7月に入り、梅雨入りしたものの、しとしと降り続く温帯の梅雨ではなく、スコールと晴天が繰り返す、熱帯のような気候が続きます。
6月は仕事の疲れもあってあまり遠出しなかったので、ここらで一発盛夏のロングツーリングと洒落込みます。
ルートはこちら
出発は3:30。
もうちょっと早くてもよかったのですが、下道に降りてすぐに寄りたいところがあるので、日の出の時間も勘案しつつの時間選択です。
まずは関越道を新潟方面へ。
上越国境を関越トンネルで貫き、湯沢の街に向かって下っていきます。
新潟県1つめのIC、湯沢で下道へ。
時間はここで5:30、日の出は4:30ごろなので、この時間なら山間の湯沢でも太陽が昇っています。
下道に降りたら、早速目的地に向かって走ります。
方角は南、関越道沿いに東京方面へ戻ります。
やってきたのは湯沢中里スノーリゾート。
何にも繋がっていないリフトのオブジェがシュールです。
このスキー場は上越線の越後中里駅に直結している便利なスキーリゾートです。
もちろんオフシーズンなのでスキーはできませんが、ゴルフ場や野外遊戯施設として夏季も営業している様子。
用事があるのはもちろんゴルフではなく、その施設内にあるものです。
スキー場のゲレンデの麓に沿うように並べられた列車。
「ブルートレイン中里」として、スキー場の休憩所に利用されています。
1号車から、7号車は欠番で18号車まで、総勢17両は圧巻ですね。
正確には、いわゆる寝台夜行のブルートレインではなく、普通の客車を青色に塗ったものですが、細かいことは気にしない。
戦後1950年代のものがここまで綺麗に並べて大量に置いてあるというだけで十分に価値があるものです。
夏は開放していなさそうな雰囲気だったので、今日は敷地外から眺めるだけ。
寄り道をもう一つ、さらに南へ。
刻一刻と太陽の角度が上がり、それにあわせて青々と広がる田んぼの風景が徐々に朝日に照らされて彩度を増していきます。
さすが北国、都内より遅れて紫陽花も満開。
ちらほらと沿道に咲いており、目を楽しませてくれます。
先ほどのひとつお隣の駅、土樽駅のすぐ脇にある、魚野川の河岸にやってきました。
小学生の工作か?と思うくらい雑な作りの橋。
一方で谷川岳から流れ落ちる水流は整った透明感のある清流。
橋は橋で面白いのですが、目的は橋の脇にあるもの。
こちらは上越北線直轄工事殉職碑。
大正から昭和初期にかけて開通した上越国境の鉄道トンネル、清水トンネルは難工事で、これに携わった方が48人も命を落としておられます。
こちらは北側の工事に携わった27名の方の慰霊碑で、南側は湯檜曽駅の旧駅跡付近にあります。
南北別々に建立されているというのも、このトンネルができるまでの上越国境の険しさを想わせますね。
地域の観光協会の看板にもしっかり清水トンネルが描かれていますね。
上越線は今や新幹線と高速道路に地位を譲り、1時間に1本あるかなしかのローカル線となってしまいましたが、いかに存在が大きかったか、ということですね。
慰霊碑に手を合わせさせていただいたあとは、一路北に向けて進路をとります。
ゆく先はタイトルの通り、奥只見。
真上の空は随分と青いですが、東に目を向けるとまだまだ太陽は低く「朝日」といった感じです。
沿道には紫陽花ばかりでなく、タチアオイも咲いています。
こちらも梅雨の定番の花らしいのですが、身近ではあまり見ないかも。
五日町を過ぎるころ、太陽も随分高くなり、時間は7:00になろうかというところ。
東の空はふわふわと綺麗な雲がかかっています。
水分補給と給油場所探しがてら自販機で立ち止まり、先のルートを見てみると、枝折峠に通行止めマークが出ていました。
シルバーラインはご存知の通り二輪通行止めで、ここが通行止めだと樹海ライン・会津方面に抜けられません。
事前に調べてきてはいますが、前日に大雨でもあって、累積雨量が規制値を突破した可能性もあるので不安。
当初魚沼まで行って、ガソリン補給後に枝折峠へ向かう予定だったので、ひとまずはスタンドまでいってから他の情報を漁ってみることにします。
まず魚沼市の冬季閉鎖情報によると、6/27に開通済み。
防災安全法面対策工事が7/16からあるものの、今日は対象外。
念の為シルバーラインの入り口で再度確認。
新潟県の情報でも問題なさそう・・・!
ということで、ナビの情報が古いのだろうということで突入です。
国道352号でいざ東へ。
最悪通行できなかったら折り返して、国道252号で抜けましょう。
駒の湯温泉あたりまでは、ほぼ平坦な林の中を抜けていきます。
東から差し込む太陽がちょうど正面にあり、キラキラと眩しい。
道が狭くなり、一気に崖沿いを駆け上がります。
この道は何度も走っていますが、これでも国道かというあまりの狭さに加え、道自体の楽しさと景色の良さで、自然と笑いが込み上げます。
ここまできたら通行止めということはなさそう。
ぐねぐねとひたすらに進み続け、気づけば絶景、というのがここのいいところ。
20分そこそこで峠を上り詰め、この景色です。
枝折峠の鞍部は、相変わらず越後駒ヶ岳方面への登山客で駐車場が満タン。
路駐の車に注意しつつ、そのまま銀山平に降ります。
枝折峠からは下り坂。
朝露か前日の雨か、やや湿気を帯びたスノーシェッドの道を注意しながら進みます。
山の反対側、お馴染みの銀山平見下ろしスポット。
この場所に限らず、これから行く道が俯瞰できるのはワクワク感が増しますね。
銀山平までは車のペースにつかまってしまい、やや退屈な走行。
その先はお待ちかね、洗い越しの連続する奥只見樹海ラインです。
携帯電話が2Gから5G主流に変わり、何年経ってもまだ圏外エリアの樹海ライン。
車移動だったら、いっそスターリンクでも契約してやろうかという気持ちにもなりますが、バイクで70Wの電力はちょっと無理がありますね。
洗い越しは本日、多くもなく少なくもない、そこそこの水量。
通過シーンはYouTube Shortでどうぞ。
枝折峠の道、洗い越しときて、次に好きなのがこの風景。
山肌に爪痕のように一直線、道が刻まれています。
落石はもちろんありますが、道路直上の法面工だけで済むということは、この辺の地山は安定しているんでしょうか。
樹海ラインを抜け、只見川の源流に向かって少し走ると、福島県は檜枝岐村へ。
このあたりからは尾瀬ハイキングや釣り客など、交通量が増え始めます。
そういえば、只見川の流れは尾瀬沼に始まり、奥只見ダム・田子倉ダムなどを越えて北に進み、一度会津坂下まで東進したあと、阿賀川に合流してまた西に戻って日本海に注ぐんですよね不思議だ。
樹海ライン区間を抜けたあとは、魚沼からのアプローチにそっくりな林の中の道になります。
尾瀬登山への北の拠点、御池ロッジをスルーしてさらに進みます。
時間は9:00を回り、太陽が昇るのと連動して標高が下がったこともあり、ずいぶん気温が上がってきました。
多めに確保しておいた水を適宜飲みつつ進みます。
バイクに乗っているとかいたそばから汗が飛んでいくので、実際発汗しているという自覚がないまま脱水になりかねません。
汗が切れると今度は熱中症まっしぐらなので、脱水を自覚する前の水分補給が大事。
七入を越えたら道はがぜん穏やかになり、ゆったりとした里山走行に切り替え。
気温とは反対に、走り的にはクールダウンです。
檜枝岐の中心部の西で、長らく架橋中だった見通橋の桁が据付られていました。
去年の同時期に通った時はまさに送り出しの最中だったので、感慨深いですね。
いつも寄りがちな、道の駅 尾瀬檜枝岐を今日はスルーして、さらに東へ進みます。
時間は9:30を回り、空はすっかり真っ青。
夏の朝の空ですね。
魚沼から走ってきた国道352号はここで右折、今日は直進で国道401号を進みます。
奥会津古町で魚沼ぶりに一面の田んぼをながめて、国道289号で東へ。
289号は駒止路と名前がついているようですが、そういえば駒止湿原へは行ったことがない。
尾瀬や富士山なんかもそうですが、せっかく自然を楽しむという目的のレジャーなのに有名になって人混みになってしまうと意味ないんですよね。
旧街道らしく、中心部へ伸びる旧来の道とバイパス道の斜め接続が連続します。
こういう道は歴史が感じられて大好きです。
10:30ごろ、ようやっと南会津に到着。
沿道のこれまた歴史のありそうな宿に目を惹かれ、帰宅後に調べてみたら昭和九年創業の有形登録文化財でした。
南会津からは、日光方面からの東部・野岩鉄道と直通する会津鉄道が並行します。
本数が本数だけに狙っていないと車両を見ることはできなさそう。
ただ国道を走るのも悪くないですが、せっかくなら涼しくて交通量の少ない脇道を走ります。
水稲にしては緑が濃すぎてネギ畑のように見えますね。
下郷まで走り、ここで左折して国道に再合流。
そのまま行ってもよかったのですが、そろそろ小休止を挟みます。
国道沿いのコンビニで水とスポドリを補充。
上から太陽、下から照り返し、腹の下からエンジンと熱源に囲まれての走行は水分がいくらあっても足りません。
時間は10:50、余裕の30℃越えです。
湯野上温泉を超えたところで右折、国道118号に入ります。
次に向かうは羽鳥湖。
別に湖に用事があるわけではないのですが、なんとなくこの道通ったことないなと。
南から上がってくる道は2022年の11月に通行していましたが、東に抜けたことはなかったのです。
ゆるゆる、ゆったりとした山間の道が続きます。
ほどなくして羽鳥湖に到着。
気持ちよく晴れています。
こちらは前回訪問時の写真。
地形は同じですが、夏の昼間と秋の早朝、ずいぶん雰囲気が違いますね。
羽鳥ダムは純粋な灌漑用ダムで、水害防止や発電には使われていません。
洪水吐は自然越流式でゲートなし。
角丸の曲線がいいですね。
ダムをやや眺めたあとは、東へ抜けます。
現道は鳳坂トンネルで、2022年の11月に開通したばかりの新しいトンネルですが、旧道が封鎖されていなかったので突入。
こういう道は一度崩れたら直す意味も薄く、二度と通れなくなりがちなので、今のうちです。
道自体はなんてことのない狭隘な峠道でしたが、交通量が少なくなって2シーズン、除雪や清掃がされていないのか、路面は結構よごれはじめていました。
鳳坂峠を抜けたあとは、猪苗代方面へ向かうべく国道294号で北へ。
勢至堂峠・・・は封鎖されているので、おとなしく勢至堂トンネルで抜けます。
こちらは1994年開通と、もう30年も前に旧道化しているから仕方ないですね。
峠を越えて湖南に入り、北へ。
次の目的地へは最短だと東岸回りですが、西に周ります。
水分補給しながら地図を眺めていたら、面白い峠道を発見。
やや遠回りになりますが、林道中ノ沢芦ノ口線へ。
狭くてほどほどに路面がよごれていますが、凸凹は少なくて走りやすい道です。
林道を抜け切って県道234号で元の道へ復帰、猪苗代湖の西岸を回り込みます。
湖畔に開けた田んぼの先に磐梯の山々をみて進みます。
2003年にトンネルが開通し、例の如く旧道が封鎖されている黒森峠を抜けたら、湊。
この地下水で赤く変色した舗装が会津って感じです。
こちらでも脇道にそれ、田んぼの中を走行。
畦道に紫陽花を植えておられる田んぼがあったので、借景。
まさに季節、という風景です。
そのまま湖畔にとりつき、ぐるりと回って国道40号へ。
磐梯山の特徴的な稜線を眺めながら東へ向かって国道走行。
ここで時間は13:00を過ぎ、バイクもライダーも腹の虫が鳴ったので、道の駅に立ち寄ることにします。
やってきたのは道の駅 猪苗代。
ここで土産の調達と食事・・・と思いましたが、食堂満席。
うーんあまり遅くなると帰りに渋滞するなあ。
ということで、食事はあきらめてお土産だけ購入、最後の目的地にサクッと寄って帰ることにします。
最後の目的地はここ、志田浜温泉・・・
ではなく、その脇の入り口。
草むらになりかけている通路を分け入っていくと、廃墟のような古屋がありました。
実はこれ、営業休止中ながらもまだ書類上は存在する、JRの駅です。
2007年までは、猪苗代で湖水浴する旅客のために臨時営業していましたが、かれこれ17年間眠り続けています。
丘の上を見上げるとホームが見えます。
入れれば入って見学したかったですが、割と強めの口調で立ち入りが禁止されているので敷地外から眺めるにとどめます。
最後の目的地が空振り気味でしたが、まぁそれはそれ。
走ることそのものが目的のツーリングでは、立ち寄りがからぶってもダメージは半分です。
あとは帰るだけ、ということで、ナビ任せにしたところ、湖畔を通って白川までは下道の案内。
断崖が湖水にそのまま落ち込むような地形を楽しみつつ走行。
風景は日本海の親不知や伊豆にも似ていますが、波がないので道路が湖水ギリギリなのが大きな違いです。
海だったらこの高さ、ザバザバ波を被りますからね。
そのまま県道9号から国道294号へと繋ぎます。
勢至堂トンネルを再び越えて、きた道を戻り、そのまま国道沿いに白川へ。
混雑はあれど、渋滞という渋滞はないまま東北道に乗り、あとは帰宅です。
久々の2回給油走行のロングディスタンス、やっぱりツーリングは楽しいですね。
ということで今日の走行距離は795.2kmでした。
ODOは118090kmになりました。
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