今回は番外編、バイクと関係ない記事です。
今月も訪れましたが、このBlogでよく紹介している奥只見のシルバーライン。
2輪通行止めのこのトンネル道路の先に何があるのか・・・というのもご紹介しておこうと思います。
新潟県は魚沼市の東部にある折立地区。
この先を東に向かうと、国道352号は枝折峠を越えて銀山平に至りますが、これに並行して走るのが新潟県道50号、通称シルバーライン。
枝折峠が閉鎖されている現在、魚沼側から銀山平にアクセスする方法はこのシルバーラインしかありません。
しかし先述のとおり、この道は二輪車通行止めの道路です。
ツーリングに訪れてバスに乗り換えて・・・というのはちょっと不便。
そのため今回は車でやってきました。
なぜ二輪車の通行ができないのか。
このシルバーラインは断続的に合計18.1kmにおよぶトンネル区間があり、その途上にカーブや勾配が頻発する危険な道路だからです。
同じように、東京都心の新橋駅前にある地下道も二輪車通行禁止だったりしますね。
元々、狭隘かつ急峻なために大型車両の通行が現実的ではない枝折峠。
その先に建設する奥只見ダムの工事用に作られたのが開通の経緯。
かつて短期間ながら有料道路でもあったので、入り口には料金所跡が残ります。
二輪車終日通行止めに加え、自転車も終日通行止め。
通る人がいるのかはさておき、自転車以外の軽車両は通れるようですね。
「狭幅員!急カーブ!急勾配!事故多発!対向車に注意」の脅し文句が効きます。
前半部分は、スノーシェッドとトンネルが連続しますが、明かり区間も挟まる、よくある豪雪地帯の山岳道路。
舗装もそれなりにしっかりしており、二輪車通行止めはやりすぎではないか、と思える程度。
しかし全体の1/4ほどをすぎると、明かり区間のほとんどない、連続したトンネル・覆道の連続区間に入ります。
道はほぼ直線ですが、絶え間なく溢れる地下水にぼろぼろのコンクリート舗装、トンネル内にもかかわらず発生する濃霧・・・。
勾配もあり、見通しもよくありません。
トンネルは直線がほとんどですが、途中で急なカーブも現れます。
地図で見ても、まるでピンボールのような線形なのがわかります。
このあたりがまさに工事用道路・・・といった感。
側溝に蓋のない区間もあり、たしかにこれは二輪車では危ない。
カーブの先で転倒でもしようものなら、車が突っ込んできますからね。
カメラではわかりづらいですが総じて薄暗く、点滅して浮かぶ方向指示の矢印が濡れた四方の壁に反射してサイバーパンク感を醸し出します。
延々と続くコンクリートの洞穴は、完成が1957年と既に65年の歳月が経過。
頑強な作りですが、さすがに安泰というわけでもないようで、トンネルの状態を検査したチョーク書きが多数。
この環境ですから、工事するのも楽ではないでしょうね。
トンネルの途中で丁字路が現れ、これを右折すると銀山平。
この交差点でシルバーラインは1/3ほどで、残りの区間は国道と離れて進みます。
国道352号は奥只見湖の南岸、シルバーラインは北岸にある奥只見ダムへ向かいます。
やがてトンネル区間の終点。
22kmの距離を40km/hの速度で進むので、ノンストップでも30分以上かかる道です。
そのほとんどがトンネルなので、すっかり車も冷え切ってしまい、外に出た瞬間フロントガラスの内外やドアミラーが一気に曇ります。
トンネル出口が急カーブなので、デフロスタとワイパーの準備をして抜けるのがおすすめ。
この曇りも、二輪が通行できない理由の一つかも。
たどり着いた先は、秘境奥只見。
重力式コンクリートダムとしては日本一の堤高を誇る巨大なダムです。
堤高157m、標高は湖面で750mほどあります。
ダム下流側の崖上には大きな駐車場があり、観光の拠点になっています。
このほかにも画面の奥に茶屋が一軒。
さらに下流側には奥只見丸山スキー場が広がります。
駐車場脇から遊歩道、または100円で電動スロープカーに乗車すると、ダム堤体まで上がれます。
すぐそばの山の上には、奥只見電力館というPR施設も立地します。
こちらは入場無料どころか、入場すると記念品がもらえるというお得な施設。
奥只見の地理やダムの建設史、四季折々の風景などが総覧できます。
電力館脇には電源神社なんかもあります。
巨大施設の脇にある、施設の安全を祈願した神社、いいですよね。
鈴鹿サーキットにも敷地内、S字の外側に神社があったりしますよね。
湖畔には遊覧船乗り場があり、湛水量日本二位の巨大なダム湖を遊覧できます。
また、尾瀬方面・銀山平方面にも予約制の船便が運行されています。
運行は5月のおわりから11月の初旬まで。
紅葉シーズンは繁忙期なので1時間に数本の運行がありますが、それ以外は1時間に1便の出航です。
さすが巨大ダムだけあり、三叉になった巨大な桟橋に船が接舷しています。
この日の周遊コースは、画面左の一番大きい遊覧船、300人乗りのファンタジア号。
船内はよくある内航船、という感じですが、潮風の影響を受けないこともあってか大変綺麗に維持されています。
旅客デッキは平甲板に2階席、さらに露天甲板の3層。
こんなに大きな船がこんな山深いところにあるのは不思議ですね。
シルバーラインを搬入できるわけはないし、現地建造なんだろうか・・・
尾瀬便の「おぜ号」の航跡を追って周遊コーススタート。
40分ほどの行程です。
巨大なダムであることを物語るように、ダムの水面から稜線が近い。
水面下に伸びているであろう稜線を谷底まで想像してみて・・・深さが150mを越える堤高にも納得。
自動放送で周囲の山やダムの歴史が案内されつつのクルーズ。
基本的には山と湖だけの風景が続きますが、十二山神社の参道なんかも見えます。
切り立った山に黒光りするのは白石沢スラブ。
スラブとは平滑な一枚岩の滑らかな斜面のこと。
圧倒的な迫力があります。
当たり前ではありますが、湖水は穏やか。
周囲に人家もなく、見える範囲に道路もなく・・・という、まさに源流の秘境の湖です。
ということで、バイクでは訪れることができないスポットですが、バイクを停めて浦佐や道の駅ゆのたに、銀山平から南越後観光バス(小出・小千谷地区)でアクセスできたりするので、是非とも訪れてみてください。
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