8月1週目の土曜日はタイヤ交換にいってきたので、日曜日には早速皮剥きツーリングを計画。
酷暑の連続なので、早朝涼しい間にある程度走り、日が上ると同時に標高をあげるルートを走ってきました。

ルートはこんな感じ
出発は3:30、もちろんまだ真っ暗です。
外環道で都心を避けてまわりこみ、関越道方面へ向かいます。

花園のあたりで右後方から空が明るくなりはじめます。
朝焼けが綺麗に色付いているので、空気は澄んでいるでしょうが、空気中の湿気は多そうです。

藤岡JCTで上信越道へ折れます。
碓氷峠方面はやや雲が低く立ち込めていて、不穏な天候。

夏の雨は寒くないですし、濡れてもすぐに乾くので、多少であればなんてことはありません。
なるようになれ、の精神で予定通り松井田妙義で下道へ。

松井田妙義ICは碓氷川の右岸、小高い丘の上にあって見晴らしがいいので、降りてからの景色がお気に入り。
上信越道は川もろとも谷をひとまたぎにして対岸へ伸びますが、ICのつながる街道は谷の底です。

国道18号を西へ向かって進みます。
時間はここでやっと5:00を回ったところで、峠の釜飯でおなじみ、おぎのやも当然営業時間外です。

碓氷バイパスと旧道の分岐を旧道方向へ進み、旧中山道の坂本宿を抜けて少しいくと、峠の力餅の玉屋ドライブインが見えてくるので、この脇を右折。
このお店には歴史があり、かつて中山道が徒歩道だったころは刎石山の峠の茶屋、信越本線熊ノ平駅が開業した明治時代には力餅の駅売り、駅の廃止後はこうして国道沿いでドライブインを営む由緒あるお店だとのこと。
BPの開通と新幹線の開業には取り残されてしまったんでしょうか。

入った脇道は県道56号で、霧積川沿いに登っていく道です。
最初に2連続でボックスカルバートをくぐりますが、これは廃線になった信越本線の昭和の新線の跡。
明治の旧線はアプトの道として遊歩道化されていて、峠の湯までは新旧線が同じ場所を通るために歩くことができます。
しかしここから先、新線は時折ツアーなどで公開されるのみで、手付かずのまま山に眠っています。
ちょうど道路を越えるところに63パーミルの勾配標があり、往時を偲ばせます。

線路をくぐったら、しばらく県道と新線は並行して走ります。
このあたりは現役時代、さぞ迫力のあるビューポイントだったでしょうね。
1998年の長野五輪に先立って、1997年に新幹線が開業したと同時に廃止されたので、はや25年です。

話を戻して、県道を進みます。
線路と別れたあとは、いかにもローカル県道らしい風景が続きます。
土砂崩れがあったようで、途中の数箇所で片側交互通行の規制が敷かれていました。

朝の空の色は目まぐるしく変わります。
南・西方面は真っ白な雲に包まれていますが、北・東方面は割と晴れていて、早朝の淡いブルー。

俎上するにつれて道はどんどん狭くなり、車同士ではすれ違いが不可能なところまで来ました。
バイクだと幅には余裕がありますが、路面の落ち葉や舗装の痛みに要注意です。
朝霧なのか雨なのか、路面がしっとりしていて尚更危険な感じ。

木々も鬱蒼と生い茂り、時計は5:30に近づいて、とっくに日の出の時間を過ぎていますが、まだ擁壁にくっきりライトの照射が浮かび上がります。

このまま山の中を延々と・・・と思いきや、そんな寂れた道に巨大な建造物。
見上げるのは先ほどの信越本線にとどめをさした張本人、北陸新幹線です。

新幹線をくぐったら、道と霧積川はどんどん近づいてきます。
せせらぎのすぐそばを走るので、晴れたお昼に走りにくると涼しくてよさそう。

やがて道が未舗装になったと思ったら、まもなく終点。
この県道56号、路線名を「群馬県道56号北軽井沢松井田線」といいますが、中間の十六曲峠区間が未供用のため、分断されている行き止まりの道です。

車道が行き止まりになった更に奥には、霧積温泉 金湯館があり、道の終点はその駐車場になっています。
駐車場から宿までは徒歩で登るか、宿の迎えに来てもらうかが正式なアクセスだそう。
金湯館は先ほどの力餅のお店と同様に歴史が深く、かの伊藤博文が明治憲法の草案をしたためた部屋がいまでも残っているそう。

しかし今日は温泉には行きません。
県道をいくところまで行ったので、戻ります。
こんな感じの道をえっちらおっちら走っていき・・・

国道から1/3ほどの位置まで戻ると、霧積ダムが見えてきます。
途中で折れ曲がった堤体が特徴的。
明るくなってから見学したかったので、行きはあえてスルーしていました。
時間は6:00をまわり、だいぶそらの色も明るくなって目論見通りです。

先ほど行って戻ってきた上流側を望みます。
ところどころもやのかかった山肌と青い空、水面に映り込む稜線が美しいですね。

下流側もなかなかに絶景。
碓氷峠はツーリングでよく通りますが、行き止まりのこの道は特に用事もないのでなんとなく未踏破でした。
今回訪れてみて、謂れも調べて歴史もわかったので、これにて目的完遂です。

ダムで小休止したら、国道まで戻って軽井沢へ抜けます。
先ほどまで走っていた県道の路面が結構濡れて滑りやすくなっており、あの状態では旧国道も似たような状態と思われます。
碓氷の旧道のカーブは楽しめなさそうなので、手早く抜けるべく碓氷バイパスに回ります。

つぶれたドライブインやつぶれていないドライブインを横目に峠を一気に登っていきます。
脇にちらちら道が見えるな、と思ったら、バイパス以前に入山峠を通っていた廃道がほぼ並行して走っているんですね。
旧道に入っても面白そうだと思いましたが、閉鎖のうえ橋が一本撤去されているなどしているようで、断念。

バイパスを走る時、一際目立つ立派なアーチは上信越道の遠入川橋。
アーチ部の支間167m、高さ61mとビッグな橋です。

登坂車線の連なる大きなカーブの続く道を登りきり、入山峠で長野県に入ります。
頂上付近は霧がかかっていて、標高が上がったのもあってヒンヤリしています。

バイパスは速度が乗るということもあり、メッシュジャケットの下に半袖だけではやや肌寒い。
沿道のコンビニでホットコーヒーを飲みつつインナーを一枚追加し、軽井沢の中心部へ。

軽井沢を西へ向かう場合、基本的にはそのまま国道18号。
しかしいつも通るこの道をただ走るだけではつまらない、ということで、国道146号を少しだけ北上。
閑静な別荘地帯を抜ける千メートル林道を走り抜けます。

千メートル林道の何が千メートルかというと、距離ではなく標高。
軽井沢の中心地は930〜940m程度なので、浅間連峰の南側の斜面を使い、20階建のビルくらいの高さのところを走る感覚です。

観光的には見下ろす信濃追分あたりの景色が推しのようですが、基本的には気持ちのいい並木を抜ける、走りやすい裏道です。
加えて目につくのは閑静なロッジやカフェの連なり。
沿道はまるで別荘のショールームのよう。

千メートル林道を追分まで走り、あとは大人しく国道へ。
南を向けば気持ちのいい青空が広がって、時間はここで7:00。

平原交差点を右折して国道141号に入って、かつての信越本線・・・現在のしなの鉄道線を一跨ぎ。
低い角度から射す朝日が田んぼの稲をキラキラ反射させて明媚。

佐久北から中部横断道の無料区間に乗って、佐久南までショートカット。
向かう先にはやや雲の濃いところもありますが、雨が降るような感じではなさそうですね。

中部横断道からは国道に復帰し、洞源湖の入口で右折。
蓼科スカイラインの入り口には、蓼科仙境都市への案内看板がまだ残ります。

美笹湖の脇から林道大河原線の開始。
本格的なスカイライン区間です。
時間は7:30、この時間、この方角からのアプローチなら交通量も少ないでしょう!

愛称がついているとはいえ、それほど交通量の多くない林道にもかかわらず、案内看板はリッチです。
もっとも、春日渓谷へつながる鹿曲川林道は2009年から通行止めで到達できず、白樺湖へも県道150〜152で北から迂回するほうが走りやすい道ではありますが。

そんな不便な道ではありますが、どこかに行くことが目的ではなく、ここを走るのが目的であれば関係ありません。
早速目前に広がる荒涼とした高原の景色がこの道のすばらしさを感じさせてくれます・・・が、この風景は前に来た時に見た覚えがありません。
どういうことかというと、伐採の影響。
2021年に訪れた時は霧もかかっていて、ほぼ同じ地点(カーブ一個手前)でこんな景色でした。
Googleストリートビューでも2021年にこうだったものが、2023年の撮影ではこうなっています。
同じ道を走りにきても見られる景色が全然違うというのは、ツーリング的にはたまりませんね。

つづいての見どころは、やはり美笹深宇宙探査局の54mパラボラアンテナ。
今日も青く澄んだ空に白亜のアンテナが映えます。

青と白のコントラストの激しい夏の空を見上げつつ、楽しく駆け上がっていきます。
気温は15〜17度と標高相応の涼しさですが、路面はドライ。
今日の目的のひとつであるタイヤの皮剥きには悪くないコンディションです。

廃墟連なる蓼科仙境都市を抜けていきます。
仙境都市の共有施設自体は最低限の管理しかされていないようですが、周辺にはちらほら現役の別荘もあったり、新築したと思しき建物もあったり。
もしかしたらコロナ禍でそういう需要が再励起されたのかもしれません。

いつもの廃業ガソリンスタンドを越え、更に進みます。
雲の中に入ったようで、目前の空は真っ白。

雲を出ると、今度は真っ青。
写真でもこれだけ変化に富んでいるのに、カーブ、勾配、路面、気温、湿度・・・体感できる要素は全て目まぐるしく変わります。
やっぱりツーリングは最高です。

ほどなくして、林道入り口近くの看板で案内されていた大河原峠に到達。
標高は2093m、時間は8:00を回りました。
駐車場は登山者で満員御礼。

峠の少し西には、見晴らしのいいスポットがあります。
雲の層を上から見下ろす景色になっており、まるで飛行機に乗っているかのよう。
先ほど通過してきた54mパラボラがよく見えますね。

引きで見ると、太陽に照らされた白い雲が輝いて、とても幻想的な風景。
この景色はなんだかんだ、来るたびに写真に撮っています。
現地で過去の写真を振り返るのもツーリングの楽しみの一つ。
2022年に訪れた時の薄くもやのかかった景色もよし。
2021年はちょっと画角が違いますが、雲海が低く立ち込めています。
2017年の時点ではまだ54mパラボラの設置が行われておらず、敷地だけが確保されています。

引き続きスカイラインは続き、女神湖・白樺湖方面へ下っていきます。
排水溝の段差で弾むバイクをリアブレーキで落ち着かせつつ、楽しく下り坂。

再び雲の中を抜け・・・

唐沢林道との分岐地点で仙境都市も終わりの看板。
ごきげんようー

左がスカイライン、右が林道唐沢線。
正確には今走ってきた道も、大河原峠からこっちは唐沢林道です。
唐沢林道はこの先、廃道になっている鹿曲川林道とほぼ並行しており、北へ抜けることができます。
こっちは通ったことないので、一度くらいは走ってみてもいいかも。
ソフトクリームついでにちょうどよさそう。

しかし今日は別のルートを計画済み。
西へ向かって下り、しばらく行くと眼下に女神湖が広がります。

ぐるっと一周し、湖畔の気持ちいい風を浴びます。
周辺には合宿所が多く立地し、夏休みの部活と思しき集団がたくさん。

女神湖からはビーナスラインを南へ。
雲の影がくっきりと山肌におちていて、非日常を感じさせるすばらしい景色です。

ビーナスラインはすずらん峠を越えて更に進みます。
標高はここでも1760mと、まだまだ高原。
当初予定では、ここから少しいったところにある蓼科温泉小斉の湯で温泉で締め・・・と思っていたのですが、営業時間が公式サイトにある8:00ではなく、9:00からに変更になっているよう。
30分ほどなので周辺をぶらっと走ってきてもよかったのですが、今日は下道走行を延長することにしましょう。
上でちゃんと調べて、唐沢林道からぐるっと回ってきたらちょうどよかったかもしれないな。

ということで、諏訪南からサクッと高速に乗るつもりだった予定を変え、下道でしばらく南下します。
エコーラインをあえて一本外し、県道17号を走行。
沿道にはひまわりがちらほらと咲いており、「夏!」という感じ。
そういえば明野のサンフラワーフェスもきっと見頃でしょうね。
私は去年いったので今年はパス、というか渋滞してそうなので避けようw

暫く八ヶ岳の裾野を走ったあとは、甲州街道こと国道20号で南下。
国界橋で釜無川を渡ったら山梨県に突入です。

県道617号に折れて花水坂を駆け上がり、日野春駅のあたりで県道17号に復帰。
この県道17号は長野県道・山梨県道なので、先ほどの道と地続きです。
ずっと17号で走ってもよかったのですが、小淵沢のあたりの右左折がやや煩わしいんですよね。

そのまま県道17号、七里岩ラインで七里岩の先端まで走りきり、あとは韮崎から中央道。

中央道では幾度か天気雨に降られ、雨・晴れ・雨・晴れと繰り返して走行。
冬なら泣いていたところですが、むしろ熱中症が心配な夏の中央道では福音ですらあります。
渋滞が始まる前、正午ごろには首都高までたどり着き、本日のツーリングは終了です。

天気雨でぐっしょり濡れても、15分も走っていればすっかり乾いてしまうので、帰宅時にはドライ。
出る時間も早く、距離もほどほどだったのでいい感じに夏休みの渋滞を回避できました。
今日の距離は515.1kmでした。

ODOは107916kmになりました。

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