車検上がりでタイヤも新品、都心の最低気温も10度を上回ったということで、まだ残る桜を追いかけて南アルプスの麓へ走りにいってきました。

ルートはこんな感じ
出発は3:00、中央道を進みます。
この時間に出発して夜明け間に大月・上野原を抜けられるのも春になったからこそ。
夜霧の中を突き抜けて一路西へ。

八ヶ岳が見え始める頃には空が明るくなってきました。
休憩なしで走って、日の出は5:15ごろ、一番冷え込む時間に標高最高地点の富士見を抜けます。

諏訪南で下道に降りたら、まずは給油。
今日は諏訪から浜北まで下道でがっつり走るので、途中ガソリンの心配をしないために早めの満タン。

スタンド併設のコンビニ駐車場から山を眺めると、これから行く場所がくっきり見えていました。

画面中央、鞍部に見えている建物は杖突峠の峠の茶屋。
給油とホットコーヒーブレイクを済ませたら、峠へ向かって国道152号を登ります。
本来は国道152号と迂回路を全線走って浜松までいきたいのですが、分杭峠や地蔵峠は災害で通行止めが続いています。

国道152との交点に向かって20号を少し走ります。
諏訪の地平では、桜はまだ6分咲きといったところ。
都心では半分くらい葉桜になってしまっていますが、標高750m分に相応の時間差があります。

峠をすいすいと登り、峠の茶屋に到達、時間はここで5:30を回りました。
峠の標高は1,247m、ぐっと冷え込んではいますが気温は氷点下を下回らず、1℃。

展望台から先ほどのコンビニの写真が撮れればよかったのですが、茶屋の閉まっている時間は展望台も立ち入り禁止のようで施錠されていました。
展望台の外からでも斜めから朝日が差し込みはじめて、茅野の市街地がどんどん明るくなっている様子は伺えます。

そのまま国道152号を南下していきます。
まだまだこのあたりは木々が冬の様相ですね。

藤沢川沿いの谷にはいると、登り始めた太陽は東側に広がる山々の影に隠れます。
稜線越しに差し込む間接照明の朝日はいつみても美しいですね。
今日は雨上がりということもあってか、空気も綺麗に澄んでいます。

目に飛び込んできた見事な桜並木。
ここはノーマークでしたが、これほどのものを見せられたら寄らないわけにはいきません。

対岸の小道に入ると、小さな駐車場と看板が建てられていました。
Google mapでも「公園」としか記載されていない小さな施設。

駐車場とバスケットゴール、閉鎖されたトイレ、少し離れたところに東屋がこぢんまりと置かれています。
斜面には桜がいっぱいに植えられており、見事な景観ですが、時間もあってか人っこひとりいません。
こういう場所を見つける、立ち寄る、眺めるを自由にできるのがソロツーのいいところ。

沿道にはここの他にも桜が見事な斜面がちらほらと。
川沿いの平地に田畑があり、両側が山という特性上、斜面を利用して植えられた桜は平地のそれより大きく立派に見えます。
映画館や劇場、スタジアムと同じ理屈ですね。

そんな「桜街道」を走り、視界が大きく広がると、まもなく伊那盆地との結節点である高遠です。

ふと西側の斜面を覗けば、伊那盆地の向こう側にある木曽山脈が。
白く雪を湛えている高山が朝日に照らされ始めて、絵画のような雰囲気。

中心街に近づくにつれて、計画的に植えられ、手入れの行き届いた桜の木がどんどん増えていきます。
高遠地区は、高遠城址公園を中心にして桜に大変力をいれており、それが街の入り口にもしっかり根付いているということですね。

ここまで書いたからには、もちろん高遠城址公園に行きます。
開花宣言の翌日、4/5からさくら祭りが開催されており、6:15の到着時点で既に最寄りの駐車場は満車。
少し離れた高遠大橋下の無料駐車場にバイクを停め、城址まで歩きます。

このお城は戦国時代からあり、江戸時代の終わりまで現役の藩庁として使われていたものの、明治になって廃城令で荒廃。
そこに桜を植えて新たに整備したという経緯があるそう。
城としての多くの施設は現存しませんが、街を一望できる地形は当時から変わっていないでしょうね。

桜は場所によって満開から7分咲きといったところ。
ちょうどいい時期にやってくることができました。
樹種はソメイヨシノではなく、高遠固有の交配種である「タカトオコヒガンザクラ(高遠小彼岸桜)」だそう。

朝日が昇るのに合わせるように、城の施設跡を登りながらさくらを眺めます。
城の中心部へは600円のチケットが必要ですが、このあたりは無料で開放されています。

登るに従い、どんどん木曽山脈と桜が重なっていきます。
桜の花も山の稜線も、見上げることが多いですが、水平な目線の先にこういった景色があるのは新鮮。

電子チケットでゲートをくぐる頃、時間は6:45をまわり、稜線越しの日光がちょうど桜にあたりはじめました。
この季節、この時間、この天気、全部が揃わないと見ることができない貴重な風景。

敷地内にある目立つ石碑は、「靖國招魂碑」で、日清・日露戦争や大陸開拓の殉職者を慰霊するものだとか。
戦後一時期これの処分を命ぜられたものの、一時的に埋めて隠すことによって守り抜いた・・・というエピソードがあるのだとか。

有料エリア内は人も多く、出店も出ていて、狭いながらもたいへんな賑わい。
エリア外は逆にゆったりと歩きながら花見のできる静かな風景。
山を登るので多少歩きがつらいですが、両方の雰囲気が徒歩圏内で味わえ、これだけ見事な桜が見られるのはすごいですね。
夜はライトアップもしているそう。

個人的には大手門跡の周りにある広場の桜が、一番立派で見事に見えました。
みんな通り道くらいにしか思っておらず、立ち止まる人も少ない穴場。

20分ほど散策し、城址を降ります。
時間も7:00を回り、人出がどんどん増えてきました。
周辺の道路もすごい渋滞になり、駐車場もどんどん埋まっていきます。
これは6:00時代に来て大正解だったかもしれない。

今日メインの立ち寄りスポットはここだけ。
あとは桜を肴にしつつ、楽しい伊那路・天竜路を走るフェーズです。
街の直上にそびえる高遠ダムの脇を通り、152号を南進。

さらに美和ダムも越え、美和湖沿いに走ります。
すっかり西の東向き斜面は明るくなっていますが、こちら側はまだ日陰。

いつも目につく旧吊橋の塔が残る三峰川橋をわたり、分杭峠方面へ。
これ「みつみねがわ」ではなく「みぶがわ」と読むんですね。知らなかった。

盆地の終わりがぐぐっと近づきます。
空はずいぶん青くなりましたが、まだまだ谷底は日陰。

このまま152号で抜けてしまいたいですが、先述の通り眼前の分杭峠は通行止めです。
崩れた跡だらけの国道を走り、峠の手前までいきます。

ここから抜けられるのは、西に向かう県道49号。
看板の通り、駒ヶ根方面へ抜けます。

ゆるやかな下り主体の道をくねくねと楽しく走行。
途中、見通しがひらけたところからは、引き続きすばらしい木曽の眺望が見て取れます。

花見のために立ち寄るスポットはもう予定していませんが、沿道はずっとこんな感じ。

植物には明るくありませんが、桜も白っぽいもの、赤みのつよいもの、しだれ等種類が多いので見ていて飽きませんね。

駒ヶ根まで降りてきたら、伊那盆地と木曽の山々はいっそうくっきり。
ここで時間は8:00をすぎ、標高も下がって気温も上がってきました。

盆地をつらぬく主要道路、国道153号にそのまま回るのも好きですが、今日は県道18号などを使って高巻きに走ります。
小高い丘や学校など、さまざまな場所で桜・桜・桜。

しばらくゆったりと走行を楽しみ、時間は気づけば9:00目前。
ちょうど道の駅が近くにあったので、道の駅 信州とよおかマルシェに立ち寄ります。
もう気温は下がらないし、標高もここから上がらないので、ダウンの重ね着とはおさらば。
おしゃれなレストランやジェラートショップも気になったのですが、残念ながら諸々営業は9:30から。
買い物はまたの機会として、トイレと自販機だけの利用。

県道251号に入り、そのまま進むと頭上には建設中の大きな橋。
これはリニア中央新幹線の高架ですね。
山を貫いて伊那谷を高架でまたぎ、また山に入る、貴重な地上区間。
天竜川右岸の座光寺地区には駅ができる予定です。

喬木村の中央を過ぎたら、弁天橋で天竜川を渡ります。
雪解け水が盛んに供給され、この川幅なのに川の流れは見てわかるくらいに速い。

右岸では国道151号に入り、引き続き南進。
桜だけでなく、花桃も見事に咲いています。
桃といえば、山梨の大菩薩方面とかにも行きたいなあ。

前走者のペースに合わせて走ること30分、沿道にもう一つ道の駅を見つけたので立ち寄ります。
こちらは道の駅 信濃路下條で、そばの城という副題がついています。
マップや公式サイト上で9:00〜の営業とあったので、蕎麦を食いたい・・・と思ったのですが、食事処は10:00からの営業という罠。
売店と軽食どころは開いていたのですが、「そばの腹」になってしまっていたので、お土産だけの調達に留めます。

国道を引き続き南下。
ただ走るだけではつまらないので、旧道を探索したりしつつ走行します。
以前走った時にまだ建設中だった粒良脇トンネルですが、晴れて2023/12/16に開通。
旧トンネルは早速通行止めになっていました。
まだ通れるかなと思ったのですが甘かったですね。

仕方なく折り返しついでに記念撮影。
ここの桜も満開で、道路から外れて寂れるには惜しい場所です。
アプローチ部は堀割で、逸れる脇道もないので、道路の真ん中で堂々と写真が撮れます。

阿南町区間では川から離れ、国道は山間を走ります。
このあたりもずっと桜は満開。
時間も10:00に近くなり、谷底でもないので、朝の高遠とはまた違って、太陽を透かしてキラキラと美しい桜が見られます。

小中尾峠では国道沿いに鯉のぼりが渡されていました。
「阿南 鯉のぼり」で検索したところ、徳島県の阿南市ばかりがヒットしましたが、こちらは長野県下伊那郡の阿南町。
この鯉のぼりはGoogle mapの航空写真にも映り込んでいますね。

阿南の中心で国道をはずれ、県道244号で天竜川沿いに復帰します。
この谷沿いもまた例に漏れず桜と桃が目を楽しませてくれます。

川沿いまで出ると、うってかわって急峻な風景。
平岡ダムの影響で広がった川を見下ろしつつ、県道1号で右岸を走り、しばし川をくだります。

平岡の手前ですぐに天竜川を外れ、遠山川沿いで東へ。
国道は418号、時間は10:00を回り、暑いくらいの気温になってきました。

水窪川にぶつかると、久しぶりの国道152号に再会。
これを南下して青崩峠に向かいます。

が、青崩峠は通行止め・・・というかそもそも国道が開通していません。
いわゆる点線国道区間ですね。
なのでここは県道に入り、兵越峠へ迂回します。

いつも通るだけでちゃんと撮影していなかった、兵越峠の国盗り綱引き。
近年は観光資源化しようという気概も強いらしく、石碑も建てられています。
毎年10月末の日曜日に実施しているので、直近2024年の結果の位置に看板が移されていました。
写真手前の信州(長野)側が勝ち、奥の遠州(静岡)側に4つ分食い込んでいますね。
Wikipediaによると、悲しいことに遠州側の勝ち越し(看板が信州側に食い込む)が起こった実績は一度もないそう・・・。

当たり前ですが、本来の行政区分は変わりません、ということらしく、その但し書きもあります。

兵越峠を下り、本来の国道へ向かいます。
センターラインのない県道から・・・

一気に拡幅され、高架道路になるのは有名ですね。
何度か紹介していますが、青崩峠を貫けなかった代わりに、バイパスとして兵越峠の地下を貫くために作られた自動車専用道路の部分開通の残滓です。

兵越峠のトンネルへのアプローチと、1つ南の草木トンネルは自動車専用道路として作られましたが、その先の開通を放棄。
歩道が作られて格下げされ、今は一般道です。

草木トンネルを抜けて南へ。
何度も紹介してはいますが、まだわざわざ文字数を割くのは、状況が変わったから。

草木トンネルの南、アプローチ道路の脇に真新しい坑口。
こちらは兵越峠ではなく青崩峠に正面から再チャレンジするトンネル。
これが2023/5/26に貫通し、今年に入って2025/3/2に本体工事完工となりました。
開通まではまだ数年かかるものの、最大の難関であるトンネル本体工事が無事完遂されたのは大きな進展ですね。

峠を下ると、立派な桜の斜面が目に飛び込んできました。
水窪長尾の市民プール周辺に植えられた立派な桜の数々。
奥に見える茶畑も静岡らしく、箱庭感があっていいですね。

水窪からはそのまま南進したあと、国道473号で一度北東へ戻ります。

せっかく近くまできたので、と佐久間ダムに立ち寄り。
例年ここも桜が綺麗なのですが、水窪より日照条件がいいのか、半分くらいは葉桜になっていました。

ここまで十分見たので、まぁこの辺は来年、ということで、踵を返して南へ。
佐久間の駅前あたりもずいぶん葉桜ですね。
この辺の桜は2021年にあらかた回っているので、またの機会に。

国道152号に戻って、新芽の芽吹いた山肌を眺めつつ南下。
あとは川沿いに浜北まで降りるだけ。

南へ降れば下るほど、桜の木は緑の萌木に変わっていきます。
今日は日光がそれほど強くないですが、カラッと晴れた日の若葉の明るい緑色も花と同じくらい好きです。

秋葉ダムの千本桜ももうすっかり緑色。
ここは今年狙っていたんですが、車検の入庫中にシーズンが終わってしまいました。
またいつか。

高速に乗る前に給油して、帰りは新東名。
結局食事をし損ねてしまったので、最寄りの遠州森町PAに寄ります。

名物のざるとろろそば定食をいただき、本日の予定は終了。

今日の走行は、高速250+下道200+高速250kmで700kmほどでした。
この距離を無理なく明るいうちに走り切れるのが、冬が終わった証拠ですね。

ODOは128787kmになりました。

コメント