東北の高い山はもう雪が降り始め、オフシーズンも近づいてきました。
秋冬も凍らずに走れる数少ない選択肢として夏に我慢・温存していた伊豆へ走りにいきましょう。
ただ走るだけでは飽きが来てしまうので、今日は伊豆の各地にロープウェイをハシゴしてきました。

ルートはこちら
寒くなってきたし、出発は遅くてもいいかなーと思いましたが、この夜はそれほど気温が下がらない予報。
ならば、ということで夏基準の4:00発です。
日の出は6:20頃なので、まるっと1.5時間は暗闇の東名高速を走り、空が明るくなりはじめる6:00前に沼津で伊豆縦貫道へ入ります。

最初の休憩ポイントは道の駅ゲートウェイ函南。
ふんわりと霧が出ていますが、コーヒーを飲んでいる間にみるみる晴れていきます。
時間はちょうどここで6:00、気温は8度くらいあり、上々。

ホットコーヒーで一息ついたら、そのまま西伊豆へ抜けます。
どちらの空も雲一つなく、絵に描いたような秋晴れとなりそうです。

曙のグラデーションが美しい駿河湾沿いを独り占めする早朝走行。
かつては正面に見える淡島にも、海の上を渡るロープウェイが運行されていました。
島の中腹に見える建物がその駅の跡。
2008年に休止し、2017年にロープは撤去されてしまっています。

平地では日の出を迎え、遠くに見える富士山の東面が朝日を受けて赤く染まります。
まるで絵画のような美しさで、これが西伊豆の醍醐味の一つですね。

戸田港を見下ろす出会い岬に辿り着いて、時間はちょうど7:00。
漁船が湾内には慌ただしく出入りしています。

日の出の時刻から40分経過し、やっと山の向こうから太陽が顔を出して西伊豆にも朝日が注ぎはじめました。
空気が澄んでいるのでめちゃくちゃ眩しい!

ながい影を落とすバイクを眺めつつトイレ休憩。
いやー、映えますね!

そのまま西伊豆の沿岸、県道17号をひたすら南進していきます。
ちょくちょく改良され、道幅が広くなった箇所もありますが、基本的にはブラインドカーブだらけの狭隘な道です。

30分ほど走り、土肥の港にたどり着きます。
土肥は温泉もあり、清水港へのフェリーもありで割といい観光地なのですが、いかんせん首都圏から到達するのに時間がかかるので、やや寂れ気味。
看板に記載のある高速船もすでに運行されていません。

土肥からは沿岸の道は国道136号に変わり、走行は幾分か快適になります。
宇久須・松崎と港町を経由してどんどん南へ。

キリよく8:00頃、松崎に到達。
空はもう真っ青になりましたが、まだ路面には影が多いですね。

ここまでずっと西伊豆を南下していましたが、松崎からは一気に進路変更。
県道15号で東海岸に向かいます。
春先には桜と菜の花の美しい阿賀川沿いの道も、秋は枯れ木色一色。

婆娑羅峠を越え、向かうは下田。

時計は8:30を回り、峠の東側に来たこともあって日当たりがよく、目に飛び込んでくる印象がガラッと変わります。
ここまでずっと「夜明け」から「早朝」でしたが、ここでやっと「朝」と言える風景です。
とはいえ11月も後半、影はまだまだ長いですね。

国道414号に合流して下田の中心部に降り立つと・・・

やっと最初の目的地、下田ロープウェイに到着です。
天城越えか東伊豆だと1時間以上早く到着できたでしょうけれど、ロープウェイの営業開始は8:45から。
早朝のガラガラで美しい西伊豆を満喫して、ちょうとドンピシャの到着タイミングというわけです。

麓側の新下田駅前が駐車場になっており、ロープウェイ利用者は無料。
乗車は往復で1,250円です。

中間に支柱がなく、麓と山頂を往復するシンプルなロープウェイ。
15分に1本の運行です。

あっという間に山頂に到着。
朝早い便だったので一般の乗客は自分1人、あとは山頂の施設の店員さんが数名乗車していました。

ロープウェイでのぼる寝姿山は、その稜線が女性が仰向けに寝そべった形に似ているところから名付けられたそう。
わずか200mの低い山で、ロープウェイの駅から歩いて3分ほどで山頂にたどり着きます。

山の西面には遊歩道が張り巡らされており、ちょっとした散歩にちょうど良い規模。
ハイキングと呼べるほどの規模はないので、バイク用のブーツでも安心。

遊歩道の沿道は庭園になっており、四季折々で楽しめるように色々な種類の花がみっちり植っています。
秋の花はリトルエンジェルやノボタンなどピンク色の花が多いですね。

庭園の中には池もあり、ヒレナガニシキゴイがたくさん泳いでいました。

主な展望台は2つあり、錦鯉の池の手前の寝姿展望台と・・・

少し東に登った黒船展望台です。
どちらの風景も変わらない・・・というか、ロープウェイの駅から見える風景もあまり変わらないので、展望台よりは遊歩道の散策がメインといった感じでしょうか。

遊歩道はどこを歩いても綺麗に花が咲いていて、これを目当てに別の季節に来てもよさそうです。

下田といえば黒船、ということで、黒船関係のスポットもちゃんとあります。
見える景色はこれも同じようなものですが、黒船見張所にはナマコ壁風の小屋と大砲のレプリカがあります。

日本最初の商業写真家である下岡蓮杖にちなんだ「写真記念館」もありますが、残念ながら休館中。
30分ほどで一通りぐるっと回り、帰りの便で麓へ。

下田を後にしたら、国道135号で東伊豆の海岸を北上します。

秋を感じさせないブルーの海と白波を横目に進みます。
実際、気温も16度くらいと暖かく、まるで春のような気候です。

30分ほど走って河津。
ごちゃっと密集した山の上の風力発電所は、三筋山のウインドファームですね。
河津で折り返しになるので、給油してから河津川沿いに内陸へ。
道は県道14号です。

3月には河津桜で賑わう川辺も、今はただ茶色の枝葉が並ぶのみ。
県道はすぐに、下田からやってきた国道414号に合流。
下田からおとなしく414号で来るのも面白い峠道があって捨てがたいのですが、今日は暖かいので沿岸の気分でした。

国道に合流してまもなく、巨大な建設中の道路橋が見えてきました。
これは河津下田道路という自動車専用道路の工事。
県道115号と国道414号の交点付近から逆川までの狭隘な区間・・・さきほど触れた「面白い峠道」はとりあえず来年度開通予定となっています。

河津下田道路の取り付け予定地のすぐ北は、お馴染みの河津七滝ループ橋。

ぐるりぐるりと渦を巻いて進みます。

そのまま天城峠を越えて北へ。
この道は夕方の行楽帰りだったり、河津桜の季節には混雑で流れの遅い退屈な道。
しかし土曜日の午前中の北行きとあって交通量も少なく、そこそこ快走できます。

退屈しない程度の速度ではありますが、さすがに前走車は途切れず。
ゆったり気持ちよく流して月ヶ瀬から天城北道路に入り、河津からおおよそ1時間で修善寺に到着。

修善寺道路代をケチって下道に降り直し、狩野川沿いにもう少し北へ。

伊豆長岡ICのすぐ脇にあるのが、2つめの目的地である伊豆パノラマパークです。
2021年の7月にリニューアルされる前はかつらぎ山パノラマパークと呼ばれていました。
ちょっとした道の駅くらいの規模の駐車場が併設です。

ロープウェイは往復で2,400円と少し高め。
しかし山麓・山頂のお店で使えるクーポンやポストカードなども付属します。
チケットはネットで買っておくと2,000円になって少しお得。

ロープウェイ自体も値段相応に豪華で、ゴンドラは自動ドア付きの循環型。
スキーリフトのように回り続けるので、運行タイミングは決まっていません。ゴンドラは1組に1室割り当てられるので、おひとり様なら独占で乗れます。

途中に16もの支柱があり、運行速度も早く距離も長いです。
ゆっくり動く車庫線からメインケーブルに乗り移る仕組みなども面白いですし、値段分以上の価値を感じますね。

葛城山は452mで、ロープウェイの駅は442m。
寝姿山と同じく、ほぼ山頂までロープウェイで行けます。
大規模なロープウェイをかけるだけあって、景色は絶景。
西側には富士山と駿河湾、そして沼津の市街が見渡せます。
画面左下には朝イチ眺めた淡島も見えますし、海岸に張り出した地形は牛臥山公園ですね。

山頂エリアの目玉は碧テラスと名付けられたオシャレな空間。
加えてルート別に300m前後になる遊歩道や、ちょっとしたアスレチックなど。

ひとまずてくてく歩いて山頂へ。
こちらも6〜7分で辿り着ける、エンジョイ勢に優しいお散歩程度の遊歩道です。

南側を見ると狩野川や、伊豆スカイラインの走る尾根筋も見通せます。

ロープウェイから一番遠い展望台には幸せの鐘も設置されています。
しかし伊豆は「恋人の聖地」多すぎじゃないですかね・・・?

10月末から北に足を伸ばしてみたり、月初には真っ赤な山肌を眺めて氷点下を走ったりしているのでイマイチ感覚がずれますが、伊豆の標高450mは紅葉が始まったばかりです。
緑から赤に移ろうグラデーションが太陽に透けて、とても綺麗ですね。

ケチった下道で渋滞にはまったり、ロープウェイの乗車に並んだりしていたので、気づけば時計は正午を指しています。
ちょうど喫茶店の葛城珈琲が呼び込みをしていたのもあって、伊豆ブラックカレーをいただくことに。
ゴロゴロと極厚の牛ホホ肉が放り込まれたカレーは辛さ控えめ、ビーフシチューとカレーの中間、といったところ。
1200円と一瞬二の足を踏む値段ですが、個人的にはアリです。
カップで提供というのもテラスで食べやすくていいですね。

ついでにコーヒーソフトもいただきます。
濃厚かつコーヒーの苦味がさっぱり感を出していてGood。

腹ごしらえを済ませたら、ロープウェイでまた麓へ。
麓側の施設はイタリアンのお店とお土産屋さんといったところで、メインは山頂ですね。

食事も済ませて12:30、最後の目的地に向かいます。
朝通過した道の駅ゲートウェイ函南を通り過ぎ、一度北へ。
今度はケチらずに修善寺道路を経由して・・・

県道11号で東海岸へ。
丹那トンネル沿いにくねくねと進み、伊豆スカイラインの下を相ノ原トンネルで抜けます。

峠からあたみ梅ラインでゆるやかに降っていくと、熱海です。

最後の目的地はここ、アタミロープウェイ。
とんでもなく昭和感の漂う山麓側の駅。
ここはロープウェイ利用者専用の駐車場が駅の脇に数枠ありますが、熱海ベイリゾート後楽園の駐車券を提示すると2時間無料がつきます。
バイクは専用駐車場脇にまとめて停めてある場所があったのでそこにお邪魔しました。

山麓駅にはゲームコーナーも併設されていて、いい感じのさびれ味を出しています。
乗車券は往復で700円で、秘宝館とセットで1,900円。

ゴンドラは下田と同じく往復式で、間に支柱などはありません。
日本一短い観光用ロープウェイらしく、むしろ短さをウリにした車内放送が流れていました。
古めかしいゴンドラですが、カラー液晶のICプレイヤーで車内放送を流していて進歩を感じました。
きっと昔は添乗員さんが肉声でアナウンスしていたんでしょうね。
ちなみに山頂側へは道路も繋がっており、車で登ることもできます。

標高は100m足らず。
かわりに眺望は広域ではなく熱海の温泉街がよく見える高さでほどよいです。

山麓駅の昭和感とは裏腹に、山頂駅はオシャレでいい感じに整備されていました。
あいじょう岬・・・情と錠を掛けた感じでここも恋人の聖地な感じのウリになっています。

山頂駅には展望台だけでなく、熱海秘宝館が併設されています。
いわゆるシモネタの悪ノリ的なのを楽しむ施設(入場はR-18!)なのですが、なんかこう、オシャレカフェからの落差がすごいですねw
今風の「映えるスポット」と昔ながらの「温泉慰安旅行」的空気が同居するのが独特で、あえて共存させてる感じがします。

山頂駅の階段を登り、駅から出てさらに少し登ると、見えてくるのは熱海城。
日本風の城を模した建物ではありますが、城郭として建築された経緯はなく、純粋な観光施設だそう。
お城への入場はロープウェイとは別に1,100円、併設のトリックアート迷宮館をセットにすると1,800円です。

レトロ感漂う城やトリックアートとは裏腹に、お城の脇の広場はいくつかフォトスポットも用意されていました。
このウッドデッキは柵や周囲の構造物が映り込まないようになっていて、海の上の舞台に立っているみたいな写真が撮れるやつ。
各所に記念撮影用のスマホスタンドがあるのが気が利きいてますね。

自撮りとか秘宝館とかトリックアートとかにはあんまり興味がないのですが、甘いものは好きなので、こちらにお金を落とすことに。
ワッフルソフト美味い!
11月の半ばも過ぎたというのに、1日に2回ソフトクリームを食べてしまいました。
この日の熱海の最高気温は19℃だったので許される・・・。

帰りもサクッとロープウェイ。
この短さが逆に「温泉旅行に来たついで」にちょうどいいかもしれませんね。
山麓到着は14:00過ぎ。

熱海からは、セオリー通りの帰り道です。
国道135号を海岸沿いに北へ。

いくつかある有料道路をスルーしつつ、小田原へ。

ターンパイクがイベントで通行止めなこともあるのか、小田原周辺は箱根・熱海方面行きの道路がやたらと混雑していました。
土曜日の昼過ぎなので、みんなここから宿に向かって一泊、という行動パターンなのかも。
早朝行動のソロツーリングはスムーズに小田原厚木道路へ入り、海老名から東名で帰宅です。

この日は前半が西伊豆の海岸線走行、後半がロープウェイ3本がメインで、割と満足度の高いツーリングでした。
これだけ暖かければ伊豆でなくても走れたかもしれませんが、暖かいからこそアイスが美味かったのでよし。
走行距離は控えめの480.0kmでした。

ODOは90892kmになりました。明日はメンテナンス!

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