色を楽しみつつ、大河原から先は下りに転じます。
人口密集地の反対側に下るこちら側の道は、やや貧弱なつくりになるものの、十分に快走路です。
廃墟なんだか現役なんだかわからない蓼科仙境都市周辺の別荘やコテージの合間を縫うように抜け、どんどん東へ向かって降ります。
時間は8:00をまわり、標高を失ったこともあって体感温度がどんどん上がってきました。
とはいえ、まだまだ高原の朝。
メーター上の外気温はまだ20度を下回っていて、暑さとは無縁の走行が続きます。
すいすいと気持ちのいい蛇行を続けてスカイラインを走ると見えてくるのは、美笹深宇宙探査用地上局の54mアンテナ。
以前通過した時は曇り空でしたが、今日は快晴で白いアンテナがよく映えます。
アンテナをなめるように90度ぐるっと敷地を回り込んで、スカイラインはさらに東へ。
やがて美笹湖の湖畔で蓼科スカイラインの終点を迎えます。
ここからは脇道に入り、権現池方向へ抜けます。
すぐに見えてくる権現池からは南へ折れ、林道西山線を走ります。
西山林道は、千曲川沿いに広がる町の西側の山中を、国道141号と遠目に並行しつつ折り返しながら抜けるルートです。
直線距離では10kmほどのところ、道なりに進むと18kmになる程度にはグネグネしています。
道は「まぁよくある舗装林道」という雰囲気でスタート。
道中は林道らしく、森林資源に関する看板を発見。
前田建設が実施している造林事業のようですが、平成33年と存在しない年号なのが面白いw
改元は予想できないですからね。
山中を孤立して走るわけではなく、中腹を抜ける道は他の道路とのアクセスも多いようで、場所によって交通量に大きな開きがある様子。
直前に走った蓼科スカイラインに遜色ないような箇所もあれば、左右の草木が生い茂ってこんなことになった場所も。
先の状況が見えないので怖い怖いw
林道は沢筋を通るたび、千曲川沿いに下る道とクロスしながら進んでいきます。
林道走行中はほぼ木に覆われて空がよく見えないので、交差点の青空が眩しい。
日陰になるところでは時折湿った路面も登場します。
しかし水たまりはひとつもないので、多分早朝の霧のせいでしょう。
木の茂り方から交通量はほとんどないように思われますが、不思議と路面はキレイな部分が多いですね。
除雪が入っているのかも。
木々が覆いかぶさるように茂っているおかげで、涼しく目に優しい緑のトンネルが続きます。
そのトンネル状になっている木々のおかげで、鳥も道に沿って飛ぶしかない様子。
路面で休んでいた鳥を驚かせてしまうと延々と鳥に「先導」されてしまうこともしばしば。
追い回したいわけじゃないんですけどねw
そんなこんなで50分ほどかけてゆったりと林道を走り、鷽ノ口(うそのくち)で林道を離れます。
林道の中で気づけば蜘蛛の巣を引っかけまくって、スクリーンやミラーは納豆状態。
林道を離れ、クロスする東西方向の道に入ったあと少し脇道に逸れると、そこにあるのが鷽ノ口(うそのくち)円形分水。
地図上に見える最寄りの道路は北側の斜面上ですが、アクセスには南側の舗装路がいいでしょう。
読んで字の如く、円形をした分水施設です。
石堂川から取水した水を3ヶ所の農業用水に公平分配するためのものですね。
円形の水槽中央にある円筒に、上流から水が送り込まれ・・・
水槽の周囲にある穴から均等に流れ出るという仕組み。
単純な分岐構造だと水量や水勢によって偏りが出ますからね。
実際には等分されていても人間は疑心暗鬼になるもので、こうやって見た目にも分かりやすいのはすばらしい。
実用本意ながら見た目が噴水みたいで格好いいのがさらによし。
裏手に回ってみると、せっかく均等はなずなのに、一部水が流れていない穴が。
詰まっちゃってるのかな?と思ったら、内側から塞がれていました。
上記看板の説明にもありますが、等分するだけではなく、穴の個数を変えることで比率も調整できるのが面白いですね。
なお本当に詰まってしまっては困るので、自動集塵機も付いています。
一見アクセス路に見える山側の小道は未舗装で轍の深い砂利道。
バイクを乗り入れるには躊躇しますが、分水工とその恩恵を受ける田畑を鳥瞰できるこの眺めはその価値ありです。
自信のない方は徒歩でどうぞ。
時間は9:00をまわり、上がり始めた気温を打ち消すように涼やかな水音が気持ちいい。
分水の脇の木陰で小休止したあとは、そそくさと帰路につきます。
最初は最寄りの中部横断自動車道、佐久穂ICから上信越道で一気に帰宅かなとも思っていましたが、スムーズに走れたおかげで時間に余裕があります。
それに土産も買えていないし、帰りに小腹も空きそうだ・・・ということで、予定を変更して清里経由で中央道まで戻ることにし、国道141号まで下ります。
いざ国道を南へ。
眼前の空に湧き立ち浮かぶ雲は完全に夏の積乱雲です。
おしゃれな小海町の役場脇を抜け、更に高原へ。
延々と国道を走るだけで、これが地平の35度だと茹で上がって苦行となるところです。
しかし標高が高いおかげか気温も28度と暑すぎず、ペースもよいのでまったく苦になりません。
市場坂を快調に登って野辺山へ。
油彩ブラシで描いたかのような雲が芸術的!
ちょうど県境のあたりでは、こんなに青く晴れているのにポツポツと天気雨。
1分ほど、スクリーンをまだらに濡らす程度の雨はむしろ涼しいシャワーのようで気持ちいい。
バイクに乗ってて雨を嬉しく思ったのは初めてかもしれない・・・
そのまま清里方面へ下り、11:00を回る頃に道の駅南きよさとに到着。
お土産調達と食事を済ませ、今日の目的は全て達成!
自宅まではやや心許ないガソリンも高速に乗る前に補充し、須玉ICから中央道。
まだ渋滞の残る下り線を横目に、ガラガラなお昼過ぎの上り線で帰宅です。
この日の走行距離は596.0km
ODOは74768kmになりました。
コメント
コメント一覧 (2)
素晴らしい旅程で、これも自分でトレースしてみたいです。ビーナスラインの景色!最高ですね。
また、円形分水(円筒分水)が涼しそうで良いですね。
田畑へ引く水を公平に分水するために生まれたアイデアだそうですが、分水の様子が目で見えるというのがポイントではないでしょうか。
さぞかし昔は水争いが激しかったものと思われます。
いつか円筒分水を巡る旅、というのもいかがでしょうか。
それでは次回の旅もご安全に。
ビーナスラインは定番ですが、その前後をどう走るかは個性がでますね。
西山林道はあんまりおすすめしませんw