2月も後半に入り、早咲きの河津桜の季節になりました。
南関東山間部でもまだまだ気温は氷点下になる日も多いですが、ひと足先に春の色を眺めるべく、伊豆へ足を伸ばします。

話は変わりますが、先週は金曜日に都心西部でも雪が積もる、今シーズン一番の冬らしい天気となりました。
せっかくの土日晴れでしたが、残雪のことを考えてツーリングは見送り。
かわりに特急しなの号で、珍しい雪の松本城を見にいったりしていました。
雪景色だけは大型バイクではどうにも見に行けませんからね。

さて閑話休題、今日の出発は6:30。
最低気温は2度くらいと低いものの、お昼は15度くらいまで上がる予報です。

東名に出る首都高渋谷線が混雑していたので、横浜新道から保土ヶ谷バイパス経由で西へ向かいます。
横浜町田で渋滞の頭に合流し、比較的スムーズに海老名を経由し、小田原厚木道路へ。

小田原からは箱根新道に入ります。
8:00過ぎの箱根路は、からっと快晴。

標高を上げるにつれて残雪が増えてきます。
とはいえ夏タイヤ走行可能な状態であることは事前に確認済み。
融雪剤でしっとりと湿った路面に注意しつつ、氷点下の箱根峠を越えて国道1号へ。

お馴染み三島に降りていく1号線は交通量も少なく、スムースな走行。
箱根新道までは箱根が目的地の車が多くいますが、中伊豆〜西伊豆に行く観光客はナビ通りに長泉まで高速を走ってしまうので、箱根から三島までは交通量が少なめです。

三島からは伊豆中央道に乗って少し南へ走り、最初の目的地に向かいます。

6分咲きの河津桜並木が美しいこの場所は、2021年にも訪れた狩野川の河川敷。
ちょうど修善寺道路と並行する河川敷上は車も入れる立地に等間隔で河津桜が並んでおり、大変明媚。
9:00前の時間帯ではまだ地元の人がチラホラといる程度で、人混みに埋もれることなく花見ができます。

まだまだ蕾も多いですが、今日明日と気温が高くなるので一気に花開くのではないかと思います。
事前の開花予想よりだいぶ早く満開になりそう。

青い空に濃いめの桜色が生えます。
ソメイヨシノより色が濃い河津桜は、本当に写真映えしますね。

狩野川で数十分花を楽しんだら、さらに南へ進みます。
伊豆縦貫道の無料区間に入って、まずは月ヶ瀬まで。

太平ICの南、狩野川を左岸から右岸に渡るこの場所は道路の線形が美しく、景色も開けていて、伊豆でお気に入りスポットの一つ。

そのまま国道414号に入って、さらに南へ。
沼津方面から来た南伊豆方面への交通はこの道に集中するので、やや交通量が多め。
それでもまだ早い時間で、混雑するというほどではありません。

新天城トンネルを越えて河津町に入ります。

旧天城峠の入り口で、気温は4度を表示していました。
ここ数日降水もありませんし、ここまで暖かくなればもう安心ですね。

河津の国道141号といえば、河津七滝ループ橋。
360度の眺望を眼下に、2周回って山を下ります。
河津桜を見るといえば河津桜まつりですが、開催期間中はものすごい混雑。
何も河津川の河口だけが桜の名所ではありません、ということで、混雑を避けることもかねて、今日のメインは七滝にします。
桜祭りの会場はすこし時期をずらして行くのがおすすめです。

ループ橋の輪の中に町営の無料駐車場があり、滝までは少し遠いながらも、斜面の桜とループ橋が一緒に見れる絶景スポットです。

時間は10:00、ちょうどループ橋の影が桜に落ちるタイミングですね。
あとでもう一度見ることにし、七滝へ向かいます。

ループ橋から一番近い大滝までは500mほど。
大滝の下は地形が開けていて、旅館やお土産屋さんが立ち並びます。
河津七滝(かわづななだる)は7つの滝が連続する河津川の名所で、ここから川沿いに遡っていくことになります。

滝は下流から、大滝・出合滝・蟹滝・初景滝・蛇滝・蝦滝・釜滝。
説明の通りの謂れで、全ての「滝」は「だる」と読みます。
下流から順に見て行くのが定番と思いますが、それだと帰りが退屈ですし、時間は早いほうが人が少なそうなので、一気に上まで登り詰めて下りながら眺めることにします。
今回は愚直に歩きましたが、バスで回り込むこともでき、その場合は東海バスの水垂が上流側の最寄り。
概ね1時間に1本程度のようです。

川に沿った道は、整備された歩きやすい遊歩道が続きます。
しかし歩きやすいから楽だとは限りません。
大小7つも滝があるということは、高低差はそれなりにあります。
時折現れる階段区間が結構ハード。

溶岩流の作った地形ですから岩の形も荒削りで、吊橋だってあります。
さすがに首都圏から近い観光地だけあって、橋は鉄骨のガッシリしたもので、怖さはありません。

最上流の釜滝が7つ目の滝なので、そこまでは階段も含めてまぁソコソコ・・・という難易度ですが、更に上流を目指すと、ものすごい階段の連続が始まります。
実は釜滝の上には裏ボスとも言うべき、猿田淵という名勝が存在します。
私の足で大滝から釜滝まで15分、更に猿田淵まで5分といったところですが、体力的には釜滝から先が50%を占めます。

ということで、20分ほど歩いて猿田淵までやってきました。

天城峠は言わずと知れたワサビの名所であり、その水の美しさは保証されているも同然。
深いエメラルドグリーンの縁が太陽の光でキラキラ輝いています。

猿田淵は上流に3段、淵を挟んで下流に2段と小さな滝が連続する区間にあります。
自然にできたとは思えない不可思議な形をした岩は火山性の土地ならではですね。

さて、ここから7つの滝を下っていきます。
猿田淵から下る橋の名前は滝々段々橋と書いて「だるだるだんだんばし」、英語表記は「Darudaru-Dandan Suspension Bridge」とおふざけ気味。

息を切らせて登ってきた階段を降ります。
昇降が激しすぎて、朝の箱根で冷えた膝が笑うw

まずは7つめの滝、釜滝です。
一番下流の大滝に続いて落差の大きい滝で、岩に包まれるような滝壺を持ちます。
滝の左右には柱状節理が見られ、これも見どころの一つ。
脇には救命用の浮き具も置かれており、滝壺の深さが窺い知れます。

釜滝の次は6番目の滝、蝦滝です。
遊歩道から対岸に渡り、吊橋の上から眺めることができるのですが、滝に近い下流側の橋は通行止め。
上流側の橋を渡って吊り橋の近くから眺めることになります。

蝦滝は表記によっては「海老」とか「えび」だったりしますが、要は形がエビのシッポに似ているからだとか。
メインの滝のすぐ上に小さな落差があり、2段になっています。
名前のついていない滝がいくつもあって、正直7どころか20くらいありそう。

蝦滝からはS字型に高低差のついた面白い吊り橋を渡ります。

この橋の名前は河津踊子滝見橋。
なんだマトモな名前じゃないかw

そして橋のすぐ下流にあるのが、5番目の蛇滝です。
滝壺が大きく、夏は気持ちよく泳げそうな雰囲気(もちろん泳いじゃダメですが)
狙ったように綺麗に光がさしていて、タイミングもバッチリです。

なぜ蛇かというと、周辺の岩の模様が蛇のウロコのようだから、だとか。
いやしかし、岩盤の形がすごいですね・・・
溶岩が流れてできた1枚の硬い岩と、その下にあった元々の柔らかい土壌が層になっていて、元々の土壌だけが削られた結果屋根のようになっている・・・。

更に下流に足を進めます。
名もない小さな滝も水量十分、どこを歩いていても水の音が途切れることはありません。

蛇滝からは少し階段を経由します。
猿田淵への階段の1/3くらいなので、大したことはありません。
逆に登り方向に猿田淵まで行く人は、この階段の3倍を覚悟しておけば良いでしょう。

4つめの滝は、初景滝。
アクセスしやすい立地でソコソコ大きいこともあって、一番有名なスポットだとか。
落差はそれほどでもありませんが、これまでの縦長の形とうってかわって、幅広に落ちるので見栄えがしますね。

滝壺のほとりには川端康成著、伊豆の踊子をモチーフにした「踊り子と私」というブロンズ像が建立されています。
公式サイトでは、自然の中に調和し・・・とか書かれていますが、そんなことはないw
どうもこの像が「映える」らしく、像に寄り添って長々と写真を撮っている人がちらほら。
「踊り子と私と知らないインスタオバサン」ですね。

初景滝の下流、少し行ったところに大きな岩がゴロンと転がっています。
しめ縄が施されており、何かのご利益を期待されている様子。

脇の看板には「大岩成就」で、なるほど「大願成就」とかけているんですね。
置いてある小石を3個投げて、1個でも岩の上に乗せられたら、「大願上受」になるのだとか。
語呂合わせが好きすぎる。

初景滝から次までは少し間隔が空きます。
大願・・・じゃない、対岸にはキャンプ場もあるようで、猫の額程度ですが開けた地形が広がります。
水の流れか溶岩の流れか、川床から迫り出した中央の岩がまるで人工の放水路のように流れを二分しています。
あらためてすごい地形だ。

そのまま歩くと、遊歩道と川には少々の高低差が生まれます。
脇道に逸れて川のほとりまで歩くと小さな広場があり、そこから小さな滝と大きな滝壺が見えます。
これが3番目、蟹滝です。
エビとヘビにつづいてカニに例えられたこの滝は、左右の岩が蟹の甲羅のように見えるからだとか。
景色が素晴らしいだけに、命名のセンスがもうちょっとなんとかならなかったのかという気持ちが強い。

蟹滝から下流、道が川からは離れた上流を通るようになります。
そのぶん広く平坦になり、車も通行できるようになるので、いくつか休憩施設が立ち並びます。
時間も11:00を回ったことですし、ここでお昼にします。
2つめの滝、出合滝の名前を冠した河津七滝 出合茶屋さんで、わさびとろろそばをいただきます。

往路で通った時に「寒いし猪汁うどんか、猪鍋でもいいな」と思っていたのですが、まさかの汗だくハイキングにつき冷たいものにしました。
一般的なざるそばには、山葵は薬味として出ますが、これは山葵が蕎麦生地に練り込んであります。
茶そばよりも明るい鮮やかな色をしており、カワサキに乗ってる人が喜びそうw
茹でていることもあってか、山葵の味が強くするわけではありません。
風味がほんのり香るのと、後味に少し残る程度で、あっさりと美味しい蕎麦でした。

「よろしければこちらも」とサービスで出していただいたのは有平糖と呼ばれる飴菓子。
黒ごま・黒大豆・落花生の3種があり、周囲の飴の強い甘みと、中身の素材の上品な甘みが調和して美味。
疲れて糖分を欲していたこともあり、おいしくいただきました。

特に河津名物とかではないようですが、気に入ったのでお土産にそれぞれ1袋購入。
こういうの、食べ始めたら止まらないので、気をつけないと数日で食べ切ってしまう・・・

さて、休憩も終え、残りは2つです。
箸袋の裏にカンペが書いてあって助かりますね。

茶屋の脇から伸びる階段歩道で崖を下り少し行くと小さい滝。
先ほどまでと違って半透明の滝壺をもつ、ここが2番の出合滝です。
出合の謂れは、これまで辿ってきた河津川に支流の荻ノ入川が合流するから。
合流する側の水が濁っているのでここで水の色が変わるのかも?
(今日だけかもしれませんが)

少し下流には人工の堰堤もあります。
最初はこちらが出合滝かと思いましたが、人為的に作ったものはノーカン。

メインの通りに戻って、車道を降りていきます。
最後の大物、1番の大滝へは河津桜並木の美しいメインストリートの南端付近、七滝茶屋の駐車場脇から入ります。
宿泊施設などは大滝入口から出合滝入口までの間に集中しており、こちら側の丘の上にも町営の無料駐車場があります。

大滝への歩道を降り始めると、何やら怪しい雰囲気の建物。
廃墟か・・・?と思いながら脇を下っていくと。

火災の跡のようです。
ここは天城荘という温泉旅館で、2017年に運営母体を変更してリバティリゾート AMAGISOとして営業したいたもの。
人気を博していた施設でしたが、今年の元日に火災に見舞われ、今も焼け跡はそのままとなっています。

焼けてしまった旅館の脇を通り、川岸に降りると見えてくるのが、1番の大滝です。
七滝の中で最も高く、下流にあるので水量も当然多いですね。
左右の崖も見事な柱状節理で、ラストに相応しい滝です。

大滝展望所の下段一番奥に小屋があります。
実はここが、焼けてしまった天城荘の外湯。
物理的に離れた外湯は火災を免れたのでした。

火災のニュースは知っていましたが、ここに外風呂があることは全然知りませんでした。
大人1人1000円と、特に施設のない日帰り温泉としては割高。
・・・ですが、その価値はあります。

何せこの立地、大滝の真下ですからね!
火災の影響で様々な制約のある中での営業ですが、思わぬ収穫でした。
なお外風呂は混浴で、展望台からも丸見えなので、当然水着着用が必須です。
知らずに来たので水着は持っていませんでしたが、300円でレンタルができます。
タオルやラッシュガードもレンタル可。
汗だくで膝もガクガクなので、ありがたく入浴することに。

浴槽は川岸の完全外風呂が3つ、小屋状になっているものが2つ。
さらにトンネルの奥深く数十m続く穴風呂もありました。
ボコボコとお湯の湧き出る音がしていてめちゃ不気味。
遊歩道の途中にある貸切風呂、洞穴の湯も燃えずに済んだようで、今なら1時間無料ーとご案内いただきましたが、今回は川岸を利用することにしました。

いやーこの立地最強すぎるな・・・
しかもノーマークの人が多いのか、自分の他にはあとから入ってきた男性1人と入れ替わりにの1人のみで、ほぼしきり状態。
1時間ほどゆったり浸かって、満足です。また来よう。

当初西伊豆まで回ろうかとも思っていましたが、河津中心部へ南下するルートは大渋滞ですし、風呂で時間を使ったのでまっすぐ帰ることにします。

時間はもう12時をまわり、太陽の位置が変わったことで桜は日向に出ていました。
やはり日光にあたってこそ桜は映えます。

螺旋状のループ橋は全国津々浦々にありますが、真円かつ2周、しかも真下に入れるものはそうありません。
桜並木もあわせて、凄まじい絶景です。

河津方面に向かえないので、必然的に帰路はもう一度ループ橋を渡ることになります。
上りルートのほうがループの内側を通るので、桜はよく見えます。

ぐるぐると桜の360度ビューを楽しみます。
ちょうど桜の木がある斜面の上にバス停がありますが、そこから降りる階段が見えました。
駐車スペースはなく、歩道もないので、下から上がっていくかバスを使えばここまで行けそうですね。

朝南下した国道を北上。
この時間に帰る人はそれほど多くなく、前に車がいない状況にはなりませんが、交通はスムースです。

再び新天城トンネルをくぐり・・・

伊豆縦貫道で狩野川を渡ります。

梅の花も場所によっては見頃で、ますます春の予感が伝わります。

せっかくきた道を戻るのだから、ということで、狩野川河川敷も通過します。
朝よりは人が増えていますが、穴場であることに変わりはなさそうですね。

同じように1号線を箱根まで上り、箱根新道から東へ戻ります。
小田原厚木道路から東名へ入るまでは完全に朝と同じルート。
最後に渋滞状況を見て横浜青葉から首都高に入り、羽田線経由で帰宅しました。

久々にがっつり歩いて翌日の筋肉痛に怯えつつ、走行はソコソコで386.5km

ODOは98434kmになりました。

コメント
コメント一覧 (4)
でもループ橋の真ん中に駐車場があるなんて誰も教えてくれませんでしたよ
七滝全部歩いて巡るなんて日帰りツーだとちょっと躊躇しますが、真冬に汗だくで回ったんですね(根性ありますね)
河津桜がそろそろ見頃かな~なんて思っていたので、ちょっと行きたくなって来ました
一等地に潰れた旅館があったりもしますので、あまり集客が上手ではないのかもしれませんね。
今週末はきっと一番の見頃ですので、お暇があればぜひ。
とても渋滞するのでルートにはご注意ください
いつも楽しくブログ拝見させていただいています。
河津毎年行ってましたが、今年は残念ながら行けそうにありません⤵️
狩野川沿いの桜、私も一昨年修善寺道路?を走ってて真横にいいとこある!と気付き、昨年ようやくバイクを乗入れのんびり花見をしました。本当に穴場で良いですよね♪
こんにちは。コメントありがとうございます。
毎年行っている場所に行けないのは残念ですね。
私はパンデミック以降、すっかり人の少ないところばかり狙うようになってしまいましたので、狩野川の穴場は尚更ありがたいですね。