GW後半も中日の1日だけツーリングに宛てることとし、行き先をあれこれ選定。
春先の、まだ藪の浅い時期に行きやすいスポットを訪れることにしました。
前半は鉄分濃いめ、後半はガソリン濃いめです。
ルートはこんな感じ
出発は4:00。
連日晴れ模様で、関東各所はこの日も夏日の予報。
黄砂なのか湿気なのか、日の出前の空は霞がかかったような幻想的な色に染まります。
朝日に背中から追いかけられるようにして、中央道をひたすら西に進みます。
3月末に下道で抜けた笹子トンネルを今日は高速で通り抜けます。
5:30ごろに甲府盆地を過ぎ、正面に八ヶ岳をとらえます。
連休なので交通量はいつもより多いですが、後半の3日目朝の下り方向なので、渋滞はナシ。
甲府盆地ではこのあと気温30℃を超える真夏日予報となっていますが、中央道最高標高点の富士見は6:00前で8〜9℃。
肌寒さに耐えながら定速走行で更に進みます。
岡谷JCTで長野道へ入り、塩尻ICで下道へ。
国道20号で少しだけ南に戻り、国道153号に乗り移って進みます。
沿道の田んぼには水がなみなみと張られており、春の風景。
この季節ならではの水鏡にたつさざ波が綺麗ですね。
市道に入って中央本線を越え、少し行くと、早速本日メインの目的地です。
やってきたのは、上西条地区の南の外れにある、こちらの分岐路。
地図でいうとこの地点ですが、ここが「鉄スポット」の入り口です。
左右どちらにも用事があるのですが、まずは左の道へ進みます。
2つめの分岐は右。
左側はUターンして畑をつっきり、集落に戻る道です。
Google マップには表示されていない道ですが、地理院地図にはハッキリと描写されています。
旧道や徒歩道の確認はGoogleマップに載っていないことが多く、地理院地図が頼りになります。
トンネル手前までは舗装されていますが、落ち葉が積もっており、路肩の用水路に落ちそうなのでバイクは手前の路肩に置いていくことに。
地図通り口を開けているトンネルに到着。
煉瓦造りの見るからに古そうなトンネルで、坑口は車がぶつかったのか、削り取られています。
用水路とともにトンネルを潜ります。
トンネルの反対側はコンクリートづくりで、上には石垣が積まれています。
草木越しではありますが、石垣の上は平坦な路盤が広がっているのがわかります。
トンネル脇の斜面をおもむろに登り、石垣の上へ。
ここ数日は晴れているので割と登りやすいですが、ふかふかの腐葉土なので雨上がりは辿り着けないだろうなあ・・・
もちろん藪が深くなる時期も難易度が上がります。
平場に辿り着き、見渡すと目に入ってくるのが、こちらの構造物。
足元にはレール。
もったいぶりましたが、ここは東塩尻信号場(東塩尻停車場)の跡地です。
本来このテのスポットは訪れないか、訪れたとしても紹介しないのですが、長野支社の公式アカウントが投稿をしていたりするのと、系列のツアー会社が見学ツアーを組んでいたりしたので、現役の鉄道施設に立ち入らないという事情もあって投稿することにしたのでした。
構造物はかつての旅客ホーム跡で、駅名標のフレームと電源装置だけが突き刺さっています。
日中戦争の折に輸送力増強のため設置された行き違い施設が、戦後地域の足として仮乗降場となり、国鉄末期の1983年まで使われていた・・・という経緯を持つ「廃仮駅」です。
廃止前の様子についてはmikeneko様のサイト「みけねこのホームページ」が詳しく、現役時代のホームや列車、信号所室内の写真まで掲載してくださっています。
図中のオレンジの線のあたりに、それぞれ分岐する引き上げ線が存在しました。
もっと長かったはずですが、とりあえず辿れる長さだけ線を引きました。。
いわゆるスイッチバック型の施設で、南側(今いる場所)にホームが、分岐点付近に駅舎がありました。
南側の引き上げ線は、旅客営業廃止になったあとも暫くは保線関係の側線か何かとして使われていたようで、中途半端な位置に車止めも生えていました。
南側の待避線に至るルートはこんな感じで、トンネルをくぐってすぐ背後の斜面を直登すると辿り着けます。
トンネルの煉瓦部分は本線開通の1906年(明治39年)、コンクリ側は信号場建設の1939年(昭和14年)のもののようです。
一方、北側のルートは最初の分岐まで戻って、右の道を上ります。
こちらは何の苦労もなく、コンクリート舗装の坂道を登っていくと辿り着けます。
現役線のすぐ脇に出るので、そちらには近づかないように。
本線は今でも現役ですが、ひっそりとしたローカル線です。
この信号場が現役の当時はそうではなく、東名間輸送の大動脈である中央本線の施設でした。
しかし、塩嶺トンネルの開業により、直線的な新線が開通してみどり湖駅も開業。
こちらのルートは辰野支線に引き下げられ、行き違いするほど列車の発着がない、ということで、廃止になったのでした。
線路と並行するようにして、平らな土地が広がっています。
現役線は左カーブして塩尻駅方面へ下っていきますが、引き上げ線は直進。
うっすら轍があるので、年に数回くらいは人の出入りがありそうですね。
ポツンと一本だけ撤去されずに残った看板も。
停車位置目標?
有効長を考えると更に奥まで続いていたはずですが、藪が深いのでこの辺で。
探索のことだけ考えるなら冬枯れの時期、雪解けすぐがいいのですが、バイクで来るには寒いですからね・・・
草木が茂っていなければ、結構眺望もよかったはず。
ということで、ゆったりと散歩したあとは再びバイクに跨って、いざ塩尻の中央部へ。
新線を走る列車とクロス。
ガラスが透明な旧型車両だと、車体越しに青空が透けて見えて綺麗ですね。
駅の下を抜ける地下道を通り、裏玄関の西口へ。
駅前の駐輪場にバイクを置いて、駅舎の中に次の目的地があります。
入場券を買って、改札内へ。
ちょうどキオスクの裏手、1・2番線へのエレベーター脇に目的地があります。
エレベーターの間口の半分ほどしかないここが、第二の目的地そば処 桔梗です。
ここは方々で紹介されているのでご存じの方も多いかも。
バリアフリー対応工事でエレベーターが設置された結果、蕎麦屋の間口が追いやられ、この広さになったのだとか。
狭いのは間口だけでなく、立食スペースも。
店内は食券機と、大人2人でやっとのスペースだけ。
せっかくなのでここで朝食を、ということで、月見そば大盛りを注文。
写真撮る前に崩してしまったので写真はナシです。
こちらもよく知られた話ですが、狭いのは改札内の間口と立食スペースだけ。
調理場を挟んで反対側、改札外側の待合室からも入店することができ、そちらは広々としています。
駅表口の東口はこんな感じで、すこしモダンな装い。
駅周辺あちこちにアルプスワインの看板が出ており、駅の東西両方にワイン樽のオブジェも置かれています。
ちなみに、塩尻駅は東京方面から来た中央本線と、名古屋方から来た中央本線が合流する面白い構造をしています。
左側が東京行き、右側が名古屋行き、どちらも中央本線です。
ちょっと前までは「△」の路線になっていて、てっぺんの塩尻を経由せずに東西を行き来できたのですが、今は休止になっているので、「人」のような路線になっています。
先ほど訪れた東塩尻信号場跡は左側の線路を進み、しばらくしてから分岐します。
東西両方から(ついでに北から)列車が来るので別の会社の中央線同士が並ぶのがおもしろいですね。
・・・さて、鉄分ここまで。
ここからはフル下道で自宅に戻ります。
時間は8:00を回ったところで、気温がじわじわ上り始めました。
観光客の流れに逆らい、せっかく朝のうちに都心方面に進むので、楽しい道を選びたい、ということで、国道299号を主体に峠をつないで走ることにします。
まずは田んぼの中を抜け、一路諏訪へ。
国道20号、塩嶺峠を越えて南へ進みます。
反対方向は車列が連なっていますが、こちらはガラガラで快適。
サミットで岡谷市に入り、諏訪湖の西岸へ降ります。
わざとらしいくらい美しい湖水の風景、これで冬さえつらくなければここに住みたいと思えるのにw
天竜川の始端、釜口水門を越えていきます。
ここは2021年に訪れているので、今日は通過のみ。
そろそろ天竜川沿いのツーリングもしたいなあ。
夏らしい、やや濁った空気が空の色と湖水の色を同化させ、遠くの稜線をうっすら見せて、一面同じ、薄い青。
諏訪湖の湖畔を走り切ったら、そのまま南へ進み、茅野で方向を変えて東へ。
ここ(正確には信号数個手前)から国道299の始まりです。
ビーナスラインの入り口でもある交差点のコンビニやガソリンスタンドには、今まさに都心からやってきたであろうバイクが多数。
私がすでに帰路についているのと対照的。
ビーナスラインとはすぐに袂を分かちますが、299号と152号の重複区間が暫く続きます。
ここを過ぎると山奥に入り、しばらく市街地を通らないので、給油も済ませておきます。
やがて152号が離れていくと、299号の独壇場。
2022年の6月に全線走ったことがあるので、今日は全線走破にこだわらずですが、なんだかんだ楽しい道なので、ほとんどはこの国道を通ることになります。
前菜ともいうべきか、平坦な田園地帯をゆったりすすみ、眼前の峠へ挑みます。
最初の峠は麦草峠、標高は2,120m。
やがて山裾にぶつかると、まずは蓼科の麓の観光地街を抜けます。
「連休っぽい運転」をする人が多いので、慎重にはしります。
さすが長野の高原、まだ桜が咲いていますね。
別荘地を抜けたら、いきなりヘアピンの連続。
しかしとにかく道が悪い。
経年別の舗装のパッチがもはやカラフルでカラーパレットみたいになっている。
実はここ、渋峠の国道最高地点に次ぐ、国道第二位の標高を持つ峠道。
そもそもスタートが標高800mほどの茅野ということもあり、渋峠ほど延々と登らないので実感がありません。
まだまだ冬枯れの木も多く、たしかに標高が高いことを再確認。
いくつものヘアピンを超え、路面の悪い道を慎重に走っていき、木道が見えたら間も無く峠です。
ここから佐久穂・・・の自治体の区分にあたる看板は実はサミットではなく。
もう少し行ったここが、麦草峠の最高地点です。
渋峠が2,172mですから、50mも差がないんですね。
かたや志賀高原は雪の壁、こちらは完全に雪解けと、気候にも結構差があります。
蓼科のあたりは、長野といってもほぼ南端。
北アルプスや戸隠あたりの山であらかたの雪を降らせ終わったあとの乾いた空気が多いのかな?
時間は9:45といったところ。
GWを満喫しているであろう登山客の群れが駐車場を埋めています。
ここまで人が多いと、果たして自然を楽しみに来ているのか、人混みに紛れに来ているのか・・・。
下りに入り、東側の斜面は道もよく、気持ちよく下れます。
一気に登って一気に降って、また視界の緑色が鮮やかになってきました。
松原湖方面に足を伸ばすのも悪くないな、と思いつつ、道なりに299号を佐久穂へ。
当然ではありますが、スキー場にはとっくに雪もなく。
とはいえ、今シーズンは4/21まで営業していた様子。
眼下に小海の街を見下ろしながら、スイスイと降っていきます。
途中、色とりどりの花が目に入るスポット。
これは多分花桃かな・・・?
何かの施設があるわけでもなさそうですが、青と緑ばかりの景色の中でありがたみが3倍増し。
寄付くらい募ってもバチは当たらなさそう。
中部横断自動車道の高架をくぐったら、佐久穂の中心街です。
千曲川沿いに少し北に走り、再度進路を東にとって千曲川を渡ります。
ここからは国道462号との重複区間、挑むは十石峠、標高は1,351mです。
1,000m級なので、冬季閉鎖は割と短め、4/5には通行可能となっていました。
道路情報にも冬季閉鎖解除の文字、安心して進みます。
抜井川沿いに連なる家々と斜面の田んぼが美しい。
集落を見下ろせる展望台があったら綺麗だろうなあ。
やがて家が途切れ、山が左右から迫り出すように谷が狭くなってくると、いよいよ山道。
十石峠は片峠気味で、佐久穂の標高750m前後に比べて、反対側の上野村は500mほど。
ということで、こちら側の登りはすぐに終わります。
舗装はやや砂が浮き気味で注意が必要ですが、割と気楽に走れます。
・・・幅さえ気にしなければw
こういうトコロで、多少気をつけさえするにせよ、バックして道をゆずったり、停止して離合しなくていいのがバイクのいいところの一つ。
すいすいすいーっと登っていくと、特徴的な展望台。
時間は10:45、さすがに暑くなってきました。
頂上の駐車場で水分補給し、万全の体制で下ります。
展望台は先客がいたので上がりませんでしたが、すぐ下の路肩がひらけていていい景色です。
この先は大きな街がないうえ、上野の中心部も別の尾根の向こう側なので、見渡す限り山、山、山。
この風景は剣山を思い出しますね。
下り側も狭く、対向車に気を遣いながら走ります。
木漏れ日がどんどん新緑の色になって、やっと5月らしい気分になってきました。
人里まで降りてくると、すっかり萌え盛る緑の暴力。
気温もガンガン上がってきました。
下仁田方面との分岐点を振り返って一枚。
通行止めで右折した経験が多いので、ここが普通に通れることの違和感がすごい。
いつもの通りですが、上野村中心部区間の299号は改良されすぎで、ひたすら直線路。
さっきまでバイク同士のすれ違いでも気を遣っていた道と同じとは思えません。
見覚えのない真新しいアスファルト区間もお目見え。
国道299号古鉄橋上流工区ということで、今年の3/25に開通したばかりのよう。
新しい道を抜け、また山から山へ。
次に挑むは志賀坂峠、標高は780m。
それなりにカーブはあるものの、さすがに首都圏に近づいてきたな、と感じる道のリッチさ。
カントもついて、陥没もしていない楽しい道をスイスイと登ります。
サミットで志賀坂トンネルを潜ります。
時間はここで11:30。
1955年竣工の不気味なトンネルですが、路盤は改修されていて走りやすい。
トンネルを抜けたら一気に標高をさげにかかります。
目指す小鹿野は標高250mで、なんだかんだ比高500mはあります。
さすがに真昼間、標高も下がってくると暑い暑い。
今にもセミが鳴き出しそうな気候ながら、聞こえてくるのはウグイスの声。
志賀坂峠の面白いところは、山道がぎゅっと凝縮されているところ。
幸いにもちょうど見通しのいい斜面が伐採されており、下界がよく見える。
個人のお宅ですが、端午の節句に立派な鯉のぼりもあがっていました。
そういえば今日だったな。
天気がいいとよく映えます。
小鹿野の中心部を抜けたころ、時間は12:00を回ります。
空は雲ひとつない青空、影も短くほぼ真上。
熱中症でヘバってしまうまえに休憩しよう、ということで路肩の自販機で一服。
水とエナドリで体力の回復と眠気の撃退をして、ラストスパートです。
小鹿野からは秩父に入り、街中を抜けます。
地図通りに秩父橋を渡って・・・
秩父神社の前をかすめ、踏切を渡ります。
秩父からは高麗川沿いに、吾野〜飯能〜入間と続きますが、ここいらで転身を検討。
というのも、気温30度の都心で渋滞にハマりたくないから。
今シーズンなにかと話題の西武池袋線と並走しつつリルート検討。
高麗で国道299号とは別れることとし、県道15号で国道16号まで出て、そこから東北道沿いに川口、あとは外環こと国道298号をつなぐことに。
川越周辺でやや団子になっていたのと、外環下道の流れが異様に遅かったこと以外は特に影響なく、すっきりと渋滞フリーで帰宅です。
ということで、廃施設ハイキングから駅そば、峠越え4連続となかなか濃いツーリングでした。
しっかり高速乗って500km越えたのは、もしかして去年の10月以来か?
この日の距離は525.3kmでした。
ODOは115576kmになりました。
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