先週行き損ねたうなぎツーリングのリベンジに行ってきました。
浜松まで行くのであれば、当然山も走りたい。
ということで、静岡県道389号水窪森線を全線通して走ってきました。

ルートはこちら
出発は遅めの5:00。
すでに十分明るい中を走り、東名・新東名へ。
関東は前日まで曇り予報だったのですが、覆して晴れ模様となりそう。

120km/h区間を快走して西へ向かって一気に飛びます。
クルコン様様。

森掛川ICで降りて県道の終点から起点へ向かいたいのですが、森掛川周辺にはセルフのガソリンスタンドが見当たらず。
少し早めですが静岡SAで給油休憩を入れます。

森掛川ICで下道に降りたら、右・右と曲がって太田川方向へ。
このICは森町と掛川市の境界をまたいでいて、入り口車線がギリギリ森町、出口車線がギリギリ掛川という面白い立地。
しかし、IC降りて30秒でこの景色というのがなかなか・・・新東名の走る位置関係をよく表しています。

まずは県道58号に入ります。
天竜浜名湖鉄道天浜線の高架をくぐって太田川へ。

森川橋を渡って道は太田川右岸へとりつき、そのまま川沿いを北上します。

時計は7:30をまもなく指すころ、すっかり夏の朝といったさわやかな景色です。
鳥の声とせせらぎが聞こえてきそうなおだやかな流れを楽しみます。

県道58号はその先でT字路となり、東からは県道399号が合流してきます。
同じ地点で太田川には支流の三倉川が合流してくるので、県道は左折して西側の三倉川を遡ります。
右折の太田川本流はこの先、通称吉川としてかわせみ湖へ。

ここまでは比較的開けた地形でしたが、山に近づいてきたので、時折東側の斜面が落とす影の中を走ります。
日当7割日陰3割といった感じ。

雨が降ったのか、はたまた朝露か、影の部分が湿っている箇所が増えてきました。
スリップに気をつけつつ、下回りの大掃除を覚悟して先へ進みます。

西からやってきた県道63号に一瞬だけ入り、その先で目的の県道389号の入り口。
水窪森線という名前の通り、こちらが終点で起点は水窪にあります。
全長は70kmに満たないくらいですが、急峻な地形を縫って走るアドベンチャーロードのスタートです。
時計はここで7:30を少し回ったところ。

道路は・・・いきなりこれです。
静岡の内陸県道では「あるある」な感じですが、退避スペース以外ではすれ違いが困難な道幅で、ブラインドカーブの連続で、落石や舗装剥がれのある険しい道です。
生活道路としてならともかく、観光でわざわざこれを選んで走る人はそう多くないはず。

太田川水系と天竜川水系、文化的にもつながりの薄い二つの地名を結ぶ県道は、山間の集落をつないで走る各駅停車のような役割。
狭い山道と開けた農村が交互に現れ、退屈しません。

各集落を結ぶ市町村道や林道など、生活に根ざした道路と絡み合いながら走るため、青いヘキサの県道標識とセットで現れる赤い矢印がルーティングの強い味方。
これがなければ「どっちの道が県道だ?」となるシチュエーションに数十回は遭遇します。
集落から離れたところは携帯が圏外であることがほとんどなので、ネットの地図サービスには頼れませんしね。

三倉のあたりで、最初に別れた県道58号をオーバーパス。
といっても県道はこの直下を周智トンネルで貫いており、地図上でしかその存在を確認できません。

標高も高く、暗い森の中を走っていくので気温は涼しく18〜25度程度。
美しい景色を楽しみつつ、足元に細心の注意を払って走りつづけます。

スギ花粉アレルギーの人が見たら卒倒しそうな濃密な杉林の中を抜けます。
花粉以外にもゼブラ状になった木陰が路面状態をわかりづらくし、油断すると物理的に卒倒しそう。

崖側への舗装の窪みや、舗装の穴、路面のコケ、コブシ大の落石、砂利、さらには枯れ枝などなど・・・
アドレナリンがどんどん分泌されて集中力を増していくのがわかります。

何の予告もなく路面半分が砂利道になっている区間もありました。
急ハンドル・急ブレーキは事故の元なので、「急に舗装が消え失せるかもしれない運転」で乗り切ります。

389号に入って以来大きな川とは無縁ですが、沿道にはいくつもの沢が豪快に流れ落ちています。
富士川や天竜川もそうですが、静岡の山中は本当に水量が豊富ですよね。

地形が平坦になるとみっしりと家の立ち並ぶ集落。
多くの家々は静岡らしく、茶畑とセットの箱庭日本家屋です。

交通量の少ない箇所では道もどんどん手薄になり、ガードレールどころか路肩の駒止すらなくなります。
四輪だと杉の木が受け止めてくれそうですが、2輪で逸脱したら隙間から川にダイブですね。

越木平で熊切川と出会い、川沿いに進みます。
ここで道の規格が飛躍的によくなり、久々のフラットなセンターライン付きの道に。
沿道には改良に伴って付け替えたであろう道路敷地や・・・

隠れた旧橋など、見どころがたくさん。
しかし悲しきかな、ここが改良されているのは県道263号春野下泉停車場線との重複区間が故。
改良したのは263のためであって、389としては思い上がるわけにはいきません。

熊切で263と別れ、389は右折して再び山中へ。

単独区間に戻った途端、これです。
たまんねえなー

熊切小学校の五和分校跡地に向かう交差点は、扇の骨のように綺麗に枝分かれする3線分岐。
この地形はなかなかいいですね。
県道は一番左の道です。

五和から下ると、県道は国道362号にぶちあたります。
再び別の道の力に頼って、近代的な道。しかもカラー舗装だ!
県道は国道と重複し、左折して杉川沿いに進みます。

格の違いを見せつけるがごとく大規模な土留の行われた斜面を横目に、国道とは4.5kmほどの重複。

束の間の快走路を終えると、赤い小石間橋で右折し、再び単独区間に戻ります。

と、ここで不穏な看板。
どうやらここから16kmほどの地点にある倉柱隧道で通行止めのよう。
幸いながら工事看板は予告なので、この日は通り抜けOK。

橋を渡って引き続き北進。
ここで時間は9:00を回りました。
水窪まであと19kmということは、2/3くらいですね。

橋を渡ったら、いきなりトンネル。
この小石間隧道、実は元々気田森林鉄道の鉄道用トンネルだったもの。
廃線跡が道路になっていて、旧道はこの山の上をこえているはず。
トンネル内で対向車を退避して再発進したら、ヌメヌメしている白線でリアが流れて焦った・・・。

国道362号との重複区間から先は、ずいぶんと道の雰囲気が変わります。
というのも、ここからは気田川沿いを走る平坦なルートになるから。
先述の林鉄の廃線跡を辿るように、気田川の左岸を走ります。

豊岡発電所の脇で、合流してくる石切川を渡ります。
山の上から生える水圧鉄管はこの上流にある豊岡ダムから伸びています。

道は右岸に移り、すぐに見えてくる赤い橋は勝坂橋。
旧勝坂小学校の赤い校舎と神楽伝承館の立つ、左岸に渡るための橋です。
アンカレイジに神楽の獅子舞があしらわれていたり、面白い橋。
手前には解体されずに残った旧橋の主塔も見えますね。

気田川はどんどん急峻になり、明神峡へ入っていきます。
ソーダ水のような爽やかな青色の水が勢いよく流れ、とても明媚な沿道。

明神峡名物らしい、沢水が勢いよく流れ落ちるロックシェッドが見えてきました。
峡谷風景とはいささか馴染まない無機質鋭角なシルエットを緩和すべく描かれた川の絵が泣けます。

天竜川や水窪川に負けず劣らず、この気田川が暴れ川である証拠は、川床に落ちた岩の大きさで一目瞭然。
あれが流れたり斜面から落ちてくるシーンを想像するだけで背筋が凍ります。

峡谷のさらに奥では、いくつかトンネルを越えて門桁へ。
このあたりが予告されていた通行止め地点ですね。

豪快な水音を立てる豊岡ダムの堤体が木立の隙間からチラッと見えました。
先ほどの豊岡発電所の水源はここ。
川べりへ降りられそうな地形でしたが、今日はまだ先もあるので遠慮しておきましょう。

幾度か橋をわたり、地形が開けたら門桁。
ここから先は久々に山を登っていきます。

小さな門桁ダムの天端を渡って、気田川に最後の別れ。

法面のガッツリ固められた細い道をくねくねと進み、標高をぐんぐん上げていきます。
門桁ダムの標高は500mあまり、そこから頂部の山住神社は1100mほど。

快走路を楽しく走りきり、山住神社に到着。
時間はまもなく10:00といったところですね。

山頂の開けた景色をながめて小休止。
ここで交差する道は以前訪れた天龍スーパー林道です。
おなじみ鹿のオブジェを一瞥して、ラストスパートの下り坂。

最後も狭く急な山道ですが、観光地である山住神社への交通が多いため、ここは路面が綺麗。
落石はちょくちょく落ちているものの、舗装がぶっこわれていないだけでかなり安心感があります。
時間もお昼近くなってきたので、木漏れ日も路面を過度に縞々にしません。

下流に近づくとセンターラインもバッチリ。
いつのまにやら並走した水窪河内川とともに、水窪川へ流れ落ちるように進みます。

水窪川まであと3km、というところで、最後の見どころ。
分厚く張り出した犬岩を貫くトンネルを抜けると・・・

美しい瀑布は「布滝」です。
犬岩のスケール感も含めて現地で見るとなかなかの迫力なのですが、写真だと何も伝わらないのが悲しい!
滝の正面にはやってるのかやってないのかわからない温泉付きの民宿もありました。

布滝を過ぎ、山の上の方まで段々とつなぐ水窪の家々が見えてきたら・・・

県道は飯田線の向市場駅にたどり着きます。

県道に入ってからほとんど商店などがなかったため、ここで駅前の自販機で買ったスポーツドリンクを一気飲みしつつ長めの休憩。
時間はちょうど10:00を回りました。
なまじ山の中が涼しかっただけにそれほど水分補給していませんでしたが、一気飲みできるということは渇水している・・・気をつけないといけませんね。

県道は最後に水窪橋を渡り、国道152号にぶつかり、ゴールです。
7:30〜10:00まで、70km弱を2.5時間ですから時速27〜28kmといったところ。
休憩を含むとはいえ、信号のほとんどない道でこの速度、いかに山深いところを走ったか・・・というのがよくわかります。

さてここからは復路。
お馴染み国道152号線を、水窪川沿いに南にひた走ります。

真っ青に染まった空、深い緑の折り重なる山、すばらしい風景の中を快走。
この道はかなり頻繁に訪れているお気に入りスポットなのですが、ここ数年は土砂崩れの影響で通行止め箇所が多く、縦走できていないんですよね。

やがて水窪川は天竜川にそそぎ、国道はなおも天竜川沿いに南進。
本当に今までの狭隘・過酷な道との対照が凄まじい快走です。
国道ってやっぱすごいよね・・・

気づけば天竜川の川幅がどんどん広がっていき、秋葉湖となります。

狭くてトンネルをいくつも越えると秋葉ダム。

錆色の3連トラスが美しい横山橋を渡り・・・

船明ダム。
秋葉ダムの下流すぐから船明ダムのダム湖がはじまるというのも面白いですね。

ここで国道152号とは別れを告げ、船明ダムの堤体を渡って右岸へ。

諏訪湖から185kmの文字が誇らしげな(だけど諏訪って漢字で書けていない)塩見渡橋を横目に見ると、本日最大にして最後の目的地。

うなぎ・川魚の納涼亭でお昼ご飯とさせていただきます。
到着は11:00過ぎと開店ドンピシャ。
県道が70km/2.5時間かけた道のりとほぼ同じ直線距離を、45km/1時間で戻ってきてしまいました。

いただくのはお刺身と・・・

当然鰻重です!
二段重になっているボリューミーな「松」と悩みましたが、米の圧縮によってボリュームの大きく変わる鰻重では初見の冒険は命取りですからね。

うなぎはとにかく身が柔らかく、香ばしい。
火の通し加減も絶妙で、分厚い身がほろほろと解れるような食感。
肝すいも付いていてタレの味に飽きも来ず、あっという間に平らげてしまいました。
米はふんわり気味に盛られていたので、これなら松いけたな・・・

お魚も美味しいお店とのことだったので一緒に頼んだお刺身もとても良き。
イカやホタテはほんのり炙って焼き色がつけられているのもお値段相応の高級感。
鮎も美味しいらしいので、次来た時にはチャレンジしてみたいですね。

目的を達成したら、渋滞開始前に帰路につきます。
高速に乗る前に給油を済ませ、浜松浜北ICから新東名。
この日の走行距離は631.2kmでした。

ODOは77134kmになりました。

コメント
コメント一覧 (2)
青く澄んだ空、緑深い森、ソーダ水のような川の流れ、
今回も本当に素晴らしい旅をご紹介くださりありがとうございました。
飯田線の向井市場駅、自分もツーリングで立ち寄ったのですが
自販機もあり(自分が行った時には屑籠がなくって💦)
トイレもありで休憩するにはピッタリのスポットですね。
また、ウナギとお刺身もとても美味しそうでした!
次回の旅もどうぞご安全に。
ゴミ箱ないと困りますねー