今年は心無い人たちが流したデマを発端に小売店から米が消える騒動があり、その影響で新米季節前の米の在庫が不安定。
しばらく米を控える生活を送っていたので、新米が出回って落ち着いたタイミングで産地応援がてら魚沼へ米を食いにいってきました。

ルートはこんな感じ
前日は早めの夕食にアルコールも入れて早寝し、出発は3:00前。
まずは東北道で北上しますが、暖かい秋になる予報といえど、10月の半ばともなると10度を下回ります。
予想外の冷え込みに大谷PAで小休止を入れつつ、夜中の高速をクルージング。

目的が新潟方面なので、磐越道で抜けてしまってもいいのですが、さすがに夜の高速ばかりはつまらない。
所要時間も大差ないということで、白川中央で下道へ降りて、天栄を抜けていくことにします。

5:00少し前、高速を降りてすぐのコンビニで再びの休憩。
県境を超えたあたりから一気に霧が濃くなり、シールドにも水滴がびっしりついて視界は真っ白です。

が、しかし、寒い寒いとホッとココアを飲んでいる間、わずか5分ほどで霧が晴れました。
山に囲まれた中通りの天気は本当にわかりません。

白川中央からは、国道294号で北西へ。
霧はまだらにかかっているようで、晴れたりかかったりを繰り返します。
明け方前の田んぼの向こうに霧が目視できる・・・

国道118号と出会う西郷のあたりで、時間は5:20ごろ。
背中から日の出が近づいてきます。
ミラーに映る綺麗なオレンジに思わずバイクを止めて小休止。

朝焼けがあっという間に上る間も、地表はまだらな霧模様。
ライトのついていない対向車がくると身構えるくらいの霧に入ったかと思いきや・・・

向こうの谷間で見通せる晴。
霧・晴・霧とめまぐるしく景色が変わり、天栄村を抜けて須賀川市の西端をかすめつつ走ります。

勢至堂峠・黒森峠と、毎年数回はお世話になる「いつものルート」を抜けて猪苗代湖畔へ。
しかし今日は湖をスルーし、西に向かいます。

まずは用のない会津若松市街地をバイパスすべく、県道33号へ一時的に外れて、再度国道49号に復帰する進路。
ゴールドラインはじめ、福島3ラインも雪が降る前に来たいところですが・・・。
3連休ということもあり、浄土平や裏磐梯はたいへんな混雑の様子。

会津坂下の中心部でガソリンを補給してオープン前の坂下ドライブインをスルー。
もちろん馬刺しも食べたいし、会津の米だった美味いのですが、今日はコシヒカリの日!ということでw
ここで時間はちょうど6:30ごろ。

霧を背にして、藤色に塗られた藤大橋を渡ります。

その先少し走り、道の駅 にしあいづ よりっせでトイレ休憩。
気温は引き続き1桁で、都内の真冬の日中と同じくらい。
ここから県境を越え、いざ新潟方面へ・・・いくのですが、そのまま主要国道でいくのも芸がない。
今日は磐越西線と阿賀川〜阿賀野川に並行しつつ、国道459号沿いに西進することにします。

走り始めて早速、目に飛び込んできたのは嬉しくない通行止め表示。
でも15日からか、よかった・・・。

と思ったら、次の看板には10/8から10/29までと書いてある。
でもよく見ると曜日的にも時間的にも通行可能な様子?
看板がまぎらわしすぎる。

ともかくいってみるか、ということで国道459号へ入ります。
阿賀川のしっとりとした深緑の川面はいつみても引き込まれるような不気味さ。
特徴的な廃橋もいくつかあるので、なおさら雰囲気に拍車がかかります。
湖水が広いのは下流の豊実ダムの影響。
ちなみにこの位置、撮影している手前の左岸側は福島県なので「阿賀川」、向こう岸と奥側は新潟県なので「阿賀野川」です。

只見川沿いもそうですが、福島西部の橋はアーチ式の橋(ローゼ橋)が多いですね。
積雪対策的に有利なのだろうか?
県境を越えて程なく越える徳石大橋や、写真の赤く大きな船渡大橋もその例に漏れません。

同じく菱潟大橋もローゼ橋ですが、こちらは中路式なので、路面からはスタート部分が普通の鋼桁に見えますね。

横に長く背の低い豊実ダムを遠目に見て進みます。
背が低いからか、ダム湖には名前がついていないようですね。
低いと言っても堤高34.2mだそうで、巨大建造物にはかわりありません。

国道にはひっそりと磐越西線が並行しています。
ただでさえ崖にへばりつくようにして走る路線なので目立ちませんが、喜多方から新津方は電化されていないため、架線柱がなく、余計に見えづらい。
ボウリングのストライクマークのような制限解除標識だけが、かろうじて鉄道敷であることを匂わせます。

アーチのようなカーブをもつ曲弦トラスは実川島橋。
お隣の茶色い橋は磐越西線の実川橋梁で、阿賀野川本流ではなく、その支流の実川を仲良く渡ります。

日出谷駅の脇で磐越西線と伴って左岸に移るべく、県道322号へ。
平瀬橋(びょうせばし)はすれ違い不可、スパルタンな橋です。
同じアーチに見えますが、こちらはランガー桁橋という種類らしい。
さながら橋梁博覧会ですね・・・

隣に見えるのは磐越西線、阿賀野川当麻橋梁。
この先にある鹿瀬ダムのために嵩上げでかけ直されたもので、手前の草むした橋脚が旧橋のもの。
向かって左の橋脚も残っていたそうなのですが、2011年の豪雨で流されてしまったとのこと。
この豪雨は、一つ南の川と並んで走る只見線を11年3ヶ月におよぶ長期運休にしたことで印象に残っていますね。

県道は川の蛇行によって出来た岬状の地形を九十九折りで登るべく、いったん川から離れます。
一緒に川を渡った磐越西線はトンネルでどてっぱらを貫いています。

狭い峠をすいすいと走って登って行きます。
落ち葉と霧のウエットパッチで路面は要注意状況ですが、舗装は綺麗ですね。

峠を越えて降りてきたら、トンネルから出てきた磐越西線が豪華な橋でまた右岸へ渡っています。
こちらは深戸橋梁で、両端のプレートガーター(平べったい部分)と中央両サイドのプラットトラス(背の低い部分)が1914年製、中央のワーレントラスだけが1983年に掛け替えたものだとか。
左右対称の5径間の鉄橋は、さながら城門のようで格好いい。

国道は岬状の地形には渡らず、右岸を走り続けていましたが、ここで鉄道とクロスするように左岸へ。
車道は平凡な(というのは他の個性がありすぎるからですが・・・)鹿瀬大橋で川を渡りますが、鹿瀬大橋の脇には旧橋である鹿瀬橋が残っています。
阿賀野川沿いでは珍しい気のする、吊り橋です。
現在歩行者・自転車等のみ通行可能。

国道を逆方向(会津方)に戻る形で橋を渡り、右岸を引き続き走る県道174号へ入って引き続き西の下流へ向かいます。

津川の駅あたりからは国道49号・459号の重複区間。
現在は左岸の赤岩トンネルが国道ですが、旧道は右岸にへばりつき、本尊岩という難所を越えていました。

川面と道路の高低差がほとんどないのは、揚川ダムの影響だそう。
脇には鍾馗大明神と書かれた鳥居と大きな駐車場もあり、かつて主要国道であった面影を忍ばせます。
道教の神様らしいですが、鍾馗といえば陸軍の戦闘機のイメージが強い。

その先間も無くで、通行止めの予告標識。
2013年からはや10年以上は通行止めになり、永久に行き止まりの道路ですが、まだ国道指定は外されていない様子でしっかり三角看板もかかっています。

行き止まり箇所がこちら。
ここまで通行できるのは単に民家があるからで、ここから通行できないのはこの先民家がないからでしょうか。
奥の杉の向こう側に見えるのが、難所である本尊岩の様子。
鉄道は相変わらず危険な本尊岩を抜けるルートのまま通っており、平成以後の交通序列を体現していますね・・・。

行き止まり付近、対岸には目立つコンクリートの廃橋。
昭和橋の主塔です。
気づけば時間は8:00をまわりました。

こちら側には草むした橋のアプローチ部だけが残っています。
元々は昭和電工(の全身の昭和肥料)が対岸の石灰岩採掘場のために架けた作業用の橋だったそうで。
色々と廃墟みを濃縮した面白いスポットです。

完全行き止まりなのできた道を戻り、現道どの分岐点である津川駅に戻ってきました。
ちょうど行き止まり地点ですれ違った回送列車が駅に来て、出発に備えて待機しているので、1区間分の切符を買って駅の中にもお邪魔します。
いつも思いますが、せっかく券売機があるなら入場券を売ってくれ・・・

津川は狐の嫁入り行列を題材にした例祭があり、駅構内にはそれ関連の展示や掲示がいくつか。
鉄道開通前は、日本海からの会津向け水運を陸揚げする拠点として栄えた街らしく、対岸にはICができ、それなりに規模のある街も形成しています。
さらに、オコジョのマスコット像も設えられていて、なんかアニマルでメルヘンな感じ・・・

オコジョのマスコットは、磐越西線で運転されているSLばんえつ物語のキャラクターです。
何を隠そう、磐越西線のウリはこのSLで、ホームにも乗車位置案内が貼られていました。
時間が合えば阿賀野川の鉄橋群と絡めて写真でも、と思いましたが、津川に来るのは11:11。
さすがに3時間は待てないし、これにあわせて旅程を組むと帰りに連休渋滞ド直撃が目に見えている。
ということで見送ります。

引き続き橋、ということで、麒麟橋を渡って現道へ。

本尊岩区間を亡き者にした国道の揚川改良区間、赤岩トンネル・黒岩トンネルを抜けて一気に下流へ向かいます。

途中の小花地大橋からは揚川ダムが見えます。
阿賀野川水水系もダムは多いですが、どれも広い幅で低いダムですね。
こちらは堤高19mしかありません。
堰とダムの違いは法的には堤高15m以上か未満からしいので、一応ダムなんですね。

赤岩を抜けて三川地区を越えたら、阿賀野川の渓谷も終盤。
ダムも揚川ダムが最後で、このあとは信濃川と共に新潟から日本海にそそぎます。
快適な改良道路で忘れかけていましたが、対岸のごっそり削げ落ちた山肌が目に入り、地質的にとんでもないんだなと思わされます。

五十島トンネルと、それに続く取上洞門が阿賀野川最後の難関。
磐越西線はここでは左岸を走ります。

洞門を抜けると、今までの曇り空が嘘のように真っ青な秋晴れ。
渓谷は交通だけでなく、気候の面でも大きな障壁になっているようですね。

自治体も阿賀野市に入り、いよいよ新潟は目前。

時計は8:30を回り、すっかり太陽も高くなりました。
やや濁った色をしているものの、場所によっては掛け値なしに「雲ひとつない」空で、無限に抜けるよう。

ずっと川の話をしていたので河口までいきたいところですが、さすがに信濃川・阿賀野川ダブル暴れ川の三角州は広大で、ここからまだ30km近くあります。
今日の目的は米、ということで、新潟市街中心部への到達は別の機会にすることとします。
ここからは長岡方面に向けて南西に進路をとりますが、国道をそのまま走ると大きく水原へ向けて遠回りすることになるので、県道27号へ逸れます。

県道は稲刈りの終わった水田の合間をゆるやかにカーブしつつ走ります。
これぞツーリング、これぞバイクシーズン。
貴重な秋の三連休でバイクに乗りたくなるのはみんな同じのようで、すれ違うバイクの台数が半端ではありません。

と、時間も9:00を回ったので、ここいらで朝食、ということで、道の駅 あがのに立ち寄り。

ここでもコシヒカリを見つけてしまうとは不覚。
ですが、このあとのルートで魚沼に行く予定なので米は敢えて避けます。

注文したのは北海道十勝産とろろのそば。
10月は新米だけでなく新そばの季節でもありますからね。
新潟は定期航路で小樽・苫小牧とも結ばれており、北海道名物のとろろを食べるのもある種「現地モノ」です。

腹ごしらえを済ませたあとは、水原から戻ってきた国道に合流し、ちょっと寄り道。
バイパスの効果から広大な田んぼを見下ろしつつ走り、脇道へ入ると・・・

こんなものがあります。
こちらは亀田跨線橋といって、県道5号が新津から新潟に向かう信越線を跨ぐ橋です。
一見普通の道路橋に見えますが・・・

青い橋桁の上に、白い橋桁が乗っかっている・・・!
こちらは元々あった青い橋の「橋桁を支える部分が曲がって壊れる恐れがあるほどの著しい損傷が確認された」というほど重大な損傷があり、急遽仮設橋を上にかぶせたもの。
下に信越本線が通っている関係でおいそれと桁の撤去・新規仮設をするわけにもいかず、このような状態になっていそうですね。

ということで寄り道終わり。
時間はちょうど10:00、折り返しの南下を始めます。
まずは川沿いに戻って県道17号で新津まで遡ります。

新津駅の脇を抜け、国道403号で東三条方面へ。
少し雲が出てきましたが、まだまだ秋晴れです。

三条の市街地中心を避け、県道212号経由で国道289号に入ります。
融雪散水の赤茶けた道路が豪雪地帯ですね。

やや元気がないものの、沿道には季節外れのひまわりが植えられていました。
10月に咲くように種蒔きすることも可能なんですね・・・
初夏と初秋にシーズンなのはツーリングだけではないということかw

ひまわり以外は季節通りの景色。
狩り終わったばかりでまだ青い田んぼをゆったり見て、国道290号へ入ります。
時間は11:00を回りました。
音楽もながさず、平地をだらだらゆったりと走るので、書くことがないw
同じ1時間でも阿賀野川を下っていた時と比べると密度が雲泥の差ですね。

もう30分ほど走ると、平地はやっと終わり。
栃尾を越えて、石峠に向かって登り始めます。

石峠をトンネルでやすやすと抜けたあとは、魚沼に降るだけ・・・というのも面白くない。
ここで県道552号に逸れて、ひとつ隣の五輪峠も越えることにします。

対向車が来たらすれ違えない幅の道を、注意しながらすいすいと走ります。
峠には特に何があるわけでもなく、素通りしますが道は楽しい。

降り始めで目に飛び込んできたのは、魚沼盆地に突き出した稜線の上に開墾された田んぼ。
写真だと伝わりにくいですが、眼下に盆地の広がる開放感は展望台か空中舞台のよう。
こういう少し奥まった場所でも、しっかりと伐採・手入れされて、田んぼとして現役なのは魚沼コシヒカリのブランドの力か。

国道だったらガードレールが、林道だったら植樹があったところ、田なのでこの絶景の見通し。
何気なく分け入った横道にしては収穫が大きすぎました。
荷物に入っていたコーヒーの残りを取り出して一服。

景色を楽しんだあとは、狭いヘアピンを気持ちよく下って盆地の底へ。
時間はちょうど12:00を回りました。
そろそろ朝飯の蕎麦は消化されたはず。

遠くに奥只見のある方向を眺めつつ、再び田んぼの平地を走ります。
右の高い峰が越後駒ヶ岳、左が荒沢岳でしょうか。

30分ほど走って、到着したのは道の駅 ゆのたに(別名深雪の里)
2021年に寄った、道の駅 南魚沼(別名雪あかり)と迷ったんですが、今回はこっちで。

只見・奥只見ツーリングで何度も寄っているのですが、だいたい早朝か帰り間際になってしまってここで食事たことがないんですよね・・・
観測できるだけでも10回は訪れているのにw
ちなみに「ご飯は全て魚沼産コシヒカリを使用しています」とお墨付きなので間違いは起こりません。

名物でいうと、著名な作家である開高健さんが愛したと言われる開高飯になるのですが、恥ずべき無学ゆえ「知らんおっさんのお気に入り」でしかない。
せっかく米食いに来たのだから、できるだけ米そのままの味を、という気持ちもあって、おにぎりにするかロースカツ定食にするか迷ったのですが・・・。

新潟のソウルフードということで、敢えてここはガッツリ味が濃いことを承知で、タレカツ丼をチョイス。
現地の人が普通に食ってるということは、米の作り手から見ても米を旨くするためのレシピということで!
感想はいわずもがな、甘辛のタレと薄めに切ったやわらかい豚が絶妙でした。
手羽先を少しあっさりして、弾力を抑えめにしつつ肉感を増したような感じ。
ドカ盛りで来たらどうしようと思って日和りましたが、ミニざるそばつけてもよかったかも。

ということで、最終目的もしっかり達成したので、給油して帰ります。
米をそのまま買って帰ることも考えたんですが、近所のスーパーで普通に売っているものをバイクで苦労してハンドキャリーする意味なしですね。

ということで、高速比率高めにしてはなかなか濃いめの走行、渋滞開始前にきっちり帰着。
今日の距離は752.0kmでした。

ODOは122,026kmになりました。

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