毎日のように雨雲レーダーが真っ赤に染まる夕立が降る昨今、関東はまだ気象の上では梅雨ということもあり、計画が立てづらい。
ということで、直前まで天気を見計らって、雨の確率が低そうで早い時間に戻ってこれる伊豆へ向かいました。

ルートはこんな感じ
前日は早めに寝て、2:30ごろ起床のつもりで目覚ましを仕掛けましたが、2:00に目が覚めました。
30分だけ寝直しても逆に眠気を振り切れなくなるので、サクッと準備して3:00前に出発。
東名で海老名まで走り、小田原厚木道路に入って小田原を目指します。

小田原からは、ターンパイクに上がらず箱根新道で箱根へ挑みます。
挑むといっても、舗装された道路をありあまるトルクで上がっていく楽しいだけの行程。
箱根新道は天下の国道1号線バイパスでもあるので、街灯もばっちり整備されていて夜明け前でも余裕です。

箱根峠に上り詰めるころ、時間は4:20。
平地では夜明けまで10分ほどですが、標高846mの箱根ではもう少し早く夜明けを迎える・・・はず。
こう霧がかっていては太陽の方角くらいしかわかりません。

峠でぐるりと方向を変え、県道20号へ入ります。
ターンパイクの箱根伊豆連絡線と湯河原パークウェイの入り口を相次いで横目にみつつ直進。
どちらの料金所もまだ営業開始前で、入り口は封鎖されています。

県道はそのまま尾根沿いを走って、伊豆の背骨を南へ渡っていきます。
東の空は明るくなってきていますが、空気が濁っていて全体的にピンボケした風景。
これはこれで夏の朝らしくて悪くないですけどね。

十国峠を越えて、熱海峠までやってきました。
熱海峠といえばここ、伊豆スカイラインです。
こちらも営業時間前ですが、伊豆スカイラインは営業時間外でも通行可。
お得・・・というより、早い時間なので料金を払う手立てがない、というほうが正しいので、料金所横の自販機で水とコーヒーを多めに買って売り上げに貢献しておきます。

伊豆スカイラインをいざ走行開始。
時間は4:30をまわり、もう十分に明るく、安心して走行できます。

霞がかっているのは箱根だけではないようで、全体的にうっすらガスの中を走っているような感覚。
描画能力が低い頃の3Dゲームみたいに、先の方は見えません。

遠望がなくても、尾根伝いの「スカイライン」が見晴らしのいい快走路であることには変わりありません。
これから進む道が前方に見えると、自然とテンションがあがりますね。

下方の山々からは今も雲が立ち上がりつづけており、水墨画のような雰囲気。
しばらくカラッと晴れというわけにはいかないようです。

道路沿いに植えられた紫陽花が断続的に現れ、目の保養。
もう7月になってしまいましたが、この高原地帯では今が旬。
そういえば沿道の紫陽花は青系ばかりだったけど、何か理由があるのかな。

すいすいと20〜30分走り、道が大きく開けたら、亀石峠です。
先日までここで本線を通行止めにした工事が行われていましたが、6/27に終了したようで交通開放されていました。
工事は、料金区間の再編のために実施しているのだとか。
現在伊豆スカイラインには7つの料金所があり、6区間に分かれて料金が設定されていますが、今年の10月にこれを4料金所3区間に再編するとのこと。

作っていたのはこれに伴う新しい料金所。
北端の熱海峠、南端の天城高原と、既設の冷川、そしてここ亀石の4つが残ります。
ただ亀石は移設され、廃止される山伏・韮山・玄岳の各料金所を引き継ぐ本線料金所となるみたいですね。
詳細は公式サイトに説明がありますが、ETCXが使えるようになるのもありがたいですね。

とまあ、閑話休題、亀石峠を過ぎて、どんどん明るくなる伊豆の尾根を引き続き南下します。

真夏装備では若干肌寒く感じる20度前後の気温の中、最南端の天城高原に到着。
さすが関東随一のワインディングロード、全長40kmあまりの道路があっという間です。

天城高原からは、県道111号で東の海岸沿いへ降ります。
まだ5:30ですが、高原からぐいぐいと高度を下げ、下界に辿り着くと一気に気温が上がりますね。

そのまま海岸まで出てもよかったのですが、この辺りの名所であるこの緑一色の山を少し眺めてからにします。

こちらは大室山。
標高自体は580mと低いものの、独立峰であることと、毎年山焼きが行われるおかげで木がなく、草だけで覆われて山体がよく見えることから、景勝地として有名です。

その鉢伏型の山体を維持するために徒歩登山は禁止、リフトでのみ頂上・火口へ上がることができます。
ただしリフトの営業は9:00からで、まだまだ数時間先。
ということで、今日は下から見上げるのみにしておきます。
霧のせいで頂上からの眺望もないですしね。

大室山のふもとで小休止したら、東伊豆のメインルート、国道135号に出ます。
これを南下し、下田方面へ。

沿道は海食崖と砂州の連続。
崖上では葛だの蔦だのがもっさりと生い茂り、まさに夏!という感じの暑苦しさ。

反面、崖の端から見下ろすところに来ると、伊豆半島に連なる小さい半島の眺望がこれでもかと視界に飛び込んできます。
高低差もカーブも豊富なこの道は、ひたすらにゆったり走って飽きのこないルート。
しかし、他に代替が少ないため交通量も多く、昼間走るとペースの面に難があります。
今日はまだ6:00前なのでその点でも楽しい。

南の空は、ほぼお昼の青さになっています。
相模湾の波が岩場に立てる白波も、海風も、ほどほどに穏やかな最高のツーリング日和。

真東に視線を移すと、太陽が水平線を離れ、岬の上から顔を出しています。
しかし空気中に水分が多過ぎて、穏やかな橙色。
箱根からずっとそんな気がしていましたが、今日は遠望は諦めたほうがよさそうw

崖に登って降りて、川や入江の作る平地を走り、また崖に登って。
伊豆沿岸はひたすらにこの繰り返しです。
時折遅い車に追いついたら、路肩やコンビニで時間をつぶし、楽しいペースで走れるように調整。
この柔軟さはソロツーリングならでは。

そんな繰り返しも、正面に白田の別荘地が見えたら一段落。
ここいらでちょっと寄り道をします。

白田川のほとりで国道を離れ左折。
海に向かって少し降ります。

やってきたのはこちら、伊豆急行線の線路に並行して伸びる歩道橋です。
鉄道橋に並行して伸びる頑丈な鋼鉄の橋ですが、手すりなどが妙に頼りない。

注意書きの看板も腐って落ちかけて半分床板にめり込んで読めない有様。
でも立ち入り禁止とは書いていない。

対岸にある同じものはしっかり読めました。
記載の通り、利便性のため伊豆急の桁を間借りした歩道橋ということですね。
巡視点検用の歩廊に毛が生えたもの、と思えば頼りなさもなるほど納得。

この歩道橋の面白いところは、ご覧の通りのレールの近さ。
東京からやってくる豪華列車も通る線路を、間近で見られる迫力スポットなんですね。

橋上は人がやっとすれ違える程度で、欄干も低いので通行は注意。
落ちても死なない高さではありますが、欄干が腰下でスカスカなのでハラハラ感があります。

すぐ先には片瀬白田駅が見えています。
特急同士のすれ違いもよく行われる無人駅。
時刻表的には、もうすぐ始発の伊東ゆきが来るので、しばしここで待つことに。

南からやってきたのは親会社の東急で使われていた車両。
通常伊豆急オリジナルカラーですが、こいつは東急時代を再現する試みで銀色一色です。

遠くからゆったりとジョイント音が響き、目の前を通過していきます。
発車直後のゆったりペースですが、いい迫力。

始発を一本間眺めて寄り道終了。
国道に戻ってさらに南下し、ガソリンも入れて、もう一箇所寄り道を企みます。
まずは一駅隣の伊豆稲取まで。

ここで今度は右折、内陸へ足を向け、丘を登っていきます。
住宅地を抜け、林の中へ。
坂がきつく、舗装はコンクリート、対向車とは待避所を狙って行き違いが必要。

ここを登った先、一気に眺望が開けた場所は、稲取細野高原です。

125haほどの草原は、昔から大室山と同じく山焼きが行われ、草原として維持されています。
ススキ野原の中に数カ所の湿原もあり、貴重な動植物の宝庫なのだとか。
高原近くにはキャンプ場もあり、ここに泊まったと思しきグループがベンチで団欒していました。
いい雰囲気だ。

高原への寄り道も終え、時間は6:45を回りました。
本来ここからは河津まで降りて、逆川から婆娑羅峠経由で西伊豆へ行く予定でしたが、トントンとペースよく進んでいるのでちょっと早すぎる。
時間稼ぎに下田から石廊崎方面へ回るようにナビをセットし、再度国道を南下開始。

まだ6時台ですが、日差しがじりじりと強くなってきました。
ジャケットのベンチレーションはもちろん全開、熱海峠で多めに買った水を消費しながら進みます。

相変わらずやや霞んだ色ではありますが、すっかり青空。
海はとても穏やかで、きっと各地の砂浜は海水浴日和でしょう。

白浜海岸から爪木崎を眺めつつゆるり走行。
時間はここで7:00を回ります。

東京から伊豆急下田への始発は、鈍行乗り継ぎで9:00前、特急だと11:40頃。
横浜からでも8:00くらいの到着になるので、下田の駅前はまだ観光客がおらずひっそりとしています。
バイク弾丸ツーリングだと麻痺しがちですが、下田は首都圏から日帰りで来る場所ではない。

下田から先、国道は136号になり、南伊豆を経由して三島まで伸びます。
しかし最南端まではいかないので、国道を逸れて県道16号へ。

入江に並ぶ港町を海岸線沿いにぐるりと回り込んで進むこの景色、東伊豆より観光人口が増え過ぎていない南・西伊豆ならでは。
和歌山や能登なんかもこういう景色が多いですよね。

最南端といえば石廊崎ですが、石廊崎オーシャンパークは9:00まで入場できません。
なので、少し先に進み、ユウスゲ公園で南端付近の景色を眺めることに。
公園の丘の下にある駐車場にバイクを停め、遊歩道を少し登って西を眺めます。

続いて南。
うーん、大島すら見えないw
こう考えると、水平線が本当に水平線まで見えていることは稀なんですよね。

丘の頂上のベンチで水を飲んで体をほぐし、再出発に向けて下ります。
とんでもない地形をぶち抜いて最高の道路が走っているのが見えます。
土木様様。

南端への県道迂回を終えたら、国道136号に戻って進みます。
西伊豆、特に南方は首都圏から距離があるおかげで交通量も少なく、快適な走行。
道も大型が行き来しやすいほどには改良されきっていないので、タイトなカーブも多いです。

しばし内陸を走り、妻良漁港で海岸へ。
さらにまた内陸に上がり、雲見でまた海岸へ。
開発の度合いが違うだけで、西伊豆も地形は東伊豆とそれほど変わりません。
標高を上げて下げて、湾を見下ろして、湾に入り、また上がって進みます。

特徴的な1対の岩が湾の先に見え、何かの人工物かな?と思ってその場で調べてみます。
どうやらこれ、牛着岩という天然の地形なのだとか。
その岩と岩の間はとてもよいダイビングスポットになっている・・・とのこと。
なるほど確かに外海の海流にあの岩なら、魚も住みやすかろうw

時間は8:00を過ぎ、空は所々でカメラが壊れてるんじゃないかと疑うほどのガスっぽさ。
気温上昇で蒸し上げられた水蒸気か、それともPM2.5とかそういうやつかな。
PM2.5といえば、コロナ禍以降バイクに乗っている時は常に不織布マスクをしてからヘルメットをかぶるようにしています。
ヘルメットの内装も汚れないし、排ガスで煙くないし、口や鼻が乾燥もしづらいので案外良い。

出発前に朝食は摂ってきたのですが、2:30から数えてすでに6時間、小腹がすいたので松崎の街中で一旦コンビニ休憩。
ついでに飲み切った水も買い足し、先へ進みます。

と、進み始めたものの、松崎の北の外れ、松崎新港に何やら車がたくさん。
掲示された看板を読んでみると、普段遊漁禁止の漁港で、観光のために釣り利用トライアルをやっているみたいでした。

生憎釣りは経験も道具も持ち合わせていないので、釣り人の皆様を眺めつつバイクと海の写真を一枚。
なかなか合法的に防波堤の際までバイクで降りられるところってないんですよね。

松崎から一山こえて、ここでもう一箇所予定していた寄り道をします。
やってきたのは、断崖の上の絶景風呂、沢田公園露天風呂。
石廊崎方面に回ったのは、ここの開場時間が9:00〜だからというのが理由でした。

訪れるのはたしか3回目か4回目ですが、相変わらず絶景。
今日は空気が濁ってはいるものの、風がほとんどなく日差しも柔らかいので、露天入浴には最適。

初めて来る時間帯でしたが、朝方も結構いいですね。
浴槽は西向きなので影になるかなとも思いましたが9:00ともなると結構角度が高くて気にならない。

沢田公園でひとっ風呂浴びて、汗を流したのでもうこのままエアコンの効いた部屋で寝たいところ。
でもまだ家まで200kmはあります。
さらに汗をかきましょう。

西伊豆の海岸線をえっちらおっちら、国道を使って北上。
堂ヶ島・田子・黄金崎・宇久須・恋人岬・・・と観光地という観光地をスルーして進みます。

20kmほど走って、たどり着いたのは本日最後の寄り道で最大の目的地、土肥金山です。
土肥は幾度となく通過し、宿泊もしたことがあるのですが、金山施設の観光は初めて。

入場・観覧は大人1人1200円なり。
Webチケットなら100円安くなります。
砂金採り体験もあわせると2200円、Webで1800円。

ここは三菱系列の土肥マリン観光が経営している金山の資料館です。
4月に記事にした足尾の銅山観光に近いものがありますね。

土肥金山は、室町時代より拓かれ、戦国時代末期から江戸時代初期にかけて大規模化。
しかし20年あまりで一度枯渇、休山してしまったそう。
その後明治から大正にかけて、地中深くの鉱脈を新たに掘り当ててまた創業を開始したものの、1960年代に枯渇した、とのこと。

詳しい展示内容は現地でどうぞ、ですが、坑道見学は採掘の手順を人形と自動音声で紹介するスタイル。
早い時間から入ったためか、それほど展示も詰まらずゆったり見て回れました。
観光バスがどしどしやってくる時間だとこうはいかない。

坑道見学が終わったら、一度屋外に出て別棟の金山資料館へ入ります。
展示外の敷地も庭園になっていて、鯉のいる池や花々が美しく手入れされています。

資料館入口前に立て看板がありますが、この金山の最大の目玉展示物はこれ。
世界一大きい250kgの金のインゴッドです。

さすが時価42億円、資料館内の中央に堂々と展示されていました。
警備の方も常時ついているよう。

実はこの展示、昨今の金の価格の値上がりの影響を受け、価値が高騰。
2005年に設置した当時は4億円相当だったというから、10倍以上なんですね。
ただし、それが仇となり、保険料等展示のコストが上がり過ぎたために展示終了の憂き目に。

この7月末で実物は展示終了、以後レプリカが置かれるとのことで、実物触り納めがしたかったのでした。
うーん、47億円の感触・・・?(何もわからない)

資料館を出て正面、坑道の上にはかつての鉱山設備の基礎が残されています。

園内には他にも足湯があったり・・・

砂金採り体験のための工房があったり。
世界最大のインゴッドがなくても、歴史・体験施設として楽しめる場所だと思います。
西伊豆は飯も美味いし温泉もあるし、景色も海もいいですからね。

せっかく良い飯ですが、館内の食堂は残念ながら11:00開店。

喫茶くらいは・・・と思いましたが、こちらも同様。
ソフトクリームやコーヒーくらいはオープンと同時刻に食べさせてくれてもいいのでは!

とはいえ、食事ができないことはわかっていたので、予定通りここからは帰路。
最短は土肥峠に向かって内陸へ、または西伊豆スカイラインに上がるのもいいかな、などと思いつつ、今日は眺望もないので沿岸を走ります。

国道は土肥峠に上がって月ヶ瀬から修善寺、三島へ進むルートなので、ここからの沿岸は県道17号。
狭くタイトになった道をひたすらクネクネと進みます。

狭い分にはバイクはいいのですが、対向車が来るとそうはいかない。
舗装が良くないのもあり、カーブミラーを見たりブラインドコーナーでは徐行したり、気を使いつつ北上。

大瀬崎で半島はカクッと角をつくり、そのまま東へ。
時間は11:00に近づき、影はほぼ真下。

沿道には富士山がよく見えるスポットがいくつか点在しているのですが、今日は全く見えないことがわかっているので、ノンストップで駆け抜けます。

モクモクと上がる入道雲で「そういえば夏だった」と思い出し、古宇で一度水分補給。
これを怠ると体力が一気に持っていかれます。

淡島までやってきたら、あとは狩野川放水路沿いに内陸へ。
時間はここで11:30、やっと対向にバイクが増えてきました。
釣りや海水浴もこのくらいからスタート、という人が多そう。

狩野川からは江間のいちご畑街道をぬけ、伊豆中央道へ。

めんたいパークも気になりつつ行けていないので、今シーズン秋冬くらいに行きたいなあ。

沼津から高速でもよかったのですが、それほど予測時間が変わらなかったので1号線から箱根新道へ。

本日二度目、箱根峠のてっぺん。
いやーな雨の匂いが・・・してきたたなーと思ったら・・・。

大粒の雨にぼたぼたと降られてしまいました。
とはいえ、2分くらいで雨雲を抜け、ウェアがちょっと湿気たのと、カウルに雨水のあとが付きまくるくらい。
帰ったら洗車ですね。

新道を半分下るころにはすっかり青空となり、濡れたウェアもからっから。
逆に降られて体温が下げられてよかったかもしれません。

渋滞状況にまだ余裕がありそうだったので小田原厚木道路の大磯PAで昼食を済ませ、そのまま東名へ。
渋滞ゼロ、さくさくと帰宅できました。

この日の距離は501.7km

ODOは137084kmになりました。

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