毎年6月末には冬季閉鎖が解除され、全線開通となる奥只見樹海ラインこと国道352号。
今年は北側を通る国道252号で鋼鉄の橋が消滅するという惨事があるほど冬が厳しかったので、この時期にまだ全線開通していません。
今年はこのまま通行不可であることを見越し、走れる部分だけを狙って走ってきました。
ルートは長いけれどシンプルに。
出発は3:00。
平日なので深夜割引を利用することにし、4:00を過ぎる前に川口の本線料金所を通過して東北道へ進みます。
下道に降りるのは矢板。
最短ルートだと西那須野塩原なのですが、一気に山奥に入るので早めにガソリンを入れておきたいために一個手前で降ります。
どうせ早朝の4号なんて高速みたいにガラガラですしね。
目論見通り(正確には狙ったスタンドがあいてなかった・・・)給油を済ませ、西那須野塩原からは国道400号で北西へ向かいます。
時間は5:00を回り、日の出を迎えます。
平日朝なので通勤か、それとも自分と同じく盆休みが長いのかはわかりませんが、遅い車列についてしまいました。
今日は旅路も長いですし、土日と違ってUターンラッシュの時間も遅いので、急がず焦らず進みます。
塩原の温泉街を抜け、さらに北西へ。
県道19号は、かつての日塩もみじライン。
すっかり有料道路の看板を下され、ただの県道という風を装います。
今日はこれに惑わされず、国道を引き続き走ります。
温泉街を抜けたら一気に人里を離れ、山へ向かって一直線。
おなじみ峠大橋の巨大な橋桁を頭上に見上げながら進み・・・
山を登ったら、トンネルで日光市へ。
その先で国道121号と突き当たったら、これを右折して重複区間を北へ向かいます。
男鹿川沿いは低く垂れ込めた霧の景色。
今日は南関東は酷暑に見舞われ、40度越えが多発する危険な予報。
それとは無縁とばかりの深い谷間の街道は気温16度と、まるで春のよう。
霧を抜けると特徴的な形の雲が広がっていました。
東北の天気は夕方から雨、すでに上空の湿度は結構高そうです。
山王峠をトンネルで抜けたら、福島県に突入です。
今日はここから旅本番。
引き続き会津高原の涼しい谷間を走って北へ。
通行する車は多くはなく、快適な走行が続きます。
山王川橋梁で国道352号が分離。
ここで時間はほぼ6:00。
進路はこのあと南西・北西とぶれながらも、新潟県境までひたすら西進します。
沿道にはさわやかな黄色の夏の花が盛りだくさん。
空には薄い霧がかかっていて、まるでファンシーなフィルターをかけたかのようで、まさに絵に描いたような夏の朝の風景です。
会津高原尾瀬口を越え、さらに山へ。
シールドが曇ってるんじゃないかと何回も拭いて確かめたくなるような、薄い薄い霧が辺りを覆っています。
会津鬼怒川線と別れたら、道はにわかに山深くなりはじめます。
標高をぐいぐいあげ、金龍橋・銀龍橋・銅龍橋を抜けていきます。
銀龍橋の少し先、チェーン脱着場の看板の支柱に何かが隠れている・・・?
50kmの速度規制標識でしたw
この標識見落として速度違反は切られたくないなあ・・・。
除雪の影響で歪んで隠れてしまったのか?と思いましたが、よくよく見るとヒモで結び付けられているだけで、もはや自立してすらいません。
なにこの・・・なに?
おかしな看板に別れをつげ、おおむね南西に向いて来た進路が北西に転じるあたりで道の駅番屋を通過。
当初ここに立ち寄ろうかとも思っていましたが、体力に余裕があるのでもう少し進みましょう。
射し込み始めた朝日が蕎麦畑を美しく照らします。
気温も少しずつ上がってきて、肌寒さは軽減されてきました。
両手に満開のそばの花。
秋新蕎麦の季節が待ち遠しいですね。
やがて小さなコンビニを通過。
このあと新潟は魚沼に抜けるまで100kmほどありますが、ここが最後のコンビニです。
ちなみに24h営業ではないので、閉店中。
コンビニを過ぎると進路は再び南西へ。
まるでドライアイスの入った雪箱を逆さにしたような霧が眼前を包みますが、隙間から見える青空は透き通った色。
沿道にはひまわりをはじめ、いろいろな花が咲いていて目が幸せ。
舘岩川に逆らわず、南西・北西と切り替えつつペースよくどんどん走っていきます。
前沢曲家集落は重要伝統的建造物群保存地区。
このスポット、明治に大火事で集落の多くが焼け落ちた後、一気に再建したので統一した意匠の家が密集しているのが貴重なのだとか。
今で言う建売分譲とか団地みたいなもんかw
舘岩川は伊南川に向かって進み、徐々に谷を深くしていきます。
道の防雪工もどんどん豪奢に。
国道401号との交点で、これを左折。
これから目指す県境の更に向こう、魚沼市へは自動車で通行可能。
ただし先述の通り国道352号が一部閉鎖中のため、奥只見シルバーライン経由となります。
その奥只見シルバーラインは二輪通行禁止、すなわち二輪は通り抜け不可。
それも承知の上、ということで、引き続き山奥へ。
時間は6:30を回り、すっかり朝靄は消え去りました。
奥只見に向かうにつれ、雪への備えの本気度がどんどん増していきます。
斜面ではない場所にも吹き溜まりを防ぐスノーシェッドがしっかりと備えられ、冬季の生活を守ります。
やがて「よくきらった」と歓迎を受けたら、檜枝岐村です。
番屋で見送った休憩を、ここ道の駅尾瀬檜枝岐でとります。
時計は7:00、走り始めてから4時間です。
道の駅にも同じく通り抜け不可の案内。
開通時期未定という表記がいやな予感を誘います。
もしかすると数年通行できないかもしれないな・・・
コーヒーを飲み、水を多めに買って鞄へ。
道の駅をあとにし、檜枝岐村の中心部を通ります。
最後のコンビニを超えて久しいですが、最後のガソリンスタンドはここにあります。
次のガソリンスタンドは魚沼の市街地までなく、その距離83km・・・枝折峠経由なら91kmにもなります。
高速のSA顔負けw
ここから尾瀬奥只見の看板。
いよいよです。
最初の区間は、奥只見というより尾瀬へのアクセスルート。
ミニ尾瀬公園はじめ、尾瀬に関連する施設や記載が多く見られます。
道もこころなしか湿原を意識したような爽やかな空気・・・気のせい?
国道を走って、役場から13kmほどの地点で県道1号と分岐。
ここが御池駐車場、尾瀬へのアプローチルートです。
念を押すかのように、「この先二輪車魚沼市街への通り抜けできません」の看板。
わかっておりますともさ。
尾瀬の玄関口を過ぎたら、一気に道は狭くなります。
まず手始め、と言わんばかりに、一山超えていきます。
左右から覆いかぶさるような新芽のビビッドな緑色。
舗装はところどころ傷んでいますが、補修や注意も行き届いています。
清掃もばっちりで、このあたりはさすが国道という感じ。
楽しくウォーミングアップを終え、只見川沿いにたどり着きます。
ここで一旦中休みの平地を進みます。
県境を越え、新潟県。
国道252と違い、一番山深いところに県境があるわけでも、著名な峠があるわけでもありません。
ここにも更に、耳タコの看板。
魚沼市にはもう入ってるんですが、市街地には行けない。
そしてついでに連続雨量80mmでの通行止め予告。
交通があまりに貧弱ですね。
県境を越えてから謎にもう一度現れた県名と市名の看板を越え、さらに只見川沿いを進みます。
分水嶺より日本海側なので、北に向かうのに川を流下しているというのは感覚に反しますね。
太平洋側だと北上=遡上ですから。
やがて只見川が奥只見湖に名前を変えるあたりで、大型車通行止め。
樹海ラインの本領を発揮していきます。
大雨時には道路が川になるよ!
携帯電話は通じないよ!
これでも国道だよ!
斜度の深く、奥只見湖畔の道は、崖に沿って等高線をなぞるようにクネクネと進んでいきます。
基本的にブラインドカーブ、基本的にすれ違い不可です。
ガッツリと法面がコンクリートで固められ、岩場を貫くように走るそれは「湖畔道路」という言葉とはあまりに不釣り合い。
沿道では携帯電話のつながる場所に案内の看板が立っています。
しかし、1キャリア、1区間限定、そしてそれは1kmほどの距離のみとなっています。
通話可能区間ここまで・・・の案内の先は、銀山平まで23kmの圏外。
ここで事故起こしたら23km走らないと通報できないわけだ。
奥只見湖の対岸の山、大きな谷筋には、まだ残雪があるように見えます。
ほんとかよ・・・8月半ばだぞ!
対する湖水はまさにおだやかな夏の表情。
時計は8:00を指し、鳥のさえずりも爽やかな、いい空気です。
奥只見樹海ラインといえばこれ、洗い越し。
雨上がりでも雪解け水の季節でもないですが、今日も沢は潤沢な水を湛えています。
区間唯一のトンネル、グミ沢トンネルを越えたら残りは1/3程度。
欄干の低い低い橋を抜け・・・
平地にたどり着いたら、そこが銀山平。
キャンプ場や山荘、湖水の遊覧船乗り場があります。
二輪じゃなければ通行可能な魚沼市街への道、シルバーラインはここから対岸に渡り、トンネルで枝折峠をパスします。
「この先枝折峠」「通り抜けできません」「右折しシルバーラインへ」
右折先では「奥只見シルバーライン二輪車通行禁止」
道路表示でも枝折峠〜駒ノ湯通行止めの表示。
さんざん「抜けられない」「無理」と言われていますが、この表示の通りに通行止めは枝折峠から先なので、峠までは行けます。
ということでいざ峠へ。
再び現れた80mm以上通行止めの看板(ここにもあるということは80mm降ったら檜枝岐にも魚沼にも出られない・・・)
そして「枝折峠から先通り抜けできません」の看板。
ご親切にどうも・・・
枝折峠をガンガン登っていきます。
クネクネはしていましたが高低差のなかった湖畔の道とちがい、こっちは正しく峠道です。
ガッツリ固められた法面を立体的に駆けていきます。
開けた場所でも基本的に1車線なのは同じ。
点線の外はあくまで退避所。
長い長いスノーシェッドを抜けてどんどん上へ。
山肌に沿ってむやみやたらにクネクネして進みます。
もちろん浅いカーブで直線的につなぐことも可能なのですが、この道を走るために来ているわけで、当然道に沿って正直にツイスト走行です。
あっという間に標高1065m、枝折峠に到着。
銀山平が800mはあるので、実は200mも登っていません。
標高を稼ぐためではなく、崖沿いを移動するためのヘアピンが多いので、先日の高低差1000mと比べてもボリュームに不足はないんですけどね。
枝折峠の駐車場をぶった斬るように、通行止めのバリケード。
通常時はこんな感じ。
登山口のトイレだけ借りて一息つき、ここからは当然、戻るしかありません。
先ほど通ったスノーシェッドをくぐり・・・
クネグネと法面を降り・・・
銀山平を突っ切り・・・
グミ沢トンネルを抜け・・・
携帯を圏外にしつつ進みます。
樹海ラインは奥只見湖の南岸を進むので、檜枝岐方面行きはずっと湖畔寄りを走ることになります。
山寄りも落石とか怖いですし、ブラインドカーブが見えにくいのですが、湖畔寄りは崖が近くてよくない。
反面、眺望がいいのも断然湖畔寄りなんですけどね。
行きで路面状況がわかっていることもあり、帰りは走りに集中。
ひたすらのワインディングを目一杯楽しみ、檜枝岐村に帰還です。
もちろんここからも一本道なので、峠を超えて御池ロッジを通り過ぎ・・・
平地を抜け・・・
道の駅檜枝岐を横目に見て進みます。
道の駅まで戻ってきたところで、時計は10:00過ぎ。
往復3時間あまりのアトラクションでした。
その先は、352を辿らずに直進し、国道401号へ。
伊南川沿いに北へ進みます。
国道289としばし並走しますが、これを意に介さず401をひたすらに走ります。
並走区間終了と同時に国道は右折し、東へ。
子綺麗なホテルを最後に里に別れを告げ、山へ
この道は新鳥居峠。
去年の8月末に走ったルートの逆方向になります。
大型車両通行不可なのも大納得の険しい道をどんどんと抜けます。
ここも国道・・・なんですよね。
峠を抜け切ったら、国道400号と久々の再会。
国道を左折し、昭和の町の中心部を抜けて・・・
すぐに脇道、次の峠である大辺峠へ。
峠にさしかかって早々、「入山券購入のお願い」の看板を発見。
まさか有料道路!?と思いきや、山菜採りに必要なんですね。
市有地で無許可で取るの、泥棒なんですけど取り締まりも難しいので、券を売るのはいいですね。
道はいきなり倒木からの・・・
なかなかツイスティな道で楽しいですが、落ち葉と小枝が多めです。
舗装さえ綺麗なら、国道352の御池〜奥只見湖までの区間とそう変わりません。
大辺峠を越える道は林道入間方・不動沢線。
色褪せ方の風合いが古過ぎず新し過ぎずでいい雰囲気w
しかしこの林道、ただ落ち葉で滑るだけではなくて、崖か深い側溝かみたいなところが多いのがなかなかチャレンジングですね。
もちろんバイクで安全な速度で走る分には落ちることなどないのですけど、ここは幅の広い車は怖そう・・・。
林道は県道153号につきあたり終了。
県道を右折して国道へ。
153から更に県道59号に乗り換えて進みます。
県道区間は広く整備も行き届いた楽しい里道で、クールダウンにちょうどいいですね。
屋根の深い雪国ならではの家屋が密集する、いい雰囲気の集落を抜けて、国道252号方面へ。
ここで峠走行はひと段落、時間はちょうど12:00!
国道252をそのまま、只見川沿いに東へ東へ。
先ほどまで走っていた奥只見湖の水が、田子倉ダムや只見ダムを超えてここまで流れてきているんですね。
国道は三島町・柳津町、会津坂下町と町を抜けていきます。
只見川と別れて盆地に入ったら、今日のシメ。
こちらの建物
坂下ドライブインで・・・
馬刺ロース定食!
なんだかんだタイミングがあわなくて、2015年以来7年ぶりの訪問となってしまいました。
会津の馬刺し自体もおおよそ2年ぶりですね。
定食に追加で単品の馬刺しも頼んで馬刺し祭りじゃ!!!!!
煮込みも会津の米も最高に美味くて、最高でした。
余裕があれば喜多方にでも回ろうか、と考えていたのですが、夕方からの予報だった雨雲がすぐそこまで。
時間も13:30になろうかというところですし、今日はここで帰りましょう。
直近の新鶴SICから磐越道に乗り、そのままいわきまで走って常磐道で帰路。
行きの高速150km帰りの高速300kmを含みますがそこそこしっかり走れたかな。
今日の走行距離は818.6kmでした。
ODOは82046kmになりました。
コメント
コメント一覧 (2)
馬刺し、美味しそうですね~!(^^)!
いつかは会津へツーリングへ行きたいなぁと思いました。
それでは次の旅もどうぞご安全に!
ありがとうございます