表題の通り、2月に発売されたばかりのブリヂストン T33に履き替えました。
高速と峠を含むツーリングに行ってきたので感想を書きます。

本題の前に、まずは前のタイヤについて。
これまで履いていたタイヤは、MICHELINのROAD 6でした。
2022年発売のタイヤで、今でも最新ラインナップのツーリングタイヤです。
乗り味は文句なく、最後まで楽しい走行を支えてくれました。

私は2023年にこれを履いて、107,400kmくらいから128,000kmまで、実に2万kmほど走りました。
溝はごらんのとおり前後ともまだスリップサインまで1mm程度残っており、2.1〜2.3万kmは履けるとみてよいでしょう。
このテのタイヤでは寿命はとても長い方だと思います。
走行距離がおとなしくなったこともあり、これまでの経験で最も長く履いたタイヤになりましたね。
ROAD5の時にあったサイプの捲れなどもなく、大変綺麗に使い切れました。

しかし、まだ使えるとはいえ、これから連休もありますし、入庫の周期と経年を考えると早めに交換しておきたい。
ということで、車検にあわせて導入したのが新発売のT33です。
一つ前のモデルであるT32は、リピート購入するほど気に入ったタイヤでしたので、そこからの進化の度合いが気になるところ。
まずはじめに、見た目で違いを感じるのは、T32で特徴的だった「パルスグルーブ」がなくなった点でしょうか。
溝に脈のようなメリハリを与えて水捌けをよくする・・・という話だったのですが、思ったより効果なかったのかな?
パターンのエッジも丸くなり、ずいぶんおとなしく、T30の頃の印象に戻った感じがありますね。

ラウンド形状は、フロントはそれほど変わらず。
リアはバンク10〜25度付近がやや丸みを増し、30〜40度付近が穏やかになった印象。
これは実際乗り味にも表れていて、交差点などのバンクの浅いところの初動ではセルフステアが切れこまず、リアが先行して回り込んでいく印象があります。
あとは溝の比率を均等にしてライフやハンドリングも安定化した、とか、トレッド踏面の剛性を最適化したと謳われています。
初期溝は少し深くなったように見えますね。

製造はフロントが0325で2025年03週、つまり年明けにできたてのタイヤということ。
新製品なのでこの辺はまぁあたりまえかもしれません。
コンパウンドはフロントが単一、リアがCAP&BASEの3LCと、T32を踏襲。
3LCは「根本に固めのコンパウンドを使って基礎を作った上で、表面を柔らかく」という設計です。
リアのセンターは耐摩耗向上ポリマーの採用によりさらに寿命を延ばしたとのこと。
寿命の面では1.5倍(47%増)を達成しているとのことで、私の環境で計算すると12,000km x 1.47倍で17,500km程度は使える計算ですね。
BT023やT30/31/32から続くTシリーズでは1万kmプラスアルファ程度だったので、15,000kmの大台に乗るかどうかは楽しみなところです。

リアも同じく0325製造でした。
乗って走った感じは、負荷をかけない領域ではこれまでのブリヂストンらしく、素直で扱いやすく、ロードギャップを感じさせない、安定性の高い特性が強く出ます。
倒し込んだ状態や切り返しでは、T32と比べてより穏やかで懐の深い印象を覚えました。
これまでのブリヂストンのタイヤは割と初動がキビキビしていて、逆ハンドルで一気にきっかけを作りにいって安定したバンクで走る・・・という感覚で乗っていました。
T33は「しなやかにバイク全体を使って徐々に倒し込み、徐々に起こす」というフィーリングに変わった感じ。
この「柔らかいけれどぐねぐねしない」という感覚は、MICHELINのPilot Road 2がとても優れていて、旧モデルながら指名買いする人が多いのですが、それに匹敵するものを感じます。
つまりは、低速で楽しかったBridgestoneとカーブで安定感のあるMichelinのいいとこ取りされていて個人的にうれしいタイヤだということです。

乗り味を一言で言い表すと「接地感の化け物」。
シチュエーション別でまとめると、市街地では不快なロードインフォメーションを抑えて快適に走行。
高速ではバッチリ安定してまっすぐ進み、車線変更でも捻れる感覚がなく、体育館のフロアの上を走っているような安心感。
カーブではゆったりした倒し込みでバランスよく動き、セルフステアがおとなしめなので曲がらないタイヤなのかと思いきや、リアがしっかり仕事して思った以上によく旋回する。
という感じになるかなと思います。
ただでさえ「快適走行ガチ勢」なNinja1000SXがさらに極められてしまった。
逆の言い方をすれば「スポーティさや応答生の良さ、個性がスポイルされた」とも言えるのかな。

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